#17 勇者より勇者 a
澪から、ここ二日で何があったのかを聞いたんだ。
Dのことや街のこと、β…とか言っていた人。
そこには時々突っかかる点もあって……
そんなことを考えていると、澪は凪に訊いた。
「勇者セトウチは、何故襲いに来たのか」と-
僕らは体の主導権を入れ替える。
《ナギ>澪》
「盲点だ…何故今まで違和感を感じなかったんだ。勇者なら友好的な魔王も区別できるだろう。そして、何故シークではなく”ワンドリ”を狙っていたのか……」
《ナギ君って、頭良いと思ってたのよ…私。案外馬鹿みたいね…》
「どストレートに言うな!…って言っても、僕……ずっと突っかかっている事があって。実はセトウチが去り際に、僕に言った言葉があるんだ。突として気をつけろと、そう言って帰って行ったんだ。」
《全く、何でそれを早く言わないのよ。警告されてるんだからその時点で察しなさいよ。》
「ご…めん、なのか?」
セトウチはワンドリを襲い、僕に警告をした…
「これって何かの暗示じゃ!」
《暗示も何も、気をつけろって言ってるじゃない…話を聞く限り、警戒するべきはそこでぐうたら寝ている、ワンドリさん…だっけ。》
澪は呆れた口調でそう言う。
そして僕らは眠らされた人達に駆け寄り、調査を進める。
目立つ傷も、何も無いな……と言おうとした刹那
『あなた方ぁ、今更気づいても遅いですよぉ?一目で分からないのですかぁあ?低知能な食物連鎖の底辺めぇえ。』
そう、僕らが目印を付けたワンドリ、彼の皮膚の構成は明らかに違うものだったのだ。人の細胞なのに細胞壁があり、バリバリと音がするのだ。そして、皮膚構成は不定期に変わり、それが繰り返される不愉快極まりないもの。
「ワンドリは元々存在しなかったのか?そして、夢牢獄中にいるみんなはどうなった。」
『あーれぇえ?俺と今対面してるのにぃ、怖いはずなのにぃい!…そこ、気にしちゃいますかぁああ?えぇえぇ、てめぇらの敬意にお答えしちゃってぇえ、教えてやらぁあ!』
僕らは息を呑む。
『ナギってやつぁあ、殺したぞぉお。あのガキはやる気ばっりでぇ、何にも出来ねぇ食物連鎖の底辺だったなぁあ!』
かなり侮辱された気がするけど、どういう事だ?僕が誰だか分かっていないのか…?
だったら、絶…
《絶好のチャンスよ、ナギ。あいつに正体は悟られていない。》
「先に言うなよ…でも、お前の鬼才はもう見たからな。”対策済み”だ。」
直後Dは、シークが見せたあの呪い、”スリープリズン” を動きそのままかけようとしてきたんだ。
「シークも存在しなかったんだな……夢見せやがってこの外道め。」
『いやぁあ?二人とも存在しますけどぉお?記憶を借りる為にぃ、少々。』
「少々なんだよ!話し始めたら最後まで話せ!」
《ナギ、来るよ呪い。対処出来ないなら変わってよ、早く言ってね、無理しちゃダメ。》
確かに、呪いにどう対処すればいいかなんて分からない。しかも、殺したはずなのにまた現れるとか聞いてない。
僕のタレンターでは対処出来な……待てよ。
確か僕のタレンターは余分に一つ色があるんだよな、黒かったはず。そして、普通の魔法では効かない。それすなわち、何かに特化しているはず…それなら、思いつく限りの種類だと…呪い、そして ”α眷属”独自の魔法 。そう考えてみると、αの魔法は毎回術式が真っ黒なんだよな…よし、……大雑把すぎるけど多分辻褄が合ったな。
《ナギくん、…考察能力が半端じゃ無いわね…そんなに頭脳派だった……?》
「元を知らないくせによく言うもんだ、全く。それでは、これは僕の考えたクリエマジックならぬ ”αマジックによる” 、君の為の魔法だ。」
『俺のためぇえ??違和感を見つけるのに長時間もかかってら奴らがぁあ、どうせここでナギみてぇに死ぬ奴がぁあ、食物連鎖の頂点に歯向かうんじゃねぇよぉお!!α nightmare!!!』
「単語を繋げるだけじゃあ、意味ないぜ?」
《ブレイブ*ファントム》
僕は魔法を繰り出した。見た目上僕も単語を繋げているだけのように思えるが、まぁ見ててよ。
刹那、真っ黒な勇者セトウチの幻影が姿を現す。
「一人で対処出来ない時は、”連携”ってのも、素晴らしい選択なんだよ。そして、使い方によっては”思いもよらない”事だって起こるんだ。」
そして、勇者の幻影と悪夢が衝突する-
【*T/M眷属】小話
Dと言うα眷属はまだ世間に知られておらず、恐らくこの襲撃諸々を通して知れ渡り、混乱が起こってしまいます。それ程に恐怖の存在なのです。しかし、それに立ち向かったナギらはかなりの強者だと、鬼才という言葉が似合うと思います。
話に応じての重要登場人物に『』を付けます。
素直に ”良い” ”悪い” と思ったら是非、この作品に評価をお願いします!
それではまた次回。 【* T/M眷属】




