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そうだ、次に目を覚ました時。

俺は森の中にいた。

いやおかしいだろ。夢じゃなかったのか。


体を起こし周りを見渡す。

どこもかしこも木ばっかである。

森で野垂れ死にたくないのだがもう少しマシな場所で

目を覚ましたかったな。


だが、いわゆる異世界転生を果たしたのだ俺は。

きっとテンプレの超チートと、超美形で

ハーレムを築けるはずなのだ。


「ぐふ」


おっと思わず笑みが。落ち着くのだ俺よ。

大体ラノベの主人公みんなクールだったじゃねえか!

その時狙ったかのように追い風が俺の頬を触る。

髪が風によって舞い上がった。


日光に当たり輝く長い銀髪が視界に映る。

とうとうヒロインがお出ましかと内心興奮しつつも

キョロキョロと周りを見渡すが

この銀髪。俺から生えているみたいなのだ。

自分の手を見ると、真っ白でほっそりとした指があった。髪は腰辺りまで伸びているようだ。

華奢すぎて心配になってきた。こんな男じゃ...

いやまて本当に男か?


そしてふと、股間を触る。

いやけして卑猥な考えがあったのではない。


息子がない...。

まっさらである。

17年も共に過ごし愛着もあるそんな俺の息子が綺麗になくなっていた。


「女になったの俺?」


しかし胸はなんもない。むしろこれは男の胸板である。

さっきは気づかなかったが心なしか声も高い。

あの俺を転生させたクソ赤髪の趣味なのか?

俺のハーレムは、逆ハー状態になってしまうのか?


否。男に迫られてもキツいだけである。


今更どうも出来ないのだ。

俺は冷静に判断できる男だ。


ふとお腹が空いたと感じる。転生する前、つまり魂がクソ赤髪に飛ばされる前は深夜だった。

普段なら夜に食うカップラーメンも今夜は食べていなかったのを思い出す。不健康?うるさいな!

そうだな。朝ごはんを食べていなかった。


目指すは都市である。

きっとあるはず。俺のラノベ知識の定番の円状の城壁に囲まれた大都市で異世界料理を堪能しようと思う。

欲望のままにとりあえず前に向かい歩き出す。

足を踏み出した時


「危なっ!!」


切羽詰まった声が俺の右横から飛び

抱きつかれ、俺と抱きついてきた奴は左へと吹っ飛んだ。なにすんだよ!と視線を向けると

風を切る音がしてさっきまで俺が居た位置に矢が

ぶっ刺さっていた。

うそだぁ...。なんか俺異世界転生した途端死ぬ感じ?

命がいくつあっても足りないんだが。


「大丈夫ですか?ご怪我は?」


ふと俺に抱きついてきた輩に目を向ける。

こいつは顔をあげ...俺を見た途端固まった。

そこには


綺麗な顔をした美女!...ではなく美男子がいた。

やはりお決まり展開はなかった。

男は輝く金髪と濃い紫色の瞳をしていた。

男の俺でも思わず見惚れそうになるまでである。


やめろやめろ!!

恋愛フラグが立ちそうになったじゃないか!

俺は男に興味はない!

ゾワゾワ〜と鳥肌が立った。

「あ〜、助けて下さりありがとうございま」


ズシュっと俺の耳を切って矢が飛んできた。


「ぐぉお!?」


情けない声を出して俺は体をビクつかせてしまった。

本当になんでこうなるかな。

なんで俺狙われてんの?なんもしてなくね?


「すみません緊急事態なので失礼します!」


俺の叫び声にはっと我に返ったそいつは

俺を抱きかかえ...いやお姫様抱っこじゃないか!?

やめてくれ!そう。お姫様抱っこをしてとてつもない速さで森を走った。



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