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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

夢と白い少女

作者: 四つ腕の武甕槌命

皆様初めまして。四つ腕の武甕槌命です

この作品は私の処女作となっておりますので表現力もまだまだ浅く納得いかない点や、至らない点が多々あると思いますが暖かい目で見ていただければ幸いです

ジャンルとして微ホラーとなっておりますのであまり怖くは無いかもしれませんが楽しんでいただければ幸いです

ピッピピッピピ…


携帯がそんな不規則なリズムが朝の日の出と共に鳴り響く


「んっんんあ〜……」


そんなふぬけきったような間延びした声と共に起床した彼女の名前は野菊ヒナ高校2年生


「今何時だ〜?」


相も変わらず間延びした声で携帯を確認する

軽くぼやけた視界では数字を正確に認識するのに時間差が生じる


携帯に写っている時間は七時と二十三分

今から準備すれば高校までには少し余裕がある


「あれ!?凄い汗だくじゃん!」


お風呂に入らなきゃなぁ……そうぼやきながらも急いで準備を始める



「行ってきま〜す!」


準備を終えた私は母の遺影に元気よく挨拶をして、目の前にあった食べ物を適当に取り

朝食として片手に持ち家を飛び出して行った






「おはよ!野菊」


手を大きく振り、自分の存在を伝えんとしている彼は武田マサミチ

私の幼馴染で毎朝高校に行くほどとっても仲が良い!

野菊と武田はいつも一緒にいるが、武田は野菊に恋心を抱いている


「おはよマチー!」


愛想良く、大きく大袈裟に手を振りかえした


「だからマチって呼ぶなよ……女の子みたいな感じで恥ずかしいんだよ」


恥ずかしそうにしながらもどこか嬉しそうにそう返す

マチは女の子みたいな名前は嫌なの〜?いたずらっぽい笑みを浮かべながらそう言う


「あのなぁ?男は……ってお前それ何食べてんの?」


片手にある袋からひとつずつ取りだして食べている小さな物はなんだろう?そんな疑問を武田は少しだけ言いずらそうにしながらも口に出す


「あぁ〜これ?アサリ」


何気なくアッサリと答えた野菊に少し驚きつつも聞き間違いと思い再度聞き返す

しかし聞き間違いではなく本当にアサリと言っていたらしく。再度アサリと帰ってきた


「あのなぁ……普通朝ご飯にアサリを食べ歩くか?」


「だって目の前にアサリがあったんだもん」


それ以外に理由は無いと野菊はアサリを選んだ事に少し思うところはあったのか、はにかんだ笑みを浮かべながら言った


「……あっ!」


アサリを食べようと1つ取り出そうと手を伸ばすと小石につまづいて綺麗な勢いでコケてしまった


その勢いでアサリもボロボロと落ちてしまい、比較的綺麗に澄みきっている川に落ちてしまう


「あぁ〜私の朝ご飯!」


そう叫ぶと立ち上がり川に飛び込まんとする勢いで小走りをし、アサリ達を見下ろす

今取るからちょっと待ってて!そう武田に告げると座り込み、靴を脱ごうとする


「お前……川に落ちたアサリ食おうとしてんの?」


汚いから辞めた方が良いと武田から言われるも、勿体無いと野菊は訴える


仕方ないな……そう言いながら武田は靴も脱がず川に飛び込んだ




「これで全部か?」


拾い集めた武田は問うが

アサリは沢山あったからわかんな〜い、そう帰ってきた


「あれ?マチ〜その手に持ってる石は何?」


石を持っているという自覚が無かった武田は


「なんだこれ?気味悪ぃ」


不思議そうに言いながら水切りの要領で投げようとしたが野菊にせっかくだし取っとこうよ!

