表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

開幕

最近、異世界転生というものが流行っているらしい。


リアルの流行には疎いが、二次元文化の流行を追いかけまくっているヤツの言うことだ。あながち間違いではないんだろう。そっち業界では。


個人的には全く興味がないが、口を開けば「あーあ、異世界転生できればワンチャンあるんだけどなー」なんてほざいている友人がいれば、嫌でも覚えるというものだ。


しかし、ファンタジーな世界観とはいえ、大枠は変わらないらしい。


言葉は通じて、人型の生物がいて……となれば、人間関係だってつきまとうだろう。


ならば、一体何が変わると言うのだろう。


勝利や名声、それらを得る手段が多少変わるだけ。チャンスは別に異世界に行かなくたってあるし、行ったから掴めるというものでもないはずだ。


自分でもつまらない意見だと思うが、友人にも言ってやった。こいつの言葉を否定するのが楽しみだったりするのだ。……友人?


ともかく、その言葉を聞いた奴は鼻で笑って、


「分かってないなー。異世界転生っていったらチートよチート!」


「チート?」


「最強の力をもらって転生するの!ほら、ワンチャンあるでしょ?」


……最強の力を貰えるなんて誰が決めたのだろうか。


大体、転生ってことは死ぬってことだ。


少なくともこいつが軽々しく言う類のことではないはずだが、深く考えてはいないんだろうな。


ため息を小さく吐いて、


「一回瞬きをしたら、似た別の世界に移動しているって考えて生きるのはどうだ?」


と冗談混じりに言うと、お返しとばかりに、やれやれといった芝居かかった動きで、「夢がないなー悟は」と笑った。


悟だけに、悟っているとはよく言われる。……どうでもいいな。


まあ結局、何を考えようとこんな話はなにも意味はなく、異世界転生なんて流行もいずれは下火になっていく。


そしてなにも変わらない日常が続いていく……。俺はそう思っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