―レベルが上がりました―
転生前の主人公のお話はまだです。
因みに市販だと鋼の剣とか普通に結構良い値段がします。そして、魔物の素材は安く買い叩かれやすいので、リーナはかなり高値で買いとっています。
[チュンチュン]
んぅ…。
聞き慣れない鳥の声。見慣れない木の天井。眠り慣れていないベッド。
ハッ…そうでした、都会じゃないんでした。そもそも世界が違います。夢じゃ無いですもんね。って言うか、流石に寝惚けるのは仕方無いんですね…。
まあ良いです。転生したんですから、楽しんで生きましょう。
…それで、今はいつ頃でしょうか?ベッドから出て、ディックさんが寝ているところを見ると、寝坊はしていなさそうです。しかし、お金もないので調理道具も買えませんねぇ…。お腹が空いたので、朝食―干し肉と水だけですが―を食べます。
食事を終えても、まだディックさんは起きそうにないです。仕方ないので、水の補充と、干し肉を置いて少し稼ぎに行きましょう。まずは装備の確認です。左右ポケットには煙玉、内ポケットに異次元インベントリを使っておきましょう。
現MP52・最大MP67
これで、内ポケットに投げナイフを八本入れて、袖に二本仕込んでおきましょう。それで、食料品と水筒は鞄に突っ込んでおきましょう。これでよしです。じゃあ、戦場跡に向かいます。基本的にあそこは武器が沢山落ちてますけど、盗品扱いにはならないみたいなので持っていってますが、死体漁りはしたくありませんねぇ。
それで、大体1時間半で戦場跡についたんですが、遠目に見ても何かいますね。四足歩行の毛のない猿にも見えますけど、死体を貪ってます。これ多分魔物ですね。大体二、三十体位が確認できますが、無理ですねこれ、グロすぎです。ぐちゃぐちゃ音がここまで聞こえてきます。
「うぷっ」
ちょっと朝御飯をもどしかけました。早く帰りましょう。
さて、また1時間半位で戻ってきましたが、収穫無しは痛いですねぇ。ディックさんに置いておいた朝食はちゃんと無くなっていますね。取り敢えず、休息はしっかり出来たようで良かったです。
…しかし、考えてみるとかなりヤバイですねぇ。どうやってお金稼ぎましょうか?
ディックさんだけでは稼ぐのには足りませんし…。
仕方ありません。ダンジョンへ潜りましょう。商品も揃えれませんので、元金稼がないと。
で、ダンジョン前なんですが、思ったより怖いですね…これ。
だ、大丈夫でしょう。魔物から逃げながら、ちょっとずつ売れるものを探していくだけです。トレジャーハントするだけです。
…行きましょう。
ダンジョンの中なんですが、通路が梁で支えられていたり、所々ランタンで照らされていたりして、廃坑みたいな感じです。…廃坑見たことありませんけど。
それで、そんな狭いなかで狼みたいな奴が
[グルルル…]
って唸って此方を見ています。ヤバそうですか?
あ、ヤバそうです。此方に走ってきました。でも、何かさほど速く感じません。対処できそうです。
…なら対処してしまいましょう。袖口から銀のナイフを狼みたいな奴に目掛けて投げます。
…避けられました。どうしましょうか?
取り敢えず、もうすぐ飛びかかられそうな位置です。ですが、まだナイフはあります。
[ヴァウッ!]
狼みたいな奴が飛びかかってきて…って危ない!
「ひぃ!?」
どうにか避けましたけど、当たったらヤバそうなんですけど!?かなり殺す気です。奴は。でも、飛びかかってくるのは直線です。それなら、多分また飛びかかってくるので、そこを狙いましょう。
[グルルル…]
あ、また唸ってます。これって飛びかかる合図でしょうかね?とか考えてたらまた此方に走ってきました。どうやら合ってそうです。
[ヴァウッ!]
