閑話. 変な部屋 ~ヴィッツの不思議な夢~
皆さんこんにちは、ヴィッツと申します。
今回は、妹から質問された屋敷の調査をしている最中に見た、変わった夢のお話です。
それは、例の屋敷を見に行った日の夜のことでした。
「…あれ?」
先ほどベッドに入ったはずの私の目の前には、例の屋敷の2階にある部屋にいました。
すぐに振り返り出口から出ようとしましたが、そのドアにはカギがかけられ、何やら張り紙がありました。
この部屋は次のルールに従わないと出ることができません。
①時々異常が見つかる時があります。
②その異常を見つけたら、バルコニー向かって左の扉から次の部屋に向かってください
③異常が見つからなかったら、バルコニー向かって右の扉から次の部屋に向かってください
④出口の上にある数字が「6」と書いてある部屋からしか廊下に出ることができません。
この部屋には異変はないので部屋の様子をよく観察し、観察したと思ったら右の扉を開けて次の部屋に行くこと。
「…(閉じ込められた?)」
どうやら私は、例の妙な屋敷にとらわれすぎて、変な部屋に来てしまったようです。
部屋の中はまず私のいる入口の近くの左側に子供が勉強するような机と椅子、そこからバルコニーに向かって左の扉、そしてベッドとカーテン付きの窓があります。
右側には本棚…上の段にテディベア、真ん中の段には本が3冊、下の段には何もなく、その隣にバルコニー向かって右の扉。
そしてバルコニーに出られますが、そのカギは外にあってバルコニーには出られないようです。
バルコニーには特に何もなく、左右には隣の部屋のバルコニーが見えました。
そして部屋の床を覆うカーペットの赤色…それも覚えておこう、と思いました。
「…(右の扉ね)」
私は、その指示に従って、右の扉を開けたのです。
「…?」
右の扉をくぐると、違和感がありました。
入ってきたのは先ほどの部屋のかぎがかけられたドアで、決して右の扉を通った時に自然に見える光景ではなかったのです。
そして扉を閉め、その上にある数字を見ると「0」になっていました。
「…(なるほど、あれが「6」になるのね)」
つまり、この部屋から異変を探して、異変があれば左の扉、なければ右の扉をくぐって「6」の部屋を目指せということのようです。
部屋を見ると、先ほどの部屋に似た部屋が広がっていました…が。
「…カーペットが青い?」
これは異変のようです。
私は左の扉をくぐりました。
「…」
次の部屋の扉の上の数字は「1」
どうやら正解だったようです。
ふと今回は強烈な違和感がありました。
「…部屋が広い?」
いや、とかぶりを振ります。
何かがない…あ、ベッドがない。
あんな大きなものなんでなくなるんでしょうか。
ともかくこれは異変のようです。
私は左の扉へと再び向かいました。
そして3、4の部屋には異変なく右の扉を通って、5の部屋に来ました。
ここまですべて異変ありのパターンでしたが、案外簡単に部屋から出られるかもしれません。
「…」
よくよく観察しましたが、特に変化はなさそうです。
意を決して私は、向かって右の扉に手をかけ、そのまま一気にドアを潜り抜けました。
「…あ」
それは久しぶりに出た声でした。
部屋の中には私以外の人がおらず、会話をする必要がない部屋というのもありますが、さすがにその無慈悲な数字には声が出ざるを得ませんでした。
そう、入口の上にある数字は「0」
「…(異変があったわけか…いったいどこに?)」
しかし、その部屋にはすでに戻れず、仕方なく再び戻ってきた「0」の部屋に集中することにしました。
今度は簡単に異変がありました。
「…椅子が二つ?」
机の前にある椅子が増えていました。
次の2、3の部屋は異変がない部屋で続く「4」の部屋。
「…」
今回も異変なさそうだけれど…そう思いながらふと振り返った入口の扉。
『ここに異変はありません』
という張り紙が貼ってありました。
…ご丁寧にどうも、異変さん、そう思いながら私は左の扉をくぐるのでした。
そしてついに来た「5」の部屋でしたが…。
「…(本棚の一番下、何もなかったっけ…?)」
後から思えば、最初の異変のない部屋で本棚の一番下には何も入っていないことを確認していたのに、疑心暗鬼というのはこういうことなんでしょう。
私は、それが気になって左の扉を通っていました。
そしてそこには無慈悲な「0」。
そんなことを繰り返し、何度も「0」に戻りながら、どれぐらいの時を過ごしたのでしょう。
「…(やっと「5」に戻ってこれた)」
ようやくたどり着いた「5」の部屋、この部屋をクリアすれば終わりです。
そして私は入った瞬間、強烈な違和感に包まれました。
「…(なんか暗いな)」
そう、先ほどの部屋より暗く感じたのです。
そしてその違和感の正体はすぐにわかりました。
「この部屋、窓が、ない」
私はそうつぶやくと、私は右の扉を開け、「6」と書かれた部屋の机に、カギを見つけました。
おそらくこれで入り口を開ければ戻れるということでしょう。
そしてカギを使ってドアを開け、なんとなく後ろを振り向くと、先ほどから何度も見た無機質な部屋。
何も感じないわけではありませんが、私はその扉を迷うことなく開けて外に出ました。
その瞬間、柔らかい小さな声で誰かが『お疲れ様』と言ってくれた気がしました。
「…んっ」
「ヴィッツお嬢様、お目覚めですね」
目を開けると、そこには見慣れたメイドの姿。
「おはよう、メアリ」
「おはようございます、調色の準備ができておりますよ」
「ありがとう…」
そういって私は部屋の扉を開け、調色へと向かいました。
あの夢はいったい何だったのか、私にはわかりません。
あの部屋の謎を解いた私はようやく、例の夢の部屋を冷静に見ることができています。
そして、あの部屋の間取り図を改めて書いてみると、あの公爵邸の2階にある部屋に酷似していることがわかりました。
「…」
テディベアがあったということは…もしかしたら、サーラ様のお母様がご存命中に、サーラ様が住んでいた部屋なのかもしれません。
ということはあの声は…というところでふと思い当たりました。
もしかすると事件を追いかけている私を、サーラ様が自分の部屋にご招待くださったのかもしれません。
そんなことを思いながら、ふとクリーナさんの口調を真似て言ってみたくなりました。
【いやこれは、私の妄想ですよ?】
~fin...~
「この部屋、窓がない」これを言わせるためだけに、先日流行った某ゲームリスペクトで執筆。
そういえば、〇な家と〇番出口のコラボ、できそうですね。




