魔女セレーナ2
目が覚めると、いや正確には瞬きをすると拠点内にいた。ふわりと少女と地に着地する。
瞬間移動でもしたのか?未だ手は繋がれたままである。顔を上げると、夕食の片付けをしていた最中のユリウスと目が合った。ユリウスは俺を見て嬉しそうに
口角を上げたあと、隣に俺の手をとっている少女がいるのを見て表情が強ばった。
ていうか、夕食片付けちゃったの?!
俺まだ肉食べたかったよ。でもまあ人数多いし、立ち話も長引いたからしょうがないか。
俺が肉を恋しがって俯きかけると同時に
ユリウスの声が響いた。いつもより声色が低い。
「空間移動をしてきたあたり、上級魔法師でしょうか。その人を離してください。」
キンと耳に響く音が聞こえて
ユリウスを見ると、剣を構えていた。剣は勇者の神剣である。神剣からいつもと違ってユリウスと同等の禍々しい冷たい気が発せられているのは気のせいではないだろう。
ふと俺の手を握っている少女を見ると
綺麗な笑みを浮かべていた。
たしか神剣には【魅了】の効果が発動するはずだが
彼女は笑顔を微動だにしていない。
「こんばんは。選ばれし勇者ユリウス様。私は魔女、セレーナ。エルフの国まで共にしてもいい?」
彼女が華麗に礼をしてユリウスに話しかける。
今更だがセレーナって名前だったのか。しかも魔女。
「何故」
ユリウスが片眉を下げ疑問を投げた。
空気がひりひりと冷たい。
「ふふ。荒野地帯は私1人では危険でしょ」
セレーナがくすくすと、笑いながら言った。
ユリウスに視線を写すと剣を鞘にしまっていた。
あれ納得したの?隣を見るとセレーナを見上げているララエルがいた。2人は見つめ合っている。
しかし正直めちゃくちゃビビった。
初めて会った時もララエルは急に現れたんだよな。
ララエルより後ろの少し遠くの岩場にプセーマが足を組んでティーカップでお茶を飲んでいた。
呑気なやつだな。同様彼も先程までいなかったのだが。
その時ララエルの黄金の瞳が僅かに輝いた。
セレーナの白藍の瞳がララエルの光を反射して輝いていた。
「ふむ。よいぞ!一緒にこい」
ララエルが姿勢を伸ばしセレーナから少し離れた。
「良かった!ありがとう可愛い子!」
セレーナがララエルの承諾に喜び
勢いにまかせたのか俺の両手と自身の両手を絡み合わせ少し跳ねた。
ユリウスが両手を繋いでいるセレーナを見て半目になった。そしてララエルがセレーナの可愛い子発言に複雑な表情を見せている。
これは空気がちょっとやばいのではないか?
俺は今日歩いたからなのか、急に疲労がきた。
原因はそれだけではなさそうだが。
「あー俺今日は寝るわ」
セレーナの手を振りほどいて急いでテントへと向かう。ユリウスが引き留めようとしていたが
ララエルが止めたようだ。
その時僅かに体が光り不快感がスっと消えた。
汗とか服の汚れが消えている。
ユリウスかララエルが魔法でもかけてくれたのか?
感謝しよう。風呂には入りたかったけど野宿だしな。
テントに入ると俺は毛布を被りテント外から聞こえてくるララエルとセレーナの話声を聞きながら
異世界転生して初めての眠りについた。
夢で俺を転生させたクソ赤髪と再開するとは知らずに。