と笑いながら止められた


そんな光景を遠くから笑みを浮かべ眺める1つの小さな影があった事を2人は知る由もなく登校を続けた


「てか今何時だ?」


武田が唐突にそう問いかけた


「ええっと……八時二十一分」


それを聞くや否や

走らないと間に合わない、そう言い走り出した







昼時、休憩時間を知らせるチャイムの音が鳴り響く


「お昼だぁ〜!」


野菊はそう叫び武田を誘いそそくさと弁当を用意した


「あっ!今日は私の大好きなヤツがある!」


お母さんいつもありがとう!と笑みを浮かべながら大好物のシュンギクのバター醤油炒めを頬張る


「お前いつも思うけど好みがほんと渋いよな……」


武田はそんな疑問を口に出すが

野菊は、だって美味しいんだもんとほっぺにシュンギクを沢山口に放り込み、膨らませながら言葉を返す




弁当箱がそろそろ残り半分を切った頃、野菊は教室が異様に静かな事に気付いた


「あれ?みんないない」


目の前で一緒に食べていた武田もが影も形も見えなくなり不安感を覚えたが、そんな不安も一瞬にして消え、食べる事に夢中で、気付かない間にトイレにでも行ったのだろうと考えがよぎった


「マチは良いとして他のみんなはどこにいったんだろ……」



「……ごちそうさま〜」


弁当箱の中身がすっかり空になりやる事も無くなった野菊は

未だ誰も教室に帰ってこない事を不思議に感じた為、教室から出て探してみる事にした




ひととおり探したが人所か隣の教室で飼われていた金魚すらもが水槽から消えており自分以外の生物が誰もいない事を悟った


「みんなどこ行ったんだろ……」


後ろを振り返ると野菊は何か違和感のある物を見つけ近づいていく

近づいてくと段々と見えてきたのは、1つの小さな影だった


野菊は小さな影を何故か小さな女の子だと認識した……いや認識が"できた"


なぜ女の子だとわかったのかだろう?としばらく考え込んでいると

女の子の影が走り出し階段を駆け下りていく

野菊はなぜだか走って追いかけようとし、階段に差し掛かった時、足がなにかに引っ張られたかのように体勢が崩れた


あっ……そんな言葉がとっさに漏れた。このままこけてしまうのだろうか、この体勢のままこけてしまえば確実に頭から落ちる。

あぁ……私死ぬんだそんな事が脳裏をよぎった刹那


「野菊!危ない!」


そんな言葉が背後から聞こえ、腕を掴み、後ろに引っ張りあげられるかのような感覚におちいった。いや実際に引っ張りあげられた


「ありがと……マチ」


少し恐怖を感じていたのか目も合わせず座り込んだまま御礼を告げ、武田に何があったのかを聞かれ、説明するがほとんど信じて貰えず、階段では気を付けろと少し説教をされてしまう







「ただいま〜……」


普段元気よく自分が家に帰った事を告げる野菊だが、昼食時の事があったのか少ししょぼくれた様子になる


「おかえり〜お姉ちゃん!」


野菊とは対照的で元気よく声を出し、姉に抱きつこうとする彼は野菊ミナト。姉が大好きな小学四年生


姉は普段は元気よくミナトに抱きつき返してくるはずなのだが、その日の出来事を思い出していた故か、ミナトの存在に気づかず、自身の部屋にそそくさと入っていく

ミナトはその行動に少し違和感を覚え、少し考えるが、今姉は何らかの理由で元気が無いのだろうという事に気付き、そっとしておく事にした


「お姉ちゃん大丈夫かな……」




はぁ〜……野菊はそんなため息を大きくつきながらベットにだいぶした


あの時、階段を降りようとした時絶対誰かが足を引っ張ったよね……

そんな事を口走りながら腕を頭におき、色々考え事をする

疲れが溜まっていたのか一気に眠気が襲ってきた野菊は眠りたいと言う衝動に身を任せ眠り落ちた





夢を見た

何故か自分が団地の階段を上がっている夢を。

階段を上がっている最中、少女が顔を大きくしたかのようになり、笑顔を浮かべ自分の目の前に姿をあらわす。だが何故か自分は目の前にいるにもかかわらずひたすら階段を上がるそんな夢だった。




