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*転生先が魔王城な眷属さん 【*T/M眷属】  作者: 白珠シロ
第弐章*夢ノ牢獄・転生²編
23/23

#23 セーブデータの削除:夢 p

D(ドゥリマー)を操っている本人に攻撃を仕掛けられ、お城が崩壊し、”ルカ”ノア”レヲン”ニハル”が瓦礫に押し潰され犠牲になってしまった。


澪はナギを頼り、犠牲になった彼らの回生は保証されたが、再び ”本人” と鉢合わせに──


精神的にも最後の局面、ナギ達の本当(・・)の戦いが始まろうとしていた。

《ナギくん!それは虚像だよ!!……しかも、私が見えてるって……。》


「偽物?!……これが……」


虚像にしては解像度が異常に高い。


Dの操り手は、「チッ」と舌打ちをした後、気味が悪いくらいに優しい笑顔で僕のことを見つめてくる。

それと同時にD(ドゥリマー)の操り手は右手を広げて左手で『バァン』と撃つ素振りをする。


直後、右手には穴が開き動かなくなってしまった。


「ッッあっ……!…ぁ……」


しかし、もがき苦しむ暇も無かった。

彼の技は、次から次へと新しいのが出てくる。一体、あと幾つストックがあるというんだ……


『あぁーあ、両手が使えなくなってぇ俺にどう太刀打ちできるんだぁ?お前の絶対的自信だってぇ俺の前じゃあ無力だって、いい加減気づけないのかぁ?食物連…』


「食物連鎖の底辺ってさぁずっと言ってるけど、いい加減覚えたから。君の自己紹介。」


『はぁ?劣等なタレンター持ちがぁ確証も無しに何を言ってる訳?目上の人にはぁ、……言葉を慎めよ?底辺。』


その後も絶え間無く撃たれる彼のαマジックを避けながら、僕は此奴の弱みを考えていた。そして僕は、次から次へと絶え間無く放たれる彼のαマジックと、彼のタレンターの二つを結びつけた時に、見えてしまったのだ──勝利の種が。


《対抗できる術が見つかったの………?》


「ふと我に返って考えてみたら、分かったんだよ。」


Dの操り手、まぁ「(ドゥリーム)」とでも呼ばせてもらおう。D²は自分で ”夢を見る” ことで技を構築して放っている。つまり、夢牢獄で捕らえた人達の記憶に干渉して技を合成しているんだ。


《確かに……じゃないと夢牢獄に捕らえる意味がないよね。…ナギくんに頼って良かったよ。》


僕は澪にそう言われて心がほわっとした。頼られてるって、こんなにも嬉しいことなんだ。


「…ちょ、気が抜けちゃうから。」


『もうお前らを生かしておくつもりは無いからさぁ手の内明かすけど……大口叩いておいてぇ、絶望するなよ。』


するとD²は、何やら見覚えのあるペンダントを懐から出してから──


Re:lease(リ:リース)of(オブ)αfamily(α眷属)


僕らがあれ程苦戦したD(ドゥリマー)を、無数に放出した。

ペンダントを回収してたのも此奴か……


「え、……僕ら眷属は全て倒したはずじゃあ……」


勝利の種が少し欠けてしまった。

僕の見解が間違っていたんだ。あの時倒したのは、ほんの一部に過ぎないのか?


『良いなぁ…もっと朽ちた小汚い笑顔、堪能させてほしい……しかしぃこんなもん、俺のαマジックでぇ幾らでも補えるぜ?』


しかし彼がふと発した言葉で僕は───


「……オールコネクト。いい意味(・・・・)で全て終わる時が来たんだ!」


◇ ◇ ◇


異世界転生の初日───僕はシーク達に部屋を用意してもらった。それはとても豪華な部屋で、僕には見合わないとさえ思ってしまった。

窓の外は、曇りで霧がかかっていたが夜って言うほど暗くは無く、夕食まで時間があるらしいので、僕は部屋を散策していた。その時に偶々見つけた分厚い本があり、僕は完読に挑戦しようと思ったんだ。

しかし、本に書いてある文字はぐちゃぐちゃでどう読んでいいのかさえ分からなかった。

しかしその時、


「あっ、日本語。」


少し読みづらいが、内容は分かりやすく日本語で説明が書かれていた記事を見つけた。他の転生者さんが書いたのだろうか。


瑣末な話(雑学)にはなるが───そして禁忌とされた、構築魔法(クリエ・マジック)の使用者にのみ扱う事の出来得る魔法を紹介する。重ねて、死亡者が相次ぐ故に、興味本位であろうとも使用することを禁ずる。その名は───「■■■■■■の削除」。概念を消失させる魔法である。 著:大星 蒼』


