戦犯だろ
「ミトラ様ですか...」
苦笑いをしているプセーマを見たセレーナがきょとんを首を傾げた。
暫くの沈黙が流れた。
「お主ら話が長いぞ!」
ララエルの声が響き俺たちはビクリと体を揺らした。ユリウスとララエルが駆け寄って来た。
「お、ララエルとユリウス」
俺は彼らに軽く会釈をした。
いつの間にか彼らは起きていたらしく取り込み中の俺らを置いて各々次の拠点へ移動する為の準備をしていた様子である。
その時セレーナがララエル達に話しかけた。
「勇者ユリウスの魔力回路は私のお師匠が治してくれるはずだよ!」「ほう」
「ですが、ミトラ様は城内に囚われていて...」
すかさずプセーマが付け足すがララエルが反応したのはミトラの名前だった。
「あのミトラの弟子じゃと?」
ララエルにとって寝耳に水である。隣で話を聞いていたユリウスは『鑑定』により既に把握済みだったのか平然としている。
目をぱちくりとさせていたララエルだが咳払いをした後すぐにいつもの調子に戻った。
「それでミトラに個人的に会う...いやそもそもこっそり会うなんて不可能じゃ」
「大丈夫だよララエルちゃん。私とお師匠だけが知ってる秘密の転移魔法石があるの」
セレーナが綺麗なウインクをララエルに見せた。
そして首元のネックレスを首から外すとそこには、
輝く青色の半透明の石があった。淡く輝いている。
「前にいざという時に師匠の元に転移できるように
作ってくれたの。魔法石を壊したら周りの人達みんな一緒に転移できるはず」
通常の魔法石は強度が高くなかなか壊せないけど
力がないから軽い力で壊れるようにしてもらったと彼女は自慢気に話した。
それより転移魔法石とかいうチート機能早く言ってくれよ。わざわざ荒野地帯移動する必要なかったな。
ユリウスも出来るだけ早く魔法使えるようになりたいだろうし。
「じゃあそれで国内侵入簡単じゃん。
俺賛成。各々準備してからセレーナに使ってもらうか」
俺が賛同するとララエルも安全だと考えたのか
うむ。と発した。プセーマはララエルが了承したのを見て頭をおさえたがしぶしぶ頷いた。
ユリウスも頷いている。
俺たちが拠点の片付けをしに解散しようとした時
セレーナがつまづいたのか前のめりになった。
「えあっ」
彼女の手には未だ首から外したネックレスの魔法石があり、衝撃によりそれも空に浮いた。
その間約1秒。ユリウスが素早く魔法石に気付き
地面に着いて割れる前に手を伸ばし魔法石をパシりと掴んだ。だが彼は調整を間違えていた。
彼の鍛えられた力は掴んだと同時に壊れやすく加工してある魔法石を割ったのだった。
「えおいユリウ...」
ユリウスがやらかしたと言わんばかりに目を白黒させていると柔らかな光が拠点を埋めつくし
俺たちを包み込んだ。




