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第一章 名前(8)

ちょっと間を空けてしまったことにより話が作者自身わけわかんなくなってきました・・・。

2010.06/26

厄介ごとに巻き込まれる気など一切無かった圭喜はとっとと家に帰ろうと電車に乗った。時間が時間だったのか学生の下校時間と被ったのか圭喜はスシ詰め状態の電車の中でため息を吐いた。

ラッキーなことに高校生たちとは頭ひとつ分くらい身長が高かった為、息苦しいと言うことは無かったがやはり気分的にこの状態は楽しいものではないだろう。


「(・・・もう一本遅いのに乗れば良かった、いや・・・それじゃあ双子のお迎えに遅れるか)」


扉に背をつけた圭喜はぎゅうぎゅう押されながら腕を組んだまま無言で立っていた。駅を通過するたびに人の数が増えていく。しょうがない事だとはいえ疲れる。もう二駅の辛抱だと圭喜は目を閉じた。


圭喜はふと正面からコートを掴まれたようなような気がして閉じていた目を開けた。


「?」


誰だと思いながら正面を見た圭喜が見たのはブレザー姿の少女だった。キュッと閉じた唇は真っ赤で頬はピンクに染まっている。

圭喜は知り合いか?と思いながらその少女の顔を見た。しかしその顔を見たことも無く、制服を見ても見たことの無い学校のものだとすぐに分かった。


「(なんだ?)」


少女は何かを耐えるように唇を噛んでいる。本人は何を掴んでいるのか気がついていないのか、圭喜のコートを掴む手は少し震えていて・・・


圭喜は、コートを掴んでいる少女の腕を掴んだ。


「っ!?」


驚いた少女を引き寄せると圭喜は扉の前に立つ自分と少女と場所を入れ替えた。少女を壁際に追い込むと圭喜は後ろをにらみつけた。

圭喜の後ろにはサラリーマンのような格好をした男性が立っていて、圭喜は思い切りかかとに体重をかけてその男の足を踏みつけた。もちろんわざとだ。


「っいぃ゛!?」

「あ、すいません」


足の甲を踏みつけられた男性は声を上げてその場所から飛び退いた。いや、飛び退こうとしたがスシ詰め状態の電車内からは一歩も動くことができなかった。圭喜は「すいません」と言いながらその男性の腕を掴んだ。

男性は狼狽していた。


「すいません、大丈夫でしたか」


謝っているように見える圭喜だったが、人の多い電車内の上半身から下のことは誰も見ていなかった。圭喜は腰より下で掴んだ男性の腕を締め上げると笑顔でもう一度男性に言った。


「全体重かけたみたいですし足の甲腫れちゃったんじゃないですか?・・・手当てさせてください。次の駅で下りてもらっていいですよね?」

「い、いや・・・」

「おりてくれますね?」


圭喜の迫力に負けたのか、男は顔を青くして頷くとそのまま沈黙した。いや、沈黙したわけではなく小さな声で何かをぶつぶつ言っている。聞き取れるような音量ではなかったが何かいい訳のようなことを言っているような様子に圭喜は眉を吊り上げたまま押し黙る。

暴れる様子の無い男に圭喜はそのままむっつり黙ったままで電車が駅に着くのを待った。


『次は○○、○○~』


自分が下りる駅の一つ前の駅で圭喜は降りようとした。しかし・・・


「はなせッ!!」

「っ!?・・・ってちょっと待て、おい!」


扉が開いた瞬間圭喜が手を掴んでいた男、―――圭喜の前に立っていたブレザー姿の少女に痴漢をはたらいていた男―――は圭喜の腕を力ずくで振りほどくと走り出した。駅にいた人間は電車から走り下りるその男とそれを追って走り出した圭喜に目を奪われる。

ホーム内を走っていた圭喜は階段に差し掛かって一か八かの勝負に出た。

圭喜は手をめいいっぱい伸ばして痴漢男のスーツを掴んでやろうと腕を振り上げる。しかしそれに気がついた男が思い切りそれを振り払う。その場所が悪かった。


振り払われた圭喜はバランスを崩すと階段の中腹で足を滑らせた。



「圭喜!」


階段下から聞こえた声を最後に圭喜の意識はブラックアウトした。

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