プセーマとララエル 《プセーマside》
今回のエピソードは長くなりました。
*プーセマside
プーセマが生まれた場所は首都だったがいわゆる治安が悪い所で金がなかった。彼はそんな時に、母親が孕んだ誰の子か分からない子供として売り飛ばされて奴隷になった。金になるから使い道があって良かったよと最後に言われた。正直生きる希望なんてなかった。
奴隷商のご飯は不味かった。
でも売り飛ばされる前よりはましだった。
変哲のない日々が過ぎた日
エルフの国からきた使者が奴隷商にきていた。
使者はフードを被っていて顔はよく見えなかったけど見上げると尖った長い耳が見えた。
使者と目が合った彼は、使者のお気に召したのか
買われてエルフの国に向かっていた。
昔誰かに荒野地帯は危険だとか聞いたな。使者は僕に魔法をかけた。眠気が襲ってきて、気づいたら城にいた。僕は床にはいくつばっていた。腕と足を縛られていた。目線をあげると、大きな赤い玉座に座る薄紫色の髪をしたエルフと目が合った。金色の瞳をしていた。頭には大きい冠があった。王...なのか。
隣には同じような見た目のエルフが2人立っていた。
兄弟か?雰囲気に圧倒されて何も言えなかった。
そのエルフは僕の身なりを整えろと配下に命じて
僕はあれよあれよと風呂に入れられ身なりを整えられ散髪させられた。
エルフの王は僕をみて「ほぅ」と目を細めた後
「アイアスの地主にララエルという者がいる。
そやつの首を取ってこい。人間の貴様だからできる」
とその美しい唇を歪ませて言った。
すでに買われた身の僕の主人はこの王なのだ。
断る事も死ぬ事許されない。
僕はこの王に頭を垂れて命を受けた。
僕には魔法の適性があった。
エルフの王は僕に師をつけた。エルフは人間を嫌っていて僕は良い待遇をされなかった。
師も義務的な会話しか受け答えして下さらなかった。
アイアスに向かう時、エルフの王は
好きに使えと、エルフの魔法師の下っ端を数名僕に与えられた。ララエルを殺すまでだと。
ララエルが誰だが知らないが僕は早く楽になりたくて
必死にララエルという人を探した。
早く殺して解放されたかった。僕は奴隷なのに。
アイアスの地域について
辺りを巡っていると、木にもたれかかっている少女を見つけた。頭は黒いヘッドドレスがつけてあって耳は見えなかったが薄紫色のキラキラした長髪が美しかった。
エルフの王はその美しい髪をひと房持ち上げて
言っていた。「ララエルは朕と同じ髪色。きっと、出会えた時に分かる」と。
僕は思わず少女に近づいて跪いた。
殺すなら警戒を解いてからだ。きっとその方が良いから。
「ララエル様」
彼女の名前を呼ぶとその眼が開かれた。強い黄金の目をしている。エルフの王も、王の隣にいた兄弟も
綺麗な金色だったがここまで強い輝きは彼女がはじめてだった。
「あなたの力になります。どうぞ僕を貴方の配下に」
彼女は僕をみて目を見開き綺麗に笑った。
ララエル様はとても僕に良くしてくれた。
暖かいご飯と、お風呂。柔らかい寝床。
僕がララエル様の為に働くと彼女は
とても嬉しそうに褒めてくださった。
はじめて人に必要とされた気がして体の隅から隅まで感嘆に浸った。
下っ端の魔法師達もララエルが気に入っていたみたいだった。
毎回殺そうとしても何かと邪魔が入った。
いや、正解に言えば僕が邪魔をさせていた。
今回もだめだったか、と。
まだ少しララエル様といたかった。まだ少しこの優しく強かな主に嘘でも忠誠を誓いたかった。
最後の機会が訪れたのは
今回のエルフの国へララエル様が向かうと知った時だ。まだ殺していないと王に知られたら僕は、いやララエル様はどうなってしまうのだろうか。
それならいっそきちんと最後は僕の手でやろうと
弓を向けた。今度は邪魔は意図的に入れなかった。
最後だから。なのに偶然、奇跡的に魔生が間に入ってきた。僕は良かったと安心してしまった。
目の前には僕の話を黙々と聞く神々しい見た目をした人間がいる。彼の長い銀髪が風に煽られて僕の頬を撫でた。彼なら、奴隷の身分なのに命令を完了できなかった僕を、ララエル様を殺したくないといつからか考えるようになった僕を救えるのだろうか。
僕は誰かに苦しみを分けたくて、逃げたくて
彼に全てを話してしまっていた。