「せぇい!」
飛びかかってきたのを避けて、無防備な横っ腹にナイフを投げつけます。
赤い血が飛び散って、狼みたいな奴の横っ腹に深々とナイフが刺さりました
[ギャイン!?]
狼みたいな奴が、悲鳴みたいな鳴き声で鳴きました。効いてるみたいです。それで、横っ腹からだらだらと血を垂らしながらもまだこちらに向かってこようとする狼みたいな奴。しかし、
[ガルルルル…]
と、さっきとは違う感じの唸り声をあげながら此方を睨んでくるだけです。しかし、さっきよりも動きが鈍いです。内ポケットからナイフを取りだし、手に一つずつ持ちます。
[アォー…ギュ!?]
上を向いたので、喉目掛けてナイフを投げました。変な声をあげましたが、隙を見せるのが悪いのです。
狼みたいな奴が首からだくだく血を流しながら倒れました。すると、ナイフと牙を残して黒い何かになっていきました。
「か、勝ちました…」
頭は冷静でも実際は動いているので大分しんどいです…。取り敢えず、ナイフ三本と牙を回収して、ナイフの血を水で洗い流します。まだ水は残っていますね。
しかし、一体でこれでは苦労しそうですねぇ…。まぁ、頑張りましょう。
…それで、奥まで敵に遭わずにこれたんですが、広場みたいになってるとこに何かいます。
何かじゃありませんねボスですね分かります。
壊れたライト付きのヘルメットを被って、炭鉱夫のような服を着て、鶴嘴やらシャベルやらをもつ直立した骨の中で、一際でかい骨がいます。
でかい骨の格好は他の炭鉱夫と同じような服装ですが、持ってるものが何か違います。こう…鶴嘴なんですが、血がこびりついていたり、歪に歪んでいるんですが、禍々しい紫色のオーラを放っていて、何故か凄く鋭そうに光っています。
引き返しましょう。ばれてないみたいですし。
…取り敢えず引き返して来ましたけど、あれ多分良いもの持ってますよねぇ…
そうだ、ディックさんに任せよう!
そうですよ、私商人ですから。冒険者じゃありませんから。危険なことは他人に任せましょう!
そう言えば地図とかあると便利ですよねぇ…
後で調べてみましょうか。
…それで、さっきの狼みたいな奴を合計4体ほど倒したあたりで、
『パンパカパーン』
という、スキルレベルが上がったときと同じ音が頭の中で響いた後、またあの少女―管理者さんと呼びましょうか―の、
《貴女のレベルが上がりました♪》
という声が聞こえました。やっぱり可愛いです。この緊張した中での癒しです。
ステータスのパラメーターの欄を見ると、
レベル…2
生命力(HP)…最大35
魔力(MP)…最大70
筋力…19(ムキムキにはなりませんよ?)
防御力(ダメージ軽減のため固くはなりません)…11
魔法抵抗…29
賢さ…53
素早さ…50
運…?
フリーポイント…10
となっていて、運以外の数値の横に上向きの矢印の入った枠が出てきています。スキルの方も、
スキル
重量挙げ・異次元インベントリ・全魔法行使・脳内取引・交渉術・隠密・料理・作成・魔法適正・全魔導具行使・全医薬品使用・旅歩き・とんずら・崖登り・水泳・跳躍・全スキル早熟。
フリーポイント…5
となっていました。説明を求めます!
《分かりました、説明しますね♪》
と急に管理者さんの声が聞こえました。ビックリしました。でも、ここは危ないので説明は外に出てからが良いです。
《あ、ごめんなさい…。出直しますね…》
何か物凄い罪悪感を感じました。
…それで、無事何事もなくダンジョンから出てきて、家の私のベッドの上に座って、聞く準備が整いました。
《あのぉ、もう説明して大丈夫ですか?》
という声が聞こえました。ナイスタイミングです。
《大丈夫そうですね♪》
という声に続いて、
《フリーポイントって言うのは、自由に割り振ることの可能なポイントで、パラメーターなら、生命力と魔力は、1ポイントにつき3上昇して、その他パラメーターは、1ポイントにつき1ずつ上昇します。運に割り振れないのは、そこをいじると他の人に多大な影響を与えてしまうためです。ここまで大丈夫ですか?》
大丈夫ですけど、管理者さんって今説明に来てくれてるんですか?
