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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

転生した【狂愛者】の少女の話

作者: Syan
掲載日:2019/05/09

「愛してるから殺したのよ」


 母はそう言っていた。


 そう教えてくれた。


 父と弟の死体を虚ろな瞳で見下ろす母は、そう話してくれた。


 そして私は殺された。


 だから私も愛してあげた。


 殺したいから愛してあげた。



 気づけば私は異世界にいた。


 私は母の教えを守る事にした。


 気に入った人を殺した。


 イケメンを愛した。


 優しい人を殺した。


 気に入らない人は捨てた。


 努めて私は狂愛者として暴虐の限りを尽くしたと思う。


 そんな私は初めて愛を拒まれた。


 愛せなかった。殺せなかった。


 その人はカッコ良かった。

 クールだった。

 人に手を差し伸べる人だった。


 でもその人の眼は死んでいた。


 私とは正反対。


 私は良くイキイキしていると言われる。

 爛々とした眼だと噂される。


 狂ってると叫ばれる。


 私とは違う。


 だから彼についていく事にした。


 いつか愛せるように、殺せる様に。

 惹かれる様に。


 彼は人間じゃないという。

 魔族でも亜人でも獣族でも無いという。


 元天使だと教えてくれた。


 今は違うと、彼は言う。

 大怪我をして、身体を機械化して生命維持を行っているという。


 天使は科学が大好きだそうで、機械人形や光学兵器など生み出しているとかなんとか。


 私には分からない。


 理解できないけど、私の体も機械でできていると教えてくれた。


 なるほど、私のお眼目が爛々としてるのは光ってるからなのか。


 賢くなった。



 それから旅をした。


 彼との旅。


 彼が天国へ帰るための旅。


 彼は大分心を開いてくれる様になった。


 私も、学んだ。


 最近彼を愛したいとは思わない。


 殺したいとは思わない。


 でも心は彼に向いている。


 気づけば彼に意識が向いている。


 これは恋なのかもしれない。


 でも愛したいとは思わない。殺したいとは思わない。


 不思議で謎だ。


 なぞなぞだ。




 胸が痛い。


 呼吸ができない。


 息を吸えない。


 どうして? ねぇどうしてなの?


 ようやく見つけた目的地。


 彼が目指した天国の門。


 どうして、彼は死んでるの。


 私はまだ愛してないのに。愛しきれてないのに。


 目の前のイヌッコロが裂けた口で笑う。


 巨大で凶悪で賢い番犬は笑う。


 笑うな、笑うな。


 訳がわからない。


 これは何。


 この感情は何。


 彼の事は愛する気でいた。

 殺す気でいた。


 その機会を奪われたのが嫌なのか。


 嫉妬なのか。


 それとも後悔なのか。


 愛し損ねた後悔なのか。


 ドロドロとした滑る血の様に流れ出す感情。


 ズキズキと、ジュクジュクと、心の傷口が腐る。


 これは、後悔か。


 後悔に違いない。


 私は、実は、殺す気は、なかった。


 いつからだろうか、私の愛は冷めていたのか。


 冷めていたら、こんな後悔は、しない。


 私は、彼と痛かったのだ。

 居たかったのだ。


 既に、愛していたのだ。


 気付いた時には、他人に殺された後だ。


 涙が溢れる。


 久しい、涙だ。


 私は、その涙と一緒に、感情を撒き散らしながら叫ぶ。


 目の前の仇へ向かって。


 初めて、生き物を殺した気がした。

 気が、しただけだ。



 彼の亡骸を背負い、門をくぐる。


 せめて、彼の身体だけでも、故郷へ帰してあげたかったから。


 楽しかった。


 嬉しかった。


 生き生きした。


 愛した。


 嫉妬した。


 彼との数年を思い出す。


 彼を、思い出を、愛を背負ってくぐり抜けた。


















「殺し愛しよ」


 天国は既に、地獄へと変わっていた。


 爛々とした、同じ顔をした私が‥‥私?



「愛し合おうよ」


「殺し合おうよ」


「これが愛の証明だから」

天使達は、人選を間違えた。


天使達は、ベースを間違えた。


選んだ人格を間違えた。


狂った者を選んでしまった。


狂った者に、滅ぼされた。


世界は、破滅に向かう。


愛を信じる一つの意思によって。


愛を信じる一人の少女によって。


それに抗うのは、真実の愛に気づいた少女だった。


世界は‥‥

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