#9 人を見たら魔王と思え U
この大きな城には、他にも人が数人住んでいるらしい。その中で出会ったのが、『レヲン』『ノア』だ。2人は言うまでもなく美男美女で、…ってまた変なこと考えてる…
「ナギ、まだ独り言を…」
「いつも聞いているのか…」
「…なんだこの部屋っ?!」
まるで、王様が住んでいるかのような僕には勿体なさすぎる部屋だ。窓の景色は…相変わらずだな…。
そして部屋に足を踏み入れるなり、
ベッド大きすぎだろ!!
ソファ気持ちいい!!
トイレ広い!…けどユニットバスか。
僕がそんなこんな大はしゃぎしていると、
『まさか、そこまで気に入ってくれるとは思いませんでしたよ。光栄です。』
そこには、寝巻き姿のシークがいた。恐らくお風呂上がりだろう。色気が凄まじいっ…
「さっきの…見てました…?」
『どうでしょうかぁ〜…それより、紅茶をお持ちしましたよ。』
シークは気まづそうに反応する。
あぁ…これ絶対見られてたやつじゃん…
恥ずかしすぎて1人で自爆しそうになった。
「…そういえば、この世界にもソファとかベッド、お風呂だったりがあるんだな。造形も、僕が元々…っ言っても今日だけど、いた世界のものとほぼ同じでさ。」
『それらの技術は、他の世界からの転生者様が、布教して下さった物なんですよ。例えば…勇者セトウチ様とか。セトウチ様は…こたつ…と言ったものを研究していましたよ。今は、テレビ…?と言ったものを作ろうとしているとか。』
そう考えると、僕がいた世界の技術は凄まじいものだったんだな。
僕が紅茶を飲みながらシークと談笑していると、ふとドアをノックする音が聞こえる。
「ナギ、夜ご飯の準備できたよ。」
レヲンが報告をしに来たのか。
「ナギさん、行こ。」
すると、ノアがまた腕を掴んできて…少し顔を赤らめている。
流石に僕でも分かる…これは好きかも。
そして僕は夕食を食べた後、お風呂に入り、今は特にやることがないので、部屋でぐったりしている。
「この世界って…スマホとかないのかなぁ。」
僕はいつも、特にやることがない時はスマホで小説を見ていた。なので、やはり手元にソレが無いと…落ち着かないんだよなぁ。
そんなことを考えていると、ふとドアの向こうから声がする。シークかノアだな。
「ナギさんいますかぁ…?」
”さん”付けで呼ぶってことは、ノアだな。こんな夜遅くにどうしたんだろう。
「いるけど、どうしたー?」
するとドアが開いて、犬っぽい寝巻きを来たノアが入ってきた。
「ナナ、ナギ…さん、あ、あの……」
「まず少し落ち着こう。ほら、深呼吸して。」
ノアは深呼吸をした後、また話し始める。
「え、えっと、私とレヲンを、……△"♯*○!」
「えぇと、…なんて?」
「その…パーティに入れてください!!」
急にそんなことを言い出すので、僕はかなり焦った。パーティに入りたい…?
「その…急にどうしたんだ?」
「実は、シークに言われたんです。…いい機会だからナギ様と”冒険”でもしてきたらどうかって。…それに、私もしたいですし。」
「よく分からないけど、…僕で良ければ。」
「あ、ありがとう。…じゃあゆっくり休んでください。」
ノアは少し恥ずかしそうに言う。
恥ずかしい要素ないが…?
「あぁ、…それじゃあいい機会だし、僕もこの世界を少し探索してみたいからね。明日、少し外に出てみようと思うんだ。」
「良いですね…!私達も同行しますよ。」
「じゃあそんなとこで!」
それから僕らはそれぞれの部屋で休んだ。
◇ ◇ ◇
んぁ…明るいな……
僕は起きてフラフラしながら窓を見る。
「…あれ、……こんなに景色綺麗だっけ。」
何やら、昨日は偶々曇っていたらしく、いくら魔王城とは言えど、天気は普通らしい。
そして僕は、恐らくシークやワンドリ達がいるであろう広間に向かうため、ドアを開ける。
「うあぁぁ!!」
『おはようございます。ゆっくり休めましたか?』
ドアを開けると、シークが目の前に立っていた。
「ゆっくり眠れたけど…今ので一気に目が覚めたよ……。」
『それなら良かったです。』
ーそして僕らは、広間に向かうー。
*【*T/Mなやつ】小話
タイトルの『人を見たら魔王と思え』は、
「人を見たら泥棒と思え」(他人を軽々しく信用してはいけない)ということわざから取らせていただきました。
話に応じての重要登場人物に『』を付けます。
素直に ”良い” ”悪い” と思ったら是非、ポイントや感想、アドバイス等してくれるとより成長できると思います!
それではまた次回。 【* T/M眷属】