荒野地帯1
プセーマと呼ばれた男を見る。
彼は流れるように跪いた。ララエルの返事を待っているようだ。
いやさぁ、俺でさえ分かるよ?
こんなに怪しさプンプンな奴いるんだな。
てかご同行って何?絶対なんかやられるよね?
プセーマさんの糸目と綺麗な三日月の形の口を見て俺は考える。
「ええと、ララエル」
ふとララエルを見る。彼女は先程から
プセーマの言葉にうつむき固まったままである。
俺の声に反応してからかララエルの俺の手を握る力が強くなった。やっぱ怪しすぎるよね。ララエルちゃん俺分かるよ...。
「んふふ、ふプセーマお、お主」
ララエルが奇妙な声を出している。笑ってるのか?
何怖いんだけど?
お決まり展開で暴走とかしちゃうの?やめてくれ死にたくないんだけど。
「そんなに主人思いだとは!妾は感激したぞ!その提案受けよう妾について護衛せよ!」
ララエルゥー!絶対違うだろその反応は!
ララエルがプセーマに一歩近づいて頭を撫でた。
力強いな。撫で方が。
プセーマさんの綺麗に整えられた髪がボサボサになっている。彼のポーカーフェイスがピクリと動いた気がした。
▽
エルフの国へ向かうメンバーと準備が整った俺たちはアイアスを離れ荒野を歩いていた。
メンバーは、ララエル、ララエルの黒フード部下4名、担がれたユリウス、プセーマである。
アイアスからエルフの国に向かうには荒野地帯を渡る必要がある。約2~3日程かかる予定だ。荒野は人が住めるような所ではなく、結界も張られていない。よって魔生の行動が制限されておらず危険である。
たまに修行をしにくる猛者もいるというが真実は不明だ。
「もう歩けないし俺お腹空いたんだけど」
そう。俺はとても苦しんでいた。
今は夕方である。俺は転生してから何も口にしていないのだ。最初は異世界料理を楽しむぞ!とか健気な気分で首都に向かおうとしていたのに
何故俺はこんなゴツゴツとした道を歩いているんだ。
まさか荒野地帯がこんな歩き辛いとは知らなかったよ。高低差が激しいとこもあったりしてしんどい。
地割れがあったりして地獄絵図である。緑もゼロ。
俺を見てララエルがそろそろ設営しようと言い出した。やっと休める良かったとほっと息をつく。
ララエルの部下達がさくさくとテントを立てていく。
前世のテントとなんら変わりはなかった。
おかしな点をいうなら魔法でテントを固定してたりだな。
暗くなり始めていた。少し肌寒く感じたので
焚き火をしようと思って枝を集めようとしたら
プセーマさんに止められた。
「何をしているのですか?」
「ん?ああ、火をつけようと」
「枝なんか集めなくてもこの魔法具に魔力を送れば
火の役割するじゃないですか」
プセーマさんが荷物から取り出したのは
平たい花のような形をした金属の土台の上に
ガラスのような素材で四角い囲いが作ってあるモノだった。
プセーマさんが魔力を送ると、その魔道具の中心に炎が浮いて出てきた。辺りを明るく照らしている。暖かい。
ララエルが気づいたようで近づいてきた。
「ふむ。魔生を狩って夕食とするか!肉が食うたくなってきたぞ!」
ララエルによると魔生が活発になる時間帯だそうだ。ララエルの部下がテントを中心に結界をはった。
「聖魔様のようにはいきませんが...」と断りをいれている。てか魔生食べれんのか。不味くないといいが。
俺達は魔生を狩りに荒野を散策する事になったのだった。