朝、起床した野菊は武田に変な夢を見たと話すが

まぁ夢だしなと返され確かにそうだと思い特に考えない事にし、何事も無かったかのように今日も高校へと向かう







その日は気にも止めていなかったが、それから同じ夢が毎日のように続いた

同じ夢を見ていたが野菊だが、とうとう団地の階段を上り終え、何故か屋上についていた


「あれ……?」


そんな言葉がぽつりとこぼれ落ちる

何故屋上に出たのだろう?そんな疑問を抱きながら辺りを見回している最中、何かに誘い込まれるようにして階段を上っていた時と同じように足が前へ進み出した


そのまま野菊はどこへ行くのだろうと疑問に思いながら前へ進む

数歩ほど前へ歩いてると、元々狭い屋上なのもあり、目の前には柵が見え、後1歩進めば当たってしまう寸前まで来てしまっていた。しかし足は歩みを止めようとはしなかった

その時、私は階段で頭からこけ落ちそうになった事があったのを思い出した

あぁ……このまま落ちるのかな?

そんな疑問を胸の中で唱えているといつの間にか足は柵を踏み越え、野菊は撃ち落とされた鷹のような姿勢で落下を始めた

夢の中であるはずなのに感じる妙なリアル感

落ちている最中でも分かる。この団地は恐らく7から8階

この高さで、頭から落下したらまず助からないだろう

野菊はバンジージャンプやジェットコースター等の物を体験した事が無く初めての落下経験で心臓はバクバクなっている


そのまま為す術なく野菊は落下を終え地面に衝突……

しかけた所で目が覚めた


目を覚ますと川にでも飛び込んだのかという程に身体中が汗でまみれている

時間を確認してみれば七時と四十九分急いで準備をしなければ間に合わない

だが体が震えで動かない






身体に鞭を打ち即刻準備を終えた野菊は高校へと向かう


「おはよ!野菊」


「おはよう……」


いつも元気良く挨拶を返すはずの野菊が元気を消失したかのように言葉を返す


何かあったのか?疑問を抱いた武田は野菊を心配し、そんな言葉をかけたが野菊はなんでもないと返す


高校へ向かう最中、二人は会話をする事なく気まずい空気で登校する





三時間目の音楽の授業


「皆さん今日はギターの弾き語りをしたいと思います」


そんな言葉を先生がはなってから早数ヶ月、他の生徒達はほぼ皆がある程度まで上達しており野菊は精一杯努力するも上手くいかず危惧したりもするが武田の力を借りつつ日夜成長している事に喜びを覚えつつこっそり家でも練習しているのだ


そんなこんなで授業も残り後半えと入ったタイミング、突然ピアノが鳴り出す

どこか聞き手を不安にするような不気味なメロディーを奏でるピアノは、私以外には聞こえないのか誰も反応を示さない

何故だろう?不思議に思いつつも何故か今朝見た夢を思い出し、少し恐怖を覚えながらも確認する


「誰もいない……?」


椅子に誰が座っているか確認をしたが誰もいない事に恐怖を覚える。

前に1度、学校から誰もいなくなった時に感じた違和感

その時に感じた違和感が再び呼び起こされる。ピアノに座っている者の正体が少女だと何故か理解できる


「貴女は誰なの?」


心臓が締め付けられるように恐怖が私をおおいまとう。


少女は脳の中に直接響くかのように笑い、ピアノのメロディーは激しさを増していく


私の脳内にピアノも笑いも脳内に響き渡る

恐怖の苗を心臓に植え付けられたかのように鼓動が増し続け、先程とは比にならない程の多大な不安感が心を襲う


「マチ……!!」


自然とそんな言葉が漏れだす

真っ先にマチに助けを求めている自分がいることに驚いたが普段からよく一緒にいるから当然だと心のどこかで納得をしながら武田の元へと駆け出していく


「マチ助け」


助けて。そう言いかけた所で言葉が止まった


武田は仮面を被っているかのような笑顔を見せる

どこか虚ろな目を浮かべ、ただ一点野菊の方を見つめていたからだ


マチ……?どうしたの?

