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DEAD  作者: 鼻セレブ
12/17

12.時間

今話で過去も終わり現在に戻りましたのでこれからも宜しくお願いいたします。

一樹と啓は空いていた席に腰掛けると隆は一樹に言われその隣の椅子に腰掛けた。

「じゃぁみんなそろった事だし始めましょうか。」

 一樹の母は隣に座る一樹の父にビールを注ぐと一樹と隆にもグラスを差し出し一樹のグラスにビールを注いだ。

「ほら隆も飲めるんでしょ?」

 一樹の母はビール瓶を差し出すと隆は軽く会釈してグラスを差し出すとグラスいっぱいにビールが注がれると隆はビール瓶を受け取ると啓に差し出すと御酌した。

「じゃぁお父さんなんか一言お願いしますね。」

 一樹の父はグラスを持つと軽く咳払いすると話し始めた。

「え〜隆君だったな、一樹と隆君退院おめでとう。まぁこれからはなるべく怪我のないように気をつけるように、では乾杯。」

「乾杯」

 一樹の父はグラスを持つ手を少し上に上げると皆々も同じように上げ隣同士等でグラス同士を合わせた。

「さぁて何から食べようかなぁ〜。隆、遠慮なんかしないでいいからな、病院食よりかはイケるぞ。」

 一樹は隆に言うとテーブルに用意された料理を皿に取り分けていると隆は何かを思ったのか話し始めた。

「あの...えっと..あらためて紹介させていただきます、初めまして板垣隆いたがきたかしです。今日は家族水入らずなのに俺なんかがお邪魔してしまってすいません。実は一樹が怪我したのは全部俺のせいなんです、だから俺ここに居るべきじゃないんです...だから...」

 隆は俯いたまま話していたが、それを止めるかのように一樹の父が話した。

「隆君、一樹は怪我した事に君に不満でも言ったのかな?」

「...言われてません...」

「だったらそんな細かい事気にすることないんじゃないかな。友達ってのはそんなもんだと思うぞ。」

 一樹の父はグラスを口に運ぶとビールを飲み干すと一樹の母がグラスにビールを注いだ。

「そうよ、ウチは嫌な物は嫌って言うから言われなければ気になんてしなくていいのよ。」

「そぉだよ隆!気にしてないで食えって、好きなだけ居ていいんだからな。」

 一樹は皿にいくつか料理を取り分けると隆の前に置きビール瓶を持ち隆に差し出すと隆は黙ったままグラスの中のビールを飲み干し一樹にグラスを差し出す。

「そぉそぉ飲んで食べて今日は楽しもうぜ。」

 一樹は差し出されたグラスにビールを注いだ。

「じゃぁそれなら私も飲んじゃおっかなぁ〜。」

 和美が自分のグラスにビールを注ごうとしたら一樹の母に腕を捕まれて阻止された。

「あんたはダメ、まだ子供なんだから。」

 一樹の母はビール瓶を取り上げると和美は頬を膨らませながら言った。

「え〜だってカズ兄と歳一個しか違わないじゃんなんでカズ兄だけ良くて私はダメなの〜。」

「ダメな物はダメなの。」

「まぁいいじゃないか今日ぐらい、なぁ母さん。」

 一樹の母は軽くため息をつくとビール瓶を和美に渡した。

「飲み過ぎちゃダメだからね、もぉお父さん責任とってくださいね。」

「やったねぇ。」

 和美は話しも聞かずにグラスにビールを注ぐとそれを一気に飲み干しまたグラスにビールを注いだ。

「隆君話しが途中だったが隆君が良かったら好きなだけ居るといいよ。ただし条件はあるがね。」

「条件ですか?」

「あぁウチは時間が合わないとき以外は一緒にご飯を食べること、あと一緒に住むのなら私達は家族なんだから遠慮せず何でも言うこと。わかったかな?」

「そんな..だって俺..施設出だから家族とか...」

 一樹の父の問いに困り自分にみんなの視線が集まっていて啓と目が合った。

「隆!そんな事どぉでもいいんだよ!親父が聞いてんだ、ちゃんと返事くらいしろ。」

 隆は目を瞑り数瞬時間を置くとそこに立ち上がった。

「親父さん、お袋さん、啓さん、妹さん!至らない点ばかりだとは思いますが少しの間御世話になります。」

 隆はその場で深く一礼した。

「あぁ隆君宜しくな。」

「少しなんて言わないで居たいだけ居ていいんだからね。」

「じゃぁタカ兄だね、そぉなるとカズ兄いらないんじゃないの?」

 和美が冗談交じりに一樹の母に言った。

「そぉね隆の部屋も用意しなくちゃいけないしこの際だからいらないのは処分しちゃおうか。」

「こらこら誰がいらない物だよ、危険な奴らだな。ってか隆もだよみんなに御世話になるって言っておいて俺にはないのかよ!?そこ重要なとこだぞ。」

 一樹の母と和美を交互に指さしながら言うと次は隆の肩を軽く叩きつっこみを入れて言った。

「えっ?どなたでしたっけ?お袋さん知ってます?」

「さぁどなたかしら?」

「啓兄にどっかから着いてきちゃったんじゃないの?」

「俺はそんな事言えないって、酷いやつ等だねぇ〜。」

「ほらみろやっぱ兄貴は違うね。」

「でもそろそろ自分の家に帰った方がいいんじゃないの?僕。」

「やっぱそぉくるか〜。」

 全員の笑い声で今までの重かった雰囲気はなくなり食事を初め飲んで騒いで隆には家族でこんなに楽しむのは初めてなので新鮮さを感じこの家族に暖かさを感じた。

 一樹の家に一緒に住むようになり四六時中一樹と行動を共にし学校でも少しずつだが険が取れてきた。

 隆も初めはギクシャクしていