16.生存者
少しずつでもUPしていこうと思うので短いかもしれませんが御了承ください。
「真っ暗だ...どこだここは...俺は何を...」
「..き。...か.き。...一樹...目を覚まして...一樹。」
「直美...?」
一樹はその声に気づくと少し重くなった目蓋を開き呟くがそこには直美は居なく代わりに一人の男が横たわり後ろ手に縛られた一樹に銃を向けて立っていた。
「おい!言葉がわかるなら動くな!」
男は銃を何度か握り直しなんとか聞き取れる小さな声で被一樹に問いかけた。
「ぐっ..け...警察?」
一樹は頭に酷い傷みが走るが堪えて体を起き上がらせると目の前にいる男は30代前半ぐらいの警察官だった。
「よし、すまないが念のため縛らせてもらった。聞きたい事があるんだが何をしにここへ来た?」
「知り合いを助けに来たんだ、だからこれ解いてくれないか?」
一樹は壁を背に寄りかかりながら立ち上がり回りを見るとドアはバリケードで塞がれていてその横には何人かが身を隠していた。
「本当か?わざわざ奴等がうじゃうじゃいる所に来たってのか?」
「そうだ。」
「じゃぁこれは何だ?」
警察官はバックからコルト・ガバメントとニューナンブを取り出して見せた。
「この非常事態だ少し拝借させてもらっただけだ、映画でもそうしてるだろ?」
警察官はバックにコルト・ガバメントとニューナンブを戻すと銃を構え直すと一樹に近寄ってきた。
「信用できないな、申し訳ないが助けが来るまでそのままでいてもらう。」
「ちょっと待ってくれ俺には時間がないんだあんた達には迷惑かけないしすぐここを出て行くから頼むよ。」
一樹はそう言いながら少し警察官に歩み寄った。
「動くな!この状況だ次は発砲するぞ!」
「わかった!わかったから撃たないでくれよ。.....あっ?」
警察官に許しを請うと何かに気づいたのか少し声を出して上を見るとつられて警察官も頭上を見た。
その一瞬...一樹は前に出されて銃を構えていた手を右足で蹴り上げると銃は真上に弾き飛ばされ天井に激突すると衝撃で発砲され乾いた音の後ガシャーンとゆう音と共に窓ガラスが粉々に割れた。
銃は天井に当たり床へと落ちる前に一樹は蹴り上げた足を戻しそこにジャンプし足を縮めると後ろ手に縛られた手を潜らせて前に出し着地すると同時に両手を警察官の首筋に強打した。
警察官は蹴られたのと銃の発砲で驚き何も出来ない所に打撃を受けてしまったので倒れ目を虚ろにしていた、一樹は落ちてきた銃をキャッチしようと思ったが手が届かず床に銃は落ちてしまった。
すぐさま倒れている警察官の首を踏みつけ言った。
「動くな!動くとこのまま首の骨ヘシ折るぞ!...映画とかじゃキャッチできるのになぁ...」
聞いてるかどうかは月明かりだけでは表情が確認できなかったが縛られていた布切れを口で咥えて解き足を警察官の首に置いたまま落ちた銃を拾い上げると横腹に強烈な衝撃を受け吹き飛ばされてしまい壁に激しく背中を打ち付け銃を落としてしまうと痛がる暇もなく首を締め上げられ壁を背にそのまま高々と持ち上げられた。
「ぐぅぇ...くっそ!」
一樹を持ち上げているのは奥に潜んでいた一人だった。
容姿は髪を上で縛り体格はかなり太っていて浴衣を着ていた、そう相撲取りだった。相撲取りは一樹を持ち上げたまま更に力を入れ締め上げていくと一樹は意識が朦朧としてきた。
何とかしようと腹や胸に膝蹴りを入れ顔面を殴りつけるが宙に浮き力が入らないこともありビクともしなかった。
薄れる意識の中開いた口からはヨダレを垂らし口端からは少し泡が出て小刻みに震えていたが徐々に体は脱力しやがて意識は飛んでしまった。