#2 最終決戦モドキ I
僕は、異世界転生を夢見ていた。だか、僕の転生は、想像を遥かに超えるものだった。何故ならー。
「んぁ…」
凪はしばらくすると意識を取り戻す。
ともかく、ここにいたら絶対にやばい気がする!!本能がそう言っている。
冷静に焦りながら、凪はこの薄暗い場所から脱出しようと試みる。
一向に雰囲気が変わらないんだが、…もしかして、異世界って全部こんな感じなのか?そろそろ絶望しそうだなこれは…
しばらく進んでいくと、凪は空間にぶつかる。
「っあ痛た!……んだよ。ぼけてんのかな…ってあれ、ここ何も無いよな。でも、この空間触れる…これ……結界ってやつか。」
凪は色々驚きすぎて、もう何が来ても驚かない。
『勇敢な勇者よ……よくぞ我の元まで来れたことよ。それに関しては褒めてやろう。…だが、我に出会ってしまったからには、もう逃げられはしないわ。』
凪が後ろを向くと、ついさっきまではなかった城が目の前に移動していた。おいおい城が移動してきてどうすんだよ。
「お、おお!人がいて良かった!でで、も待て、俺は別に勇者としてお前を、あなたを倒しに来た訳ではなくてですね…!」
『フッ、何を馬鹿げたことを澄まし顔で言えるわな。そんな訳あるか。』
「本当だ!信じてくれ!っ…俺がおま、あなたを倒しそうに見えますか…?」
凪がそう言うと、魔王は少し戸惑う。
意外と話が通じるんだな。
『まぁいい、殺す前に名前を聞こうぞ。』
おい!全然話通じないじゃねーか!!
え、今殺すって言ったよな。あぁもう、あり得ない。転生してきたばっかだってのによ、魔王城に転生してきて、それでさえ災難だってのに、この仕打ちかよ。
『ふむ、状況は理解した。そうか、そうなのか、お前は、転生者か。ハッハッハ!それは災難だったな!我の城の前に転生してきちまうなんてよ!とりあえず、しばらくは我の城に住まうといい!お前、もう一度聞くが名前は何だ?』
「あ、ありがとうございます!光栄です!!」
こんなの本望じゃないんだけどな…
まぁ殺さないでくれるのならいい…か。
「僕の名前は、瀬戸内 凪っていいます!」
『セトウチ、だと?』
魔王は妙な反応を示した。あたかもその名前を知っているかのような。
「あぁ、はい。それが、…どうしました……?」
『肩苦しく話すでない、もっと肩の力を抜いてくれ。そうだ、………勇者セトウチってのがいてな…この世界で2番目に強いとされる魔王、ヴァルを石像に封印したやつだ。あいつはかなりの腕の持ち主でな、確か、エアトゥイストの魔法を操るんでなぁ。』
突っかかる点が幾つかあるな。
魔王って何人もいるのか?エアトゥイストって何だ?……なんでこの魔王は友好的なんだ?
『あぁ、そうだなぁ魔王ってのはn…』
「ストップーー!」
『なんだ、話の間に入ってくるでない礼儀というものを知らんのか。』
「そうだな、申し訳なく思いま…思う。なんでお前は、俺が考えてることが分かるんだ?不気味で怖くてな…」
『ハッハ!なんだそこか、それはただ、我が相手の思考を汲み取る魔法を使ってるからだ。』
「その魔法に名前はないのか?」
『それがなぁ、流通してる魔法にしか名づけはされてないんだ。だからつまり、これは我が考えた魔法なんだ。』
「そうなのか!すっきりしたよ!って、スッキリしてねーよ!まだ聞きたいことだらけだよ!」
『ハッハッハ!面白いな!ナギは、あぁそうそうセトウチナギで思い出したのだが、この世界では、貴族以外二つ名を持ってはいけないのだ。セトウチ・ナギどっちかの名前しかつかえないという事だな。』
「そうなのか、……じゃあ俺はナギでいいかな。」
瀬戸内も捨て難いのだがな。
『それじゃあナギ、お前の話は城の中でゆっくりと聞かせてもらおう。』
「あぁ!」
話に応じての重要登場人物に『』を付けます。
素直に ”良い” ”悪い” と思ったら是非、ポイントや感想、アドバイス等してくれるとより成長できると思います!
それではまた次回。 【* T/M眷属】