ユメ ミライ
未来の自分に出会った。
あれは夢だったのか現実だったのか。
髪型も服装も違っていたけれど、身長と顔の作りは変わっていなかった。
「何か聞きたいことはあるかい?」
『未来の自分に会ったことは?』
「君と同じくらいの歳に一度だけ」
『その時何を訊いた?』
「好きな人が未来で何をしているか」
「この世界は僕の世界と似ているから、もしかしたら君の近くにもいるかも」
『……』
「心当たりがありそうだね」
『好きな人くらいいるよ。同じ人かどうかは知らないけど』
「大切にするといい。君のためにも」
『もちろん、と言いたいけれど。もう僕の手は彼女に届かないよ』
「そう…いや、君はもしかしたら結末が違うかもしれない。僕らは失敗したけど、君ならあるいは」
『僕ら?それってどういう……』
「そろそろ時間だから、最後に一つだけ。科学者なんて目指すのはやめたほうがいい。無理強いはできないけどね。画家とか小説家とか、そういう職業も結構楽しいらしいよ」
『…考えてみる』
「それじゃ。ちゃんと歯磨いてから寝るんだよ」
未来の僕は、終始穏やかに笑っていた。