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妖さん

 放課後のチャイムが鳴る。

 水曜日も終わり、生徒の疲れも溜まっている頃だろう。

「蓮ちゃーん!今日もバイト?」

金髪の女の子が私の胸に飛びついてきた。

「苦しい、あかね。うん、今日はスーパーのバイトしてくる。」

「うわーん!あそこのスーパーかー…じゃあ今日は遊びに行けないや…」

金髪の少女、あかねはあからさまにしょんぼりしている。そこにまた少女がやってきた。

「こーら。また蓮さんのバイト先に突撃しようとして。ダメですよ、あかねさん。」

「えー!だってだって心配なんだもん!もう暗くなるの早いのに、遅くまでバイトして!蓮ちゃんのバイトのスーパーここからすっごい遠いじゃん!」

すると時計が4時半を回わった

「もう時間だから行かなきゃ。あかね、気持ちは嬉しいけど大丈夫だから。心配しないで。愛猪もありがと。」

 あかねが私の体から剥がれてゆき、私は急いで荷物をまとめたのちに駆け足で教室を出て行った。

「頑張ってきてねー!」

あかねは大きく手を振り、愛猪は滅多に開かない瞼を閉じたまま微笑んでいた。

 私は小さく微笑みながら手を振り返した。



 (やってしまった…)

 蓮はバイトを終わらせ人気のない住宅街を歩きながらそう思った。

 辺りは既に真っ暗で前が見えない。時計は19時を示してる。しかも、バス代を渋ったことで後1時間ほど歩かなくてはならない。このまま誰もいない住宅街や林道を歩くなんて怖すぎる。到底できそうにない、

 もう9月の中旬であることをすっかり忘れていた。

 一瞬、お母さんを呼んで迎えにきてもらおうか悩んだ。しかしお母さんは、5年前亡くなってしまった父の分まで遅くまで働いてる。無理はさせたくない。

 (ケチらずバスにのっておけば良かった…)

 

 なんでこんなことしてしまったのだろうかと絶望しているその時だった。

 左耳につけていた青とピンクの結晶のピアスが急激に光だした。

 (は?!)

 輝きを放っているピアスに頭が追いつかなくて思わず体が固まってしまった。

 心当たりがなさすぎる。あかねや愛猪のイタズラだろうか?それとも元の持ち主である父のドッキリ精神だろうか?


 分からない。分からなすぎる。混乱して早く帰りたいのに体が動かない。


 いや…違う。体が動かないのは混乱のせいではない。なぜが足が一歩も動こうとしない。自分の意思が体に伝わらない。混乱を通り越して恐怖を覚えた。


 怖い。怖い。怖い。



 「そこの可愛い君、どーしたの?」








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