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閑話 創造主と世界 1


この世界が誕生してまだ間もない頃

この世界を歩く赤い髪の男とエルフの女がいた。

赤髪の男の足どりは力強く、強く地を踏んでいてどこか焦りと怒りを感じさせた。

彼が歩く度、白い半透明のヴェールが揺れて

それがより彼の存在を美しくさせていた。

エルフの女はそんな彼を見て言葉を紡いだ。


「ヴァルナ、そんなに怒っても現実は変わらないよ。

しかし君のそんな姿は面白い。」

彼女は赤髪の男と同じ美しく白く輝くヴェールを纏っていた。彼女は微笑みながら亜麻色をした髪を指で巻き取りくるくると回していた。


赤髪の男は何も言葉を返さずにただ目的地へと急いでいた。





彼らは小さな遺跡を目の前にして2人は足を止めた。

その遺跡は廃れていて周りの美しく生茂る木と植物と比べ不格好に見えた。


「...」

エルフの女が先に遺跡の門を潜った。

エルフの女が霧のように消えた。別の空間にこの遺跡によって飛ばされたのだ。

この遺跡は彼らがとある人に会える唯一の手段であった。

ヴァルナが彼女を引き留めようとして手を伸ばそうとし空を切ったたが何故その手を伸ばしたのか自分でも分からず彼女の後を追って門を潜った。



移動した彼らは空に浮かぶ地に立っていた。

地上にはなかった不思議で美しい花と

大きい噴水が彼らの視界に写ったが庭園には目もくれずに目の前の美しい城の内部に彼らは走って入っていく。最初と違い余裕はなかった。



「「ファアル様!」」


城の大きい広間の扉を開けた先を見上げると

壇上の輝く王座に座る白に近い銀髪をしたとても美しい人がいた。

しかしその生命は弱々しく見える。


「君...たちか...ふふ急いだのかい?

息が切れているよ」

ファアルと呼ばれた人がそう言うと

彼らはやっと疲れている自身に気づいたようであった。

エルフの女が切り替えたように口を開けた。


「しかし僭越ながらファアル様。君たちも何も、この素晴らしく美しい世界には我ら3人しかいないではありませんか。」


そうだ。後に人や種族が増え繁栄し文明が栄え華やかになるとは別に、現状、この世界には彼らしかいなかった。ファアルがまた美しく微笑む。


「いや...私が消えた時、よりこの世界は栄え、美しくなり、娯楽が増え、数々の祝福が芽生えるよ」

彼の閉じられていた目がゆっくりと瞼を上がると

そこには真紅の眼があり、

それは全てを見透しているかのように彼らを見つめていた。


「消える...だと?」

ヴァルナが唇を噛んだがその動揺は隠しきれず

彼の力が体から溢れ、彼の深緋の赤髪を揺らした。

エルフの女が、焦ったように肘で彼の横腹をつつき

彼は我に返る。

ファアルと呼ばれた人はそんな様子の彼をみて

いかにも困りましたと言わんばかりに眉を八の字にした。


「私が君たちとこの世界を創造した瞬間から私の力は弱まりつつある。そしてもう少しで私は消える。」


ヴァルナが驚き身を震わせるが彼も本当は察していたのだ。

エルフの女は隣の彼に目もくれずに

無表情で目上の玉座に座る美しい主を

瞬きもせず見つめている。


「私が存在する為のエネルギーは

この世界のエネルギーを蝕む程に強い。

君らの力もまだ本調子ではないんだ。

私が生命を吸い取っているからね。

だから何時まで経ってもこの愛しい世界は...」


彼らは最初に創られた生命であり

ファアルの寵愛を受けその身は不死に近いものに

なっていたのだが

ファアルが存在する事によりそんな彼らにも

肉体の時が流れるのを許容してしまう。

それは彼の言った通り、彼が創造主であり人智をこえた存在であったからだ。

他の生きる者とは違って別次元の力を持った彼だからこそ、人の生きる世界に身を持たせるのは、その世界からエネルギーを奪わなければならないほど難しかったのだ。



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