《はい♪》
なるほど、やっぱり考えただけで伝わるみたいです。
《それは貴女だけですよ?》
へ?
ってあぁ、管理者さんがもらった魂って言ってましたもんね。
《まぁ、【この世界についての説明がないと困ってしまうでしょう?】って別の方に言われたので、干渉してますが、基本的には駄目なことですし、普通は干渉できませんよ?これで最大限の干渉なんです。》
なるほどなぁ…。その人には感謝しないと。
《まぁ、元の貴女の世界の管理者さんですけどね?》
あ、そうなんだ。
《脱線してしまいましたが、話を戻しても良いですか?》
あ、はい。お願いします。
《こほん。》
《それでは、スキルの方のフリーポイントですが、こちらも自由に割り振ることの可能なポイントです。ただし、こちらは少々特殊でして、スキルレベルが直接上がったりはしません。ポイントを割り振るスキルを選択すると、{0・5}みたいな感じになっていて、左側が現在の習熟度、右側が次のスキルレベルまで、となっていて、基本的に現在の習熟度の方にポイントを割り振って貰うことになります。ですがこの現在の習熟度の値は、スキル経験値をためると上がっていくので、フリーポイントを割り振って無いのに上がっていたりするのはそのためです。因みに武器習熟には割り振れません。だって、突然武器の扱いが上手くなるのはこの世界ではあり得ませんから。》
なるほど。取り敢えず理解しましたけど、さっきの説明覚えて言っていたら普通に凄いですよね。見た目からの判断ですけど。
《えっへん!凄いんです!》
胸を張って腰に手を当てているあの少女を幻視しました。超可愛いです。
取り敢えず今の説明で分かりました。管理者さん有り難う御座いました。
《いえいえ、私が説明していなかったのでこうなっているんですから、お礼は要りませんよ。》
という声が返ってきて、会話は終わりました。
取り敢えず、ポイントを割り振りましょう。
パラメーター
レベル…2
生命力(HP)…最大41
魔力(MP)…最大76
筋力…20(ムキムキにはなりませんよ?)
防御力(ダメージ軽減のため固くはなりません)…11
魔法抵抗…30
賢さ…55
素早さ…52
運…?
パラメーターはこんなものでしょう。
スキルは…脳内取引を上げましょう。
脳内取引{10・10}
お、丁度ですね。
『パンパカパーン』
《脳内取引のスキルレベルが上昇しました♪》
《スキル特権をどちらに割り振りますか?》
と、聞かれました。そう言えば売ったときか買ったときの値段におまけがされるんでしたよね。それなら今は買い取り価格(売ったときの価格)をお願いしましょう。
《脳内取引の買い取り価格が1%上昇しました。合計1%》
《注意ですが、小数点は切り捨てです。》
了解しました。それで、どこまでなら買えるようになったんでしょうか?
他は邪魔なので脳内取引のスキルレベル効果だけ出てこいと念じてみると、
脳内取引
スキルレベル…2(その世界のその時代の文明より少し異なった物まで、かつその世界のその時代の技術力がある程度すすんで作成可能と思われるものと取引可能。ただし、このスキルでその世界・文明に大きく関わった場合基準は関わる前のものとする。ただし、値段は変動しません。)
おお、凄いです。一人だけ技術レベルがアップしたものを使えます。今で買えるピストルとかありますかね?
