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第1話
信じてくれとは言わないけれど聞いて欲しい。
俺は神と生活している。
今日もキツかった肉体労働を終えて帰宅中だがドアを開ければ“奴”はいるだろう。
《神に対して“奴”なんて無礼じゃないか!?》だって?
いいのいいの。あんなの俺のなかじゃ神じゃねーし。
「よっちゃん、おかえり~。」
『やっぱり居やがる‥』
「…。」
「どったの?よっちゃん‥返事もなしで辛気臭い顔して‥ブッサイクな顔は悩んでも治らへんで。」
げらげらと奴は下品に嗤う。
「馴れ馴れしんだよ!テメーは!」
「まぁ、こわい。なにがあったんか知らんけど、カリカリせんと。ホラ、おみやげちょうだい、おみやげ。」
『なんで安月給の俺が毎日酒を奢らにゃならんのだ?』
「あんた、男やろ!?ケチくさいこと考えんとパーッといかなモテへんで。」
俺の心の声が聞こえたかのように奴はそれを察知していらない一言を添える。