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あぁ、今日も天気は曇りだ

まぶしい朝日が刺さず、冷たい雨音も聞こえない


曇りは心を和らげる。

曇り続ける心を晴れやかす。


 小学生のとき雨が好きだった。肌を焼きつける太陽は出ないし、陰鬱な雲も見えない。

耳をたたきつける雨音が好きだった、陰湿な思い出が紛れるし、友達の出来ない毎日が忘れられる。

雨でふさがる視界は鈍色の心を鮮やかにしてくれたし、雨水に集まるナメクジや雨水に跳ねるアジサイが好きだった。街は赤、キイロ、黒の傘で彩られ、街交う人の会話にクスッと笑った帰り道の雨。

 いつからか曇りが好きになり、晴れやかな空とどこまでも続く空の青さも気に入るようになった。

12歳からの雨音は心の影をただ暗くするだけで、私の自殺願望までは癒してはくれなかった。


 中学生のころ、私の成績と未来に起こるだろう人生の悪さを知覚し、ひたすら今日と明日のわからぬほどに同じような毎日を繰り返していたた。そのたびに後悔をしながら眠りについた。

ハンコを押すような毎日にただ2つ、嵐と落雷だけが心に響き、季節の移り目を教えてくれた。

豪雨は私の靴下をグジャグジャにして、空は雲をどこまでも暗く分厚くした。

度々起こる罵詈雑言の幻聴は、ある時からイマジナリー友ちゃんに変わってくれた。その時初めて話し相手が出来て、やっと安心することができた。

 晴れはどこまでも眩しく、晴れるたびに私の瞳を焦がしつけた。学校にはいつも照らしつける人がいて、学校を晴れやかに彩り、そのたびに私の居場所を減らした。私は苦しい光から目をそらし、日が出るたびに日陰へ逃た。


 高校生の頃、自分で選んだ学校へ通った。行っては帰る登下校のさなか、気づけば何も実らない自分がいた。どこにでもいて、何に者にもなれない、虚無が独り歩きしたような高校生だった。毎日が霧のように先が見えなず掴みどころがない世界で、そのくせ鏡には幼いころ最も嫌った姿が毎朝映っていた。

 今の私は雨を嫌い、曇りを好んでいる。

雲の陰りに光を見つけ、その光に憧れている。

陳腐な言い方をすれば雲につく銀の裏地というやつだろう。そしてその光を見失わないように集めている。

希望という言葉は嫌いだ、だけど「光を目指し続ける」この様な表現に憧れる。まだ太陽の照り付ける光はまだ好めないけど。


未完成のメモを脱稿しようと思う。明日の天気が曇るように。





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