心の中でそんな気持ちが溢れ、声に出そうとした時、突然マチが立ち上がり、私の方へと近付いてきた

逃げた方が良い、私の生物としての本能がそう叫んだ


このままじゃまずい!早く逃げなきゃ……


逃げようと後ろを振り向くと、マチと同じ仮面をつけたような笑顔をした同級生が取り囲んでいた


逃げれない……そう悟った


心の中で何度も唱える


死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない


何度も唱えた

やりたい事も

食べたい物も

行きたい所も

見みたい所も

未だ想いを告げてない人も……

あぁ……私こんなにやり残したことがあったんだ……

まだ死にたくない……



心の中で何度も何度も唱える事に集中し過ぎていたせいか、今の今まで自分がどんな状態にあるか気付かなかった


夢で見た時とは場所は違えど状況だけは対照的で正夢となり帰ってきた

恐らく私は学校の窓から落ちているのだろう

落とされた感触はなかった。

きっとまた何かに引っ張られるようにして私から歩いたのだろう

気を紛らわそうと必死に状況把握したが、すぐまた恐怖で埋め尽くされる


あぁ……このまま死ぬんだ


私が最後に見た光景は笑顔で見送る同級生達と初めて見た人

まるで、触ってしまえば簡単に溶けてしまう雪を思わせる程に美しい……綺麗な純白の髪。赤い目の少女

少女は大きく歪んだ笑みを浮かべている

この子が階段の時の子だったのかな……?どこか納得してしまう


時の流れがとてもゆっくりに感じる

今までの思い出が脳裏に幾度となくチラつく

これが走馬灯なのだろうか……?

もう何も考えたくない……

野菊ヒナは最後にそう思った





そしてそのまま、辺りに骨が奏でるどこか生々しい音色が響き渡った





あぁ……なんでだろうとっても安心する


先程までの恐怖や不安が嘘のように無くなり、どこか暖かい……優しい温もりが私を包んだ


ただ今はこの温もりを感じてたい……


心はどこか暖まっていく

しかしそれとは逆に体は少しづつ冷えていくゆっくりと私はただの肉塊に近付いていく


眠く……なってきたな……


「おやすみなさい」


声にならない程の声量で最後の言葉を吐き出す


そのまま私の意識は少しづつ薄れていった


最後に私は ピッピピッピピ…

そんな不規則なリズムを聞いて眠るようにして今の私の人生は閉幕となった

楽しんでいただけたでしょうか?

最後まで読まれた方は、ほとんどの謎が謎のままで気になると思いますので少々解説をさせていただきます


1つ目、白い少女の正体

この少女はですね、主人公の住んでいる土地で昔、8歳と言う若さでそれはもう沢山の人を残虐な方法で殺めていた快楽殺人鬼です。流石に捕まって罪を償わされ、亡くなられたのですが、死して幽霊となっても尚人々に牙を向き続けたので、霊能力者の偉い方々がそこら辺の石に全力で封印したと言う経緯を持っています

ちなみに主人公を襲った理由はただの暇つぶしとちょっとした復讐程度の物です


2つ目主人公が見ていた階段をひたすら上がる夢は何か

あれはただの夢です白い少女とは少ししか関係ありません


3つ目主人公の名前

主人公の名前は野菊ヒナと言うのですが、私はこの小説内では、"野菊"としか表記しませんでした。

それはヒナと言う名前はとある花の名前をもじった物だからです。他に理由はほぼありません


くらいですかね?

実はこの話、前日譚みたいな物でして……

しばらくは別の物を書いたりすると思いますが、また機会があればこの作品の続きを書きたいと思っております

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