閑話 お城の待機組
柚季が闘技場で決勝戦をしている頃、城にいたクラスの人達は自分のスキルのレベルを上げながら楽しんでいた。
俺たち生産職は1人1つの工房を貰った。
「出来た……師匠どうですか!」
と鍛えた武器を持って師匠と言う人に言いに行く眼鏡をかけた男の職業は鍛治師だ。
「まだまだだな。もっとここを綺麗に装飾しろ。」
「はい!わかりました!」
この1年少しで地球にいた貧弱な身体も毎日毎日槌を振り下ろして武器や防具を作っていたら嫌でも身体はムキムキになる。
先生は王都の近郊の畑で農作物を育てていた。
「じゃあ今日はここまでやるわよ!!」
「「「「おぉぉぉぉ!!!」」」」
私が成長促進させた作物を男達が収穫していく。
この男達に混ざって女もちらちら見える。
この手伝っている人は王都のスラムにいた人達を雇って作物を収穫させている。
(実家が農家だし、作物を作るのは運命だったのかしら?)
「私の植物魔法も気づいたらLV10だし、最初の頃に比べて味が良くなってる気がするのよね。」
そう佐伯先生が育てた野菜などは味もよくなにより食べた人の肌が見てわかるほどツヤツヤになるという効果がついて現在王都の住民で先生の野菜を食べている人はみんな肌がツヤツヤなのだ。
薬師をしている女の子は髪をポニーテールにし、空瓶に緑の液体を入れていく。
「これでどうですか?」
「ほう、合格じゃ。これで上級回復薬は売れるようになる。」
「やった!」
(ようやく完成した!1年で上級まで!私の夢だった薬剤師に少しでも近づいたよね!)
私は普段大人しくしているタイプだが今回ばかりははしゃいでしまう。
だが、夢だった薬剤師なんて遠に通り越している事に気づいていない。
職業に錬金術師を持った男の子は未だにスキルの錬金術が発動出来なかった。
「くそ!なんで発動すら出来ないんだ?!」
「まぁ1年じゃできなくて当然ですよ。王都で錬金術が使える人はスキルを得てから10年かかったと言われていますから。」
「くそ!くそ!くそ!錬金!錬金!錬金!」
もっている鉄鉱石に錬金術を使い続ける。
だが鉄鉱石になんの変化もない。
(あの魔王みたいに最強になれると思ったのに!ハーレムが出来ると思ったのに!)
この男は重度のオタクで妄想や思い込みが激しい。
某錬金で成り上がった魔王は錬金だけで成り上がったのではなく努力と運、それに仲間がいたからだと言うことをこの男は忘れてただ錬金が出来れば最強と思い込んでいる。現在最弱の男である。
職業が建築士だった男は王都の家を作っている。
「そこは窓だ!ちゃんとスペースを空けておけ!」
ほかの人に命令しながら俺も建材を運んで積んでいく。ようやく現場監督になったのだ。
「やっぱりコンクリが欲しいな。作るか?」
2日ほどで家一軒が完成する。
「じゃあ費用はこれになります。ご確認ください。」
俺は家を作って住む客に家を見せて費用を見せる。
「はい、いい家をありがとうございます。」
「いえいえ、仕事ですから。
では。失礼します。」
金を受け取って現場を去る。
その後はやってもらった人に金を配分し大体飲みになる。
(もうここに来て1年か……こんな感じで親父の後を継いだが俺は異世界の方があってるのかもな。)
そう思いながら俺は酒を一気飲みする。
職業が料理人になった女の子は王宮料理人の元で半年間修行をして今では帝国で店を出している。
もちろん店を立てたお金は王様持ちだ。
店を作ったのは召喚された同じクラスの男の子に頼んだ。
「じゃあワインおねがーい!あとこのピザってやつも!」
「俺はこのカルボナーラってやつで!」
「わかりましたー!」
私は店に来た客にメニューを聞きパパッと料理を作り出す。
店の扉が開く。
「いらっしゃいませ!」
扉が開いて入ってきたのはこの店を立ててくれたクラスの男子だった。
「こんにちは、ビールとハンバーガーセットで。」
「かしこまりー!」
すぐさま用意して席に持っていく。
(もっとみんなが喜んでくれるようなご飯を作らないと!)
と思いながら次々料理を作っていく。
商人になった大阪弁の女は商売の才能があったのか今では個人で王国の援護を受けずに自立していた。
今では商会のトップだ。
扱っているものは武器や作物、回復薬など多岐に渡る。
全て同じ召喚されてきたクラスの人から卸して貰ってそれを言い値で買い取っている。
「だいぶ大きなったな。この商会も。」
「そうですね。すべて英梨様の才能のおかげですね。」
私の言葉に返事したんは私の秘書のアニルや。
「そんなほめんとって。まぁ私が出来ることは戦ってるみんなを支援することくらいやしな。」
それだけのためにこの商会を立ち上げここまで頑張って規模を大きくし様々な所にラインを繋いだ。
「頑張るんやで、みんな」
そう言いながら。
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