「僕のタレンターについて書かれてる……」


しかし肝心な部分は、雑学がまとめてある書物なだけあって一文字ずつ黒塗りされていた。…まぁ、禁忌だしな。

僕は深堀りするにしても、疲労で頭があまり回らなかったので、一旦(しおり)を挟んで本を閉じてからベッドに横たわった。


◇ ◇ ◇


当時は黒塗りの部分を知りたいとも思わなかったが、僕のタレンターが導いてくれた。これだ、重要な鍵となるのは。


「澪、僕は今から禁忌を使う。もし僕に何かあったら、直ぐに主導権を入れ替えるから。澪のことを信じてるよ。」


《ちょ、ちょっと!!何する気?!…禁忌は使っちゃダメってことじゃないの?!しかも、何かある前提って……》



「夢って概念を、一時的にこの世から消すんだよ。」



刹那、絶えなく魔法を撃っていたD²が手の動きを止めて唖然とした。


『…………は?』


「お前、戦う度に賢くなっていく僕達が ”怖かった” から攻撃を続けたんじゃないのか?『思考』させない為に。」


『怖い、だぁ?底辺も程々にしてくれや。「食物……』連鎖の底辺さん。だよね?覚えたから、何度も何度も言わなくて大丈夫だよ。」


僕は彼と被さるようにそう言ってみせた。

D²は、軽蔑した目が更に悪化しした。そして同時に、両手を上げる。


《ナギくん、正気?!本当にやるの?!》


…危険が及ぶのは承知の上だ。やってみせる。


「黒塗りの言葉、それは────”セーブデータ”だろ?暗唱は、『セーブデータの削除:夢』。これでどうだ?」


──────────ッ!

……

………

…………

刹那、僕らにやるせない衝動が走った。

成功だ。その何らかの概念は消えてしまったんだ。

あの記事を書いた人……「セーブデータ」を暗唱に使うところ、腐っても日本人なんだな。


それにしても…本当に思い出せない。消した概念が。この何も出来る気がしない感じ、これが恐らく消した概念だ。

この魔法の副作用『死亡者が相次ぐ』ってのは、精神的にってことなんだろうな……


《転生してきてごめんなさい私が空から降ってきたことが元凶で色んな人に迷惑かけて尊い命を犠牲にしてそれなのに私ときたらナギくんの役にさえ立ててないし言っちゃえば足引っ張ってるようなものよね。》


澪は、早口で次々と自虐をする。

まずい、まずいぞ。その概念を消したせいで澪が壊れてしまった。これ戻るよな……


そして、僕の視界は地面からD²へと移る。

彼は呆然としていた。自身のαマジックが、僕の魔法によって失効してしまったのだ。


『あ………ぇ…………。』


「ようやく来たよ……形勢逆転。もう、この状況が覆ることは無いだろうね。……多分。」


D²は、惨めったらしく僕に殴りかかろうとしてきた───だが、ボディアビリティ(身体増強)をするまでも無かった。

此奴は弱かったんだ。自分一人では何も出来ない、所詮そんなもの。


「食物連鎖の底辺さん。僕らに負わせた深い傷、身も心もボロボロになりかけちゃってさぁ。しっかりと、僕らの制裁を受けて貰うからね。」


『冗談も、程々にしてくれや。』


「今更冗談なんて言わないよ。小さな頭で考えれば分かるでしょ?今の自分が置かれている立場。」


(ドゥリーム)は、それでも言い返してこようと息を吸ったが──


「もうお前が吸っていい空気は無いよ。勿体ないからね。……『アイスファング』。」


氷の牙は、彼に制裁を与えたんだ。

そうして、『α眷属であるD(ドゥリマー)(ドゥリーム)』との戦いに幕が閉じた。


◇ ◇ ◇


α眷属のDとの戦いは終わったが、課題が幾つか残っていた。


「消した概念の回復に、ルカ達の蘇生、シークやワンドリの安否確認。澪だって…大丈夫か?」


澪はさっきから応答が何もない。まずは消した概念を戻さないと、何も出来ない。

そんなことを呟いていた時だった。


「……ナギ様ッ!!!」


不意にシークが僕に抱きついてきた。同時に僕の心臓は高鳴りが収まらなくなった。


「シ、シークは、いつ(さら)われたんだ……?そして、何で僕って分かったのさ…」


「深夜、部屋を襲撃されたのです。それにナギ様がお城に初めていらした時には既に、ワンドリ様は攫われていたらしく……そして、私はひと目で分かりますよ。貴方がナギ様だということ、他に異常があることも。」


他の異常…不束二乗転生のことか。

それにしても、ワンドリは実際のところまだ一度も会っていないってことになるのか。

すると、ワンドリも僕の目の前に来て──


「ナギ殿、お初にお目にかかります。ワンドリと申します。名前だけでも。」


◇ ◇ ◇

これからは、《毎週日曜(木曜も)》の投稿になります。

出来や用事によって、変更を余儀なくされるかもしれませんが、これから宜しくお願いします。



話に応じての重要登場人物に『』を付けます。


素直に ”良い” ”悪い” と思ったら是非、この作品に評価をお願いします!


それではまた次回。 【* T/M眷属】

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