番外編*清水健一の恋愛観
時・ある日の午後
場・カフェ内→カフェ前
◆
涼真「店長はずっとお店にいて働いてますけど、体は大丈夫ですか?夜もボクの勉強見てくれたりと自由がなくて。プライベートも大切にして下さい」
清水「嬉しいですね、お気遣い感謝します。けれど娯楽時間も取ってますよ?前に話した吹奏楽や飲みに出る日もありますし」
涼「四六時中ボクがいて交際されてる方とも会ってないんじゃ」
清「独り身ですよ。実は涼真君と出会うひと月前の…バレンタイン一週間前にフラれました」
涼「え、店長でもフラれるんですか!?」
清「フラれますよ。たいていが私のこの丁寧な口調が気に入らないらしく、「よそよそしい」だとか「さん付けはやめて」と言われます。わかってはいるのですがどうも出てしまいまして」
広瀬「僕は店長の女性遍歴を見てきたから色々知ってるよ?カフェに連れてきてたしね。大学生の時は4人だっけ?」
清「3人です。二股はしたことありませんよ?」
広「あの事件はおもしろかったな。いきなりフッた話」
涼「なんですか?聞いてもいいですか?」
清「大学3年のときの交際相手の家での話です。片づけの苦手な性分なのか部屋中に衣類が散乱している方で、他人なら構わないのですが交際相手となると私の生理的嫌悪が働きまして翌朝帰宅する際に別れようと告げたんです」
広「前夜にしっかりベッドでお相手してから別れ話を持ち出すあたりが店長らしくて笑えるんだ」
清「笑えますか?自分でも異性に対する理想が高いのは認めますけど。涼真君は恋愛はどうですか?」
涼「中学生のとき好きな人はいたけど、付き合った経験はゼロです。今はあまり興味ないです」
広「硬派だね。まあ涼真君なら美羽のように素敵な女性と巡りあえるよ」
涼「あ、またノロケ。でも広瀬さんと美羽さんは誰が見ても憧れのカップルだと思います」
広「涼真君、クリスマスにはイチゴケーキをホールでプレゼントしよう」
涼「クリスマスと言えば店長、身内だけでパーティみたいなことするんですか?」
清「ここで催したことはありませんが、涼真君が来て初めてのクリスマスですし実行したいですね。先日私の誕生日会を開いたばかりですが」
涼「何度でも店長たちと楽しみたいです」
犬「ばう!」
清「ゴジラさんも肯定ですか?ふたりに勧められたら断れませんね。目標ができましたね?明日からの仕事の活力源になりそうです」
(窓の外)
黒猫「綺麗に話がまとまったわね」
鴉「珍しいス。王子さんがボケなかったからス。オイラもクリスマスの残飯欲しいス。この前涼真がくれると約束してくれたス」
黒猫「私は涼真とふたりきりで過ごしたいわ」
鴉「涼真は恋愛に興味ないらし……」
黒猫「お黙りっ!」(高速猫パンチ!)
鴉「痛いス……はっ!まさかオイラがオチっスか!?」
えんど。
Thank You!
本編・番外編含め今話が最終話となります。(ハッピーのラストのセリフはこれを受けてのもの。ハッピー大役ご苦労様!)
*
まずは清水店長についてネタというか掘り下げを少し。
色々とブラックな店長です。作戦を考案して実行はするんだけど、最終的には他人任せ。自分の手は決して汚さない。
ターゲットはすべて間接的な方法で仕留めてる。清水は彼らの生死すら知らない。自己満足の人。
清水も暇じゃないので信念に反する者全てに薬を飲ませたりはしない。ターゲットはあくまで近くに寄ってきた人。
清水と関わったばかりにターゲットにされてしまった方々は本当に哀れでした。
はい、次のネタ。
#1や#3で(いや、文字化されてない所でも)来客に「マスターの清水です」と挨拶するんだけど誰もマスターと呼んでくれないという、まさにネタを仕込んでおりました。
ポーカーフェイスな店長だけど、内心グサグサ来てると思う。せめて涼真だけでもーって(笑)。
ちなみに涼真は先代をマスターと呼んでるから区別してるだけ。広瀬も。
ブラックな店長ですが、哀れな(笑える)ところもあるんです。
更に次。店長の一人称について。
彼は自分を「私」。広瀬は「僕」。ギリギリまでふたりの一人称をどうしようか悩んでて、仮で現状にしてたけど逆がいいかなあとか。
結果は皆さまご存じの通りとなりましたが、逆だった可能性もあったんです。
今では現状で良かったとすっきり読めております。あ、ハッピーの「オイラ」も好きです。
*
読む・聞く・見るとホラーが苦手な私が初めて書いたホラーをほんの少しだけ取り入れた話。
明るい人物と動物たちに救われて楽しく書くことができました。特にラッキー&ハッピーありがとう!
さてお話は終わりですが次回から数話にかけて(笑)、設定集を載せたいと思います。
興味のある方は読みにいらして下さい。
感謝感激。読んで頂きありがとうございました。