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04-1 複雑な人間関係(前)


またも更新が滞り申し訳ありませんでした。

あと、この場を借りてもうひとつお詫びを。

03-2の回において、物語内で非常に重要な事柄の書き間違いがあったので、修正を行いました。特に見直す必要があるとまでは言いませんが、この先はその修正後に準じて書かれておりますので、ご了承ください。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

「はて……おかしいな。確か転校生は1組、2組、4組に割り振ったはずだったんだが……」

 学年主任の佐々木が始業式のあと急いで職員室に戻り、書類を確認すると、書類には確かに1組に渚、2組に翼、4組に栞を編入と書いてあったが、なぜかそれが赤線で消され、3組に栞、2組に翼と渚を編入させるよう訂正されていた。

「どうしたんですか、佐々木先生。ああ、転校生の件ですか? それなら、佐々木先生ご自身でそういう風にされたんじゃないですか。まだ、ボケるようなお年じゃないでしょう。もう50代後半の私と違って、佐々木先生は私より一回りも若いんですから」

 通りかかった2年生の学年主任、川口(かわぐち)が笑いながら言った。

「まあ、決まってしまったものは仕方ない、か。それにしても、こんなことは初めてだ……」

 川口に励まされても、佐々木はひとり首をひねっていた。






「と、いうわけで、転入生の九崎くんと姫野さんだ。2人とも、改めて自己紹介を」

 3年2組のホームルーム。先ほど峻佑に脅迫されて焦るという、教師らしくない一面を見せた脇野だったが、教室に入ってからは普段通りの表情に戻って、自分のクラスに割り当てられた転入生を2人紹介していた。

(それにしても、3年生は8クラスもあるのに、なぜ2組と3組に集中したんだ? 確か先日、主任の佐々木先生が1、2、4組にそれぞれ割り振るとか言ってた気がするんだが……。まあ、私の知ったことではないな。生徒たちの高校生活最後の1年、しっかり面倒見て送り出してやるとしよう)

 脇野が考え事をしている横で、転入生2人の自己紹介が始まっていた。

「改めて、今日から転入してきた、九崎 翼です。この場で僕から言いたいことはたったひとつです」

 翼は改めて自己紹介し、そう告げると、タン、という軽快な音を立てて教壇を蹴って高くジャンプした。だが、教室の天井はあまり高くはない。必然的に、――ゴン! という大きな音とともに翼は天井に頭をぶつけたが、それでもシュタッ、ときっちり着地を決めた先は――

「へ?」

 突然のことに頭が追い付いていない、ちひろが座る席の前だった。頭にタンコブを作りながらも翼はちひろの手を握ると、

「真野……ちひろさんですね? 先ほどの告白の返事、考えていただけたかな?」

 おそらく本人としてはカッコよく決めたつもりだったのだろうが、頭のタンコブがシュールすぎて、周囲は唖然とするか、クスクスと笑いを必死にこらえるかのどちらかだった。一方、ちひろは――

「九崎……翼? 間違ってたらゴメンナサイ。もしかして……小5と小6の2年間だけクラスメートだった、あの九崎くん?」

 ちひろは必死に頭の中を整理し、昔そんな名前の、転入してきたクラスメートだったかもと思い、訊いてみた。

「そう、その九崎です。小学校を卒業したあと、また遠くの街に転校していた僕だけど、またこうして竹崎に帰ってこれて、そしてちひろさんと再会できて本当に嬉しい。いつか再会できたら、一番にあなたに告白しようと思ってたんだ。いま一度言うよ、僕はキミのことが好きだ。片時もキミから離れない、キミだけの騎士(ナイト)になると誓う。ちひろさん、僕だけの(プリンセス)になってくれますか?」

 翼の芝居じみたクサい言い回しの告白に、全員がため息をついた、その時。

「おい、九崎とか言ったか。アツい告白をしているところ悪ぃが、ちひろはオレと付きあってんだよ。もう2年近く付き合ってるオレらの間に入り込める隙間なんてねえからすっこんでな」

 隣の席で黙って聞いていた峻佑が乱入し、手で翼を追い払うようなしぐさを見せながら翼に宣言したのだった。

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