転生しました 1
苦しくて目が覚めた。
体を起こし思わず周りを見渡した。
いつも通りの部屋。いつも同じ七色に輝くベッド...っていや何が起きているんだ?!
どこか外国の金持ちのベッドならあり得るかもしれないがただの日本の高校生の俺のベッドが光輝くなんてあり得ないよね。
「えちょ、だれか!」
混乱する俺をおいてどんどん周りが光で埋まり
視界が狭くなっていき俺は意識を手放した。
▽
真っ白な空間に、燃えるような深赫の長髪の
一人の男が俺を見下ろしていた。目が合う。
しかし顔はぼやけているようで認識ができない。
白いヴェールがかかっているように見えるが
変な感覚である。
「よう起きたか?」
男に声をかけられたが
俺は状況が理解できずにその男に問いかける
「えっあの俺、いやここはどこですか?」
「いや〜すまないな。俺の手違いで何故かお前の魂が次元の間にきちまったみたいで」
男はいかにも困りましたといわんばかりに眉を八の字にして首を傾げた。
それよりも次元の間?俺の魂?俺は死んだのか?
冗談はやめてくれ。
「お前の魂がここにきちまった限りもう元には戻んねえよ」
その言葉を聞き思わず絶句する。
あーもう終わりだよこのクソ赤髪。
明日は友達と遊ぶ予定が、いや明日は漫画の発売日だった。そして俺の青春...
普段なら考えもしなかったあったはずの未来が
次から次と脳内に流れてくる。
沸々と怒りが沸いてくる。この男のせいで俺は...
「ふざけんなよ!どうすりゃいいんだ俺はよぉ!」
とりあえず声を荒げてクソ赤髪に歯向かう。
情に訴えることしかできないのだ
男は待ってましたと言わんばかりに口を開ける。
「そう。だから考えたんだ俺は。
もうお前が住んでた世界にゃ戻れんが
俺の世界で生まれ変わるのはどうだ?」
困らない程度に助けてやると男が言葉をつけたした。
「生まれ変わる?お前の世界でか?お前は神かなんかなのか?」
生まれ変わるってなに?これがあの異世界転生?
なんか展開が思ってたんと違うんだけど。
男は俺の問いに驚いて目を見開いたあと
ゆっくりと目を細くした。
その表情の変化が美しく感じ思わず見つめる。
顔は認識されないのにどうしてだろうか。
「そうか...神ね〜」
男はほんの少し考えた後に俺をじっと見つめた。
その眼差しが悲しそうに見えた。
おっと訳ありか?
「俺は神に焦がれた、ただの人だが
まあその点でいくならお前がここに来ちまったのも
何かしら神に関係してるんだろう」
意味深な言葉を残すなコノヤロー!
俺が何か言葉を発しようとすると
それを遮るかのように男がさて生まれ変わりだと
一言だけを俺に投げかけた。
その記憶を最後に俺はまた意識を手放す事となったのだ。