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猫の・・・同居人  作者: 山之上 舞花
第一章 部屋探しで見つけたものは
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その後、私はその講義のノートを花咲君に貸すことになった。彼の男友達経由だったけど。なんでも、女の子達のノートはその講義の内容をちゃんと書いたものではなかったらしい。


私に言ってきた奴は高校からの友人で、高校の時から一緒に勉強をした仲だ。あいにく彼カノなんてものではなかったけどね。私の友達がそいつとつき合っていたのだけど、そいつと勉強しても解らなかったことが私の説明で解ったとかで、そいつにライバル認定をされたっけ。


あと、ある事情で私が制服をスカートではなくて、ズボンにしていたのも勘違いに拍車をかけたのよね。髪もショートだし身長も170超えとくれば、男だと勘違いされても仕方がなかったと思うし。


おかげで面白がった友人達がそいつが気がつくまで、私が女だと明かすなと厳命してきたのよね。テストの順位の張り出しで名前を見て、流石に気がついたけどさ。それまで、私を男だと思って嫉妬していたのが謝ってきてさ。


その時の「私の罪悪感をどうしてくれるのさ」と友人達に詰め寄ったら、しばらくお昼を奢ってくれたんだよね。それがまた周りから女を侍らしているように見えて嫉妬されていたなんて、今となってはいい思い出だよね。


・・・自分のことを思い出している場合じゃないか。

でも、どうしようか。ここで甘い顔を見せるのもどうかと思うし。

私のことを花咲君は様子を伺うように見ていた。


の、前にあともう1匹ミルクをあげないと。私は2匹目の黒ブチちゃんを置くと最後の子、黒縞の子を持ち上げてミルクを上げ始めた。

他の2匹は花咲君がミルクをあげていた。その子達は三毛と黒縞だった。今私があげている子と縞の出方はほぼ一緒だけど、2匹はしっぽの長さが違っていた。花咲君がミルクをあげた子はしっぽが長かった。今、私があげている子はその子の半分ぐらいで、途中から曲がっている。

三毛たちもそう。それぞれ3色の色の出た位置が違う。私がミルクをあげた子は、右耳が黒で頭のてっぺん辺りが茶色、左耳から顔全体は白かった。身体も背中に黒い毛が3か所、茶色が2か所ある子だ。もう1匹は目の周りが黒い毛でこれが仮面舞踏会で掛けるマスクみたいな形をしている。その下、鼻の周りから口の辺は白。目の上は茶色だ。背中から体も黒と茶色が程よく模様を作っている。そうそう、前足は白いのに、後ろ足は体と同じように黒と茶色の模様だ。


私はついうっとりと子猫たちを見つめながらミルクをあげていたら、花咲君の不満そうな声が聞こえてきた。


「藤山さん、無視しないでよ」

「無視をする気はないけど、今は子猫に意識がいっているから」

「それって喜べばいいの、嘆けばいいの」


花咲君が小声で何か言ったようだけど、私の耳には意味のある言葉として届かなかった。


黒縞・・・タビーの子はお腹がいっぱいになったのか乳首を放した。私は哺乳瓶を置くとその子を手の平に乗せて軽く頭をグリグリと撫ぜた。嫌だったのか、ピーピーとその子は鳴いた。箱の中に戻し、他の4匹の頭も同じようにグリグリと触った。触られた子達はミーミー、ピーピーと元気よく鳴き声をあげた。モゾモゾと動いて5匹でくっつくと、安心したのか眠り始めたようだ。


また箱にケージをかぶせると、部屋をでて扉を閉めた。隣の部屋に移動したら、猫たちは思い思いにくつろいでいた。また近寄っって来てくれないかと思って猫たちを見ていたら、右手首を花咲君に掴まれた。


「行こう」


少し怒ったような言い方をされて、彼に手を引っ張られて歩いた。そのまま次の部屋も抜けて、母屋へと戻っていった。台所に行く前にトイレの位置を聞いて、先にトイレに寄った。台所に戻ったら花咲君はコーヒーを淹れてくれていた。


「こっち」


マグカップを持って隣の部屋に歩いて行く、花咲君についていった。そちらはリビングでソファーがあった。テーブルにカップを置くと、気がついたように言ってきた。


「ミルクと砂糖はどうする?」

「欲しいかな」


花咲君は台所に戻り、スティックシュガーとミルクを持ってきてくれた。座っていなかった私を見て二人掛けソファーを指さしながら言った。


「座ってよ」


私が座ったら花咲君が、砂糖とミルクを渡してくれた。そのまま彼は、立ったままカップを持ち口をつけていた。座らないのかなと、思いながら砂糖とミルクをカップに入れて、スプーンがない事に気がついた。視線を向けたら「あー、悪い」といってスプーンを取りにいってくれた。戻ってきて私にスプーンを渡すと、またカップを持ち立ったままコーヒーを飲みだした。

私はスプーンでかき混ぜて、そのスプーンをどうしようかと、また困ってしまった。手が伸びてきて、そのスプーンは花咲君に奪われてしまった。そのままそっぽを向いてコーヒーを飲んでいる彼に一応、と、私は口を開いた。


「ありがとう」


そう言ったら花咲君の口の端が上がった気がした。



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