表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫の・・・同居人  作者: 山之上 舞花
第二章 同居の前なのに
17/19

続きをお待ちいただいていた皆様!

本当に遅くなりました。


こちらも連載再開です。

出来れば、毎週更新を目指します。

よろしくお願いいたします。

花咲君と佳純さんに『持ってきた荷物を片付けてね』と言われたので、お言葉に甘えて片付けるのに集中させてもらった。なので、気がついた時には5時を過ぎていた。慌てて1階に降りたら、花咲君が夕食を作ろうとしていた。


「ごめん。私も手伝うよ」

「え~、まだ片付いてないんじゃないの。俺がやるから片付けておいでよ」

「片付けはほとんど終わったから」

「じゃあ、休んでて。疲れたでしょ」

「それは花咲君も同じでしょ」

「俺なら大丈夫だよ」

「でも、あの、さっき持ってきたもので・・・」


そう言いながら冷蔵庫に近づいて、足を止めた。そばに着た花咲君の顔を見る。花咲君は「ん?」と軽く首をかしげた。


「ごめん。食材の片付け・・・」

「ああ。そんなこと気にしなくていいのに」

「でも・・・」

「それよりさ、藤山さんが言いたかったのってこれでしょ。もしかしてタンドリーチキン?」


花咲君が保存袋に入っているものを出してきた。それは木曜日に下味をつけて冷蔵庫に仕舞っておいたものだった。


「藤山さんも料理するんだね」

「あ~、その・・・」


う~ん。あれを料理をするになるのだろうか。何かに集中するとよく食事をすることを忘れる私に、友人達が心配して教えてくれたものだ。肉や魚に下味をつけておき、ただ焼くだけ。それも電子レンジで火を通せばいいとか、オーブン機能で焼くだけとかという、簡単注釈付きのレシピだった。つけ合わせにはいろいろな野菜を買ってくるより、野菜炒め用を買ってこいとまで書かれていたし・・・。


これを料理するって言っていいのだろうか?


「違うの?」


イヤ、ね、なんで目を覗き込むように見てくるのよ。・・・というか近い!


私が一歩下がったら花咲君も一歩近づいてきた。もう一歩下がったら花咲君もまた一歩近づいてくる。


「花咲君、何で近づいてくるの?」

「藤山さんこそなんで逃げるの?」


もう3歩下がったら何かが太腿に当たった。見るとテーブルだった。そちらを見た隙に手を掴まれた。


「ねえ、藤山さん」


首をかしげて目を覗き込むように花咲君が近づいてくる。花咲君の顔のドアップに私は上体を逸らすようにしたら、腰にも手が回ってきた。と思ったらグッと彼のほうに引き寄せられた。


「危ないよ、藤山さん。後ろを見ずに下がっちゃ。怪我するかもしれないじゃん」


・・・いや、これはあなたのせいでしょう。


と、言いたいけど、言えなかった。花咲君は私をちゃんと立たせると、手を離した。


「それで? これは焼くの揚げるの?」

「えーと、確か・・・あっ!」


私は情けない顔で花咲君を見た。と思う。


「教えてもらったレシピ・・・おいてきちゃった」


私の表情が情けなかったからか、花咲君が「プッ」と、吹き出した。私が睨んだら花咲君は笑いながら言ってくれた。


「それじゃあ、適当に続きを作らせてもらうね」

「でも、それじゃあ悪いじゃない」

「いやいや。これが最善の策でしょう」

「でも」

「でもじゃなくてさ。うん」


といってまた花咲君は笑い出した。


「何を笑っているのよ、俊哉」


そこに佳純さんが顔を出した。私達を見て怪訝そうな顔をしている。


「いや、何でもないよ。姉さん」

「何でもないわけがないでしょう」

「あの、佳純さん。私が下ごしらえをしたタンドリーチキンのレシピを忘れてきて、それで続きを花咲君が作ってくれると言ってくれただけで・・・」


佳純さんは花咲君のことを見てから私に訊いてきた。


「藤山さんは料理を作る人なの?」


なんで佳純さんも聞くかな?


「えーと、レシピがあれば何とか」


そう答えたら佳純さんが花咲君の肩を叩いた。


「俊哉、食事はあんたが作りなさい」

「もちろんそうするつもりだよ」

「え~! 交代にしようよ」


佳純さんと花咲君は同時に私の事を見てきた。


「「ここは素直に俊哉(俺)に任せなさい!」」


流石姉弟。息がぴったりです。・・・じゃなくて、と口を開こうとしたら二人が目を細めて見てきた。


「「何か文句ある?」」

「いえ、ないです」


美形には勝てませんです。はい。


このあと、花咲君に台所から追い出された。『ここを手伝うのなら、猫の世話でもして来い!』だって。


なので佳純さんと連れ立って離れに行ったのよ。


お猫様たちは、入ってきた佳純さんに甘えるように寄ってきた。うん。ご飯をくれる人に懐くのは、基本だよね。わかっていますとも。・・・寄ってきてくれないのが、別に寂しくなんかないやい。


佳純さんが成猫たちのご飯を用意する間に、私は子猫たちの世話にはいった。ミーミー、ピーピーと鳴く声も、可愛くて仕方がない。私が2匹目の子にミルクをあげているところで、佳純さんも来た。


この子たちは離乳がすんだら、貰い手を探すと佳純さんが言っていた。きっと、祖父母のネットワークと父母のネットワークと佳純さんのネットワークがあるのだろう。猫好きはいつの間にか繋がるもんね。


お世話を終えて母屋に戻ると、ちょうど花咲君は料理を作り終えていた。夕食は私の漬けおきタンドリーチキンと、粉ふき芋、ニンジンの甘辛煮かしら? 他にお味噌汁、お漬物が並んだのよ。


・・・ぐぬっ。やはり花咲君は私より女子力が高い気がするの。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