#20 転生者狩り a
Dを追い詰めて再び討伐したのだけど、彼は死ぬ間際にペンダントみたいな物を落としたんだ。
そして、それを何者かが神速で拾いに来る様子を目撃した。
その後、何故か一緒に夢堕ちした仲間も起きたんだ。一体何が起こっているのか。
◇ ◇ ◇
「こーら。ノア、無鉄砲に人を攻撃しようとしないの。今大変な事態が起こってることは知ってるけど。」
レヲンは優しくノアにそう指摘する。
「ごめんなさい……怪我とか、しませんでしたか……?…って、今誰って言いました??」
「だーかーら、”ナギ”だって!」
するとノアは、動揺しつつひどく号泣し始めたんだ。…まぁ、向こうからしたら僕は死んだ扱いだったからな。
《ナギ君、この2日で打ち解け過ぎじゃない?》
澪は、案外僕が人と打ち解けられることに驚いていた。
「ナギって言ってもまぁ、正しく言えば僕だけじゃ無いんだけどね…」
僕が苦笑いを浮かべた後、少し沈黙の時間が続いたんだ。後にルカが、
「ナギくん、何で生きているの?…あっいや、これは!死んじゃって嬉しいっていう訳じゃなくて!!ってか見た目も変わりすぎだし!…何があったか教えてくれるかな……?」
ルカも明るい振る舞いをしようと必死だったが、それも今は無理みたい。そりゃそうだよな。ワンドリまでいなくなって、戻ってきた挙句この様だ。僕だって向こうの状況を知りたいし、話しておく他無いな。
《ねぇね、大丈夫なの…?私の存在まで表にしても…この状況って、稀なはずだし…》
◇ ◇ ◇
一応まだ澪と融合してしまった事は言っていないが、それ以外の出来事を全て話したんだ。
「普通なら、夢の中で殺されてしまった人は現実世界に戻ることは絶対に出来ない。だが、ナギくんはその理を破ったと……そして、問題は ”D” だよね。こっちでも倒しきれなかったんだ。……でもよくやったよ!だって、無限再生の事実を視認出来たんだからさ!」
ルカはこの事象に納得出来ているのか出来ていないのか分からないトーンで困惑しながら事をまとめる。
「そして……一番大事っていっても過言じゃない事を、まだ言っていないんだ。」
僕が言うとルカは、
「…言えばいいじゃん?」
またもや困惑している。この顔もシークに似ているのが、複雑な気持ちになる。
《でもナギ君……》
大丈夫だよ。澪、何かあったら僕がカバーするからさ、さっき澪は私に任せてって言ったよね。今度は僕に任せてよ!
《そんなボロボロになって、…何が出来るか分からないけど……まぁナギ君に任せるわ。》
ちょっと皮肉混じってないかな??
僕は覚悟を決めて左手を前に出す!……っと、
左手は動かせなかった。
「僕がこの見た目になったのは、夢の中で死んだ後、もう一度転生した際に…あるもう一人転生者と融合してしまったからなんだ。」
「え?」
「ナギさん…」
「ナギ氏。」
「えぇ?!」
全員が困惑している中で、最初に話し始めたのは ニハル だった。
「ナギ氏、それは俗に言う………”二乗転生”ってやつですか?」
「もし信じられないのなら、今から本当なのか実践する。」
《え?!…ちょ、カバーするって言ったのに、何で?!》
あっ?!忘れてた!ごめん澪!!後でそれ相応のことはするから、言ってしまった故、もう後には引けないんだ!お願い……!
《…もう、ちゃんとナギ君だったよ。分かった。少し頑張ってみるわ。》
そして僕らは身体主導権を交代する。
《澪>ナギ》
すると、髪が見るうちに長くなっていって、目も少し大きくなり…男前?な姿から、華奢な女性の姿に変貌した。
その様子に皆、固唾を呑んでいた。そしてその様子に最初に反応したのは、やはりノアとレヲンだった。
「ぇ。えー可愛い!!!」
「ワンチャン僕らが負けているまであるぞ、この美貌。…分けて欲しいくらいだ。」
特にノアは、この上ない程に澪の姿、ミントグリーンの髪に輪廻色(虹色に黒が混ざった)の瞳、そして澪のタレンターである《アブソード・リターン》の ”黄色の瞳” に見惚れてしまっていた。
「えぇと……ご紹介に預かりました通りですぅ…。」
いざを目の前にすると、はやり皆が美貌過ぎる故、少し動揺してしまう。
すると、ノアが抱きついてきて―
「…初めまして。ナギさんのパーティーの、ノアです。ナギさんと女の人が同化しているのは、…ちょっと妬ましい所もあるけど、ナギさんが信頼している人なら、…私も大好きだよ。」
恐らくノアちゃんが抱きついてきてくれたのは、私が動揺しているのを見て、少しでも落ち着かせようとしてくれていたんだ。優しい子だな。
…って待って、私のことも大好きって事は……
ノアちゃんナギくんの事……!!
「ノアって、落ち着いているように見えても、案外好奇心旺盛な子なんです。優しい目で見てやって下さい。」
レヲンは「やれやれ」と言わんばかりの口調でそう言ってきた。
二人をまじまじと見てみると、瓜二つなんだなとつくづく思わされる。
「これがナギ君パート2か……」
「パート2じゃなくて入れ替わりですからね?!」
ルカが冗談っぽく言うと、ニハルは刹那の勢いでツッコむ。
などと、少しずつ明るい雰囲気を取り戻してきていたのだが……現状はそう明るいものではなかった。
そしてニハルはメリハリをつけて話し出す。
「ナギ氏、澪氏の混合…つまり二乗転生者。それは、非常に稀で…何ならほぼ前例が無い程に重大なことです。」
《二乗転生者ってだけで何か優遇されることはあるのか?って聞いて。》
あんたも好奇心旺盛ね…
「二乗転生者ってステータスで、何か特別に優遇されたりするのかしら…?」
するとニハルは深刻そうな顔をして―
「優遇はされると思いますけど…それより、この事実が公になったら……転生者狩りが静かにしていませんよ。」
「何……?その物騒な組織。」
「転生者って言うのは、そもそもが貴重な存在な訳です。それなのに、転生者同士の融合って来たら…どうなると思いますか?」
私はニハルの圧に少し押されそうになる。
「分かりやすい例だと、……α眷属なんかもそのひとつです。なにも転生者はいい眷属になるそう。…とまぁ、重い話でしたがそこまで心配する必要はありません。僕らができる限りの事はサポートします。」
それを聞いて私も、ナギ君も少しホッとした。
直後にルカが、明らかな作り笑顔と明るいトーンで、
「よし、話のキリが一旦ついたところで、シークやワンドリを助ける為の戦略を考えるよ!」
「いやまだ一旦キリついてないけどね?!……でもそうだね。何時までも冗長してらんないから!ルカも、…無理して元気な振りしなくて良いから。うちらが付いてる。信じて。」
レヲンがそう言うとルカも、ようやく本心らしい微笑みを魅せて
「……うん。追い詰められてたみたい。でもこれからはナギ君や澪ちゃんがいるし、心強いかも。」
そうしてナギらは、幸いにも表面上しか被害を受けなかった魔王城で、休憩かつ戦略を練り始めたんだ。
話に応じての重要登場人物に『』を付けます。
素直に ”良い” ”悪い” と思ったら是非、この作品に評価をお願いします!
それではまた次回。 【* T/M眷属】
※2025年二月末まで投稿頻度が少なめです。




