#4 ヒロイン&フラグ U
僕は、「ワンドリ」という名の”魔王”に城に招待され、色々な話を聞かせてもらった。まだ聞きたいことはあるけど、現在の魔王の情勢が少しずつ分かってきたんだ。…にしても、魔物がなるはずの魔王を、なぜ人間が…?
『もういい。』
「あ、はい。」
「そう、…なのか?なら友好的ってのも納得だな。ってことは、他の魔王ってのは皆ワンドリみたいな友好的魔王じゃないのか?」
『あぁ、…それはそうなのだが。魔物がなる故に、邪悪な存在になりかねんと言ったな。だが、それはあくまでも、自ら望んで魔王になった場合のみ。運悪く選ばれてしまう哀れな魔王もおってな。…まぁそんな奴でも、いざ魔王になると性格が豹変してしまうってのはそこそこある話だな。』
「つまり、ワンドリは望んで魔王になってないってことなのか?」
僕が食い気味に聞くと、ワンドリは少し黙って戸惑う。なんだ、何か隠してるのか?
…正直、この世界に来てからまだほとんど経たないが、何が本当で何が嘘なのか…よく分からないな。
そして、しばらく経つと魔王は覚悟を決めたかのように真剣な顔になり話し出す。
『そうだな。ナギ…お前には悪いことをしてしまったからな。詫びとして全て答えるんだったな。…ナギには話そう。』
すると、僕の隣にいたシークが少し驚いて、
「え、あの、ワンドリ様?本当に話してしまっても宜しいのですか?私にはまだ覚悟が…」
と、かなり動揺している様子だ。やはり何かあるのか。
ーそして、僕も覚悟を決めて話を聞こうとし
ワンドリが口を開いたその刹那ー。
「…?!ワンドリ様、お城の結界に反応が!!」
…気づいた時にはもうとっくに遅かった。
「………っ?!」
…もう、やめてくれよ。ここ数日で、人が刺されるを2回も目撃している。いや、まだ助かるかもしれない。か………?
ワンドリは何者かの剣によって、みぞおち辺りから天井まで突き刺さっている。
「シ、シークは!大丈夫なのか?!」
ふと後ろを見ると、何者かとシークが相対していた。こいつ、魔王をも一発で、さらにメイドまで仕留めようなんて…っざけんなよ。
「いい加減にしろよ。」
僕はつい感情的になってしまった。普段は感情とかは表に出さない主義なのだか、前世で起こった出来事もあり、感情がコントロール出来なくなってきている。僕は、僕は、こいつを殺したい。
その瞬間、眼球に物凄い痛みを感じた。
「ゔ、痛い、痛いぃ、あ”ぁぁ……」
眼から出血している。床にぽたぽたと落ちていく血を見ながら僕は悶絶していた。そしてしばらく経つと、少しずつ落ち着いてきた。
何だったんだ。ストレスか?だったら本当にやばいな。
「はっ、シーク!ワンドリ!!」
ワンドリは、天井に突き刺さったまま息絶えていた。ワンドリ……怒りが、どんどん込み上げてくる。
「おぃ、お前誰だかしらねぇけど、こんだけやってタダで済むと思うなよ。」
僕はそいつに殴りかかろうとする。
するとシークは僕の眼を見て…
「……?!ナギ…様?!」
僕はシークが動揺しているとも知らずにそいつに襲いかかる。どうせなら、どうせなら、
最悪に痛めつけてやりたい。こいつを殺さずに、苦しめたい。
ーその想いが、形にされたー。
僕の拳に、黒い煙、青い炎、雷がまとわりついて、
「オォラァァァ!!」
僕の拳から放たれた衝撃波が、空間を引き裂くように響く。黒い煙は渦を巻き、蒼い炎が一瞬、ほんの一瞬燃え盛り、雷光が炸裂する。
「これが、…僕……?」
自分で自分が怖くなってしまったんだ。
なんて言うか、これから何かが変わってしまう気がして───
「ナギ様…どうして……」
話に応じての重要登場人物に『』を付けます。
素直に ”良い” ”悪い” と思ったら是非、ポイントや感想、アドバイス等してくれるとより成長できると思います!
それではまた次回。 【* T/M眷属】