現MP42・最大MP76
物品確認…ピストル(初期型)
能力…遠距離まで弾丸を飛ばせます。単発式です。
品質…良質
詳細…初期に作成されたピストルで、ライフリング等はされていないので、ほとんどまっすぐ飛びません。また、意匠が凝らされており、性能に対して高価です。更に、弾薬として鉛の玉(初期型)と、黒色火薬が必要です。フリントロック式に近い形をしています。
年代…ゼルド歴209年(現在)
材料…弾倉、銃身、安全装置、発火の魔石等。
価格…100000ベル
高いし、説明を見る限りポンコツですね。要りませんよこんな物。
諦めましょうか。後は牙を四本売って、早めに寝てしまいましょう。
[こんこん]
んぅ、また寝てるときですか。
「すみません、リーナさん、起きてますか?」
「はい。起きてますよ。」
ディックさんみたいですし、ドアを開けます。
「すみません、挨拶もしないで出ていってしまって…」
「いえ、構いませんよ。この小屋はあのダンジョンの攻略拠点として自由にして頂くつもりでしたし。」
と答えると、ディックさんは驚いています。
「いいんですか?」
と聞いてきました。
「勿論、私の利益が出やすくなるので、その方が良いんですよ。」
と返します。やはり苦笑しています。
あ、気になったことも聞いてみましょう。
「そう言えば、何処へ行っていたんですか?」
「え?ああ、私の村は貧乏で、お金が稼げたら仕送りしに行くんです。」
なるほど、だからダンジョンで会わなかったんですか。ですが、これはいい話を聞きました。村が貧乏ならまだここで稼ごうとするはずです。私の収入が安定します。そう言えば、情報も渡しておきましょう。
「そう言えば、実は今日ダンジョンに潜ってみたんですけど、奥に何か強そうな魔物達がいたので、注意してくださいね?」
「あ、忠告有り難う御座います。」
「でも、あの魔物達を倒せたら、狼よりもいいアイテムを落としそうな感じがしたんですよねぇ…」
「そ、そうなんですか。」
ちょっと興味を引けたかな?
それはそれとして、
「あ、言い忘れてました。」
「何をですか?」
「明日は私もダンジョンに潜っているので、ダンジョンで会ったらその場で換金もしますし、必要なものがあれば売らせて頂きます。」
「分かりましたけど、何故ですか?」
やっぱり聞かれました。
「私はダンジョンの地図を書くのと、直接アイテムを取りに行くためです。」
「なるほど…」
といって、黙りました。
そう言えば晩御飯を食べていませんでした。また干し肉と水だけです。ディックさんにも干し肉を渡して晩御飯は終了です。
明日のために簡単な調理器具を買って鞄に入れておきましょう。
物品確認…鉄の鍋
能力…水を溜めれます。物を煮込めます。
品質…普通。
詳細…市販されているような鉄の鍋です。
年代…ゼルド歴209年(現在)
材料…持ち手・木材、本体・鉄
価格…250ベル
物品確認…焚き火セット
能力…焚き火を起こすためのセット。
品質…普通
詳細…薪と発火魔法の籠った粉のついた小さな棒のセット。一回使いきり。
年代…ゼルド歴209年(現在)
材料…木材、発火魔法の籠った小さな棒
価格…150ベル
それと、干し肉セットを買っておきましょう。鍋料理はまた今度です。くそぉう。
あ、パンと野菜も買っておきましょう。
物品確認…食パン
能力…食べれる。
品質…普通
詳細…市販されているような食パンです。一斤分。
年代…ゼルド歴209年(現在)
材料…小麦粉、水等。
価格…150ベル
物品確認…野菜セット
能力…食べれる。お徳用。
品質…普通
詳細…様々な野菜のセット。
年代…ゼルド歴209年(現在)
材料…キャベルの葉、キャロの根、トメの実等。
価格…250ベル
すっからかんです。懐が寒いので早めに寝て明日稼ぎましょう。
リーナ、所持金0です。まず筆記用具代を稼がないと行けません。
因みに、魔物全てに名前は付いていますが、ちゃんとリーナが分かるまでは見た目イメージの名前です。
それと、銃器は文化が違いすぎるものなので、この世界で作成された初期型になります。