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14   エピローグ

 あっという間に時は流れ、7月も半ば。

「さて、どうなったか……おお! B+(ビープラス)!? すげぇ! 俺が偏差値57とか、奇跡としか言いようがないぜ。ありがとう、みちる、それとちひろちゃん」

 ちひろとみちるが耕太郎の成績アップのための勉強会を始めてから3ヶ月。成果を確かめるための7月模試で、耕太郎は偏差値を10も上昇させ、D判定だった武蔵文理はB+(ビープラス)に、A判定だった明正はAA+(ダブルエープラス)と、大きくジャンプアップすることに成功した。

「すげえな、ホント。たった3ヶ月でここまで上げるなんて……」

 峻佑は進学せずに就職する方向性を決めているので、模試は受けておらず、成績を大きく上げた耕太郎を祝福していた。ちひろとみちるは耕太郎の勉強を見ていたからと言って自分たちの成績をおろそかにしていたわけでもなく、ちひろは4月に64だった偏差値を67に、みちるも65だった偏差値を66にそれぞれ上げ、これで進学する3人とも武蔵文理の志望が確定したが、さすがに学部まで一緒に、というのは無理があるので、ちひろが文学部、みちるは経済学部、そして耕太郎はコンピュータを主に扱うメディア学部を志望する方向で固まった。



 その後、2学期に入ったころに突然渚と栞の幽霊が現れて校内がパニックになったり、なぜか彼女たちも幽霊のままとどまり、峻佑の近くに居続けると言ったことからちひろと峻佑がケンカしたり、卒業まで騒ぎは続いていたが、それでも進学しない峻佑を含めて4人ともガッチリ成績はキープし、受験組の3人は無事に武蔵文理大学のそれぞれ志望学部への合格を決め、峻佑は不況で高校生の内定獲得が伸び悩む中でなんとか1社だけ内定をもらうことができ、就職を決めた。



「今日からオレとみんなは別々の道だ。でも、そんなことでオレたちの友情や絆は壊れたりしないよな」

 卒業式で前生徒会長として答辞を述べ、新会長になった賢悟に涙で送り出された峻佑が、校門のところで立ち止まると、ちひろたちのほうを振り返って不安げにつぶやいた。

「当たり前だろ? 中学からの腐れ縁な俺たちが今更壊れるようなヤワな絆しかないなんてことあるわけないだろーが」

 耕太郎はフッと鼻で笑い飛ばすと、峻佑と拳をコツンとぶつけ合った。

「たとえ進む道が違っても、あたしが峻佑くんの彼女であることやあたしとみちるが峻佑くんの家に暮らし続けることも含めて何も変わらないのよ。1人だけ違うから不安かもしれないけど、あたしたちはいつもそばにいるから、そんなに不安にならなくても大丈夫だよ」

 ちひろは峻佑に歩み寄って優しく抱きしめると、励ましの言葉をかけた。

「そうだよな、こんな程度の不安、1年前のアレに比べたら屁でもないじゃねえか。おかげで目が覚めたぜ。ありがとうな、ちひろ」

 峻佑は目じりにうっすらと涙を浮かべてちひろに礼を言うと、4人で歩く最後の通学路を思い出話に浸りながらゆっくりと歩いて行った。




                                                                完

これにて完結です。

続編は作るのが難しい、と改めて実感させられました。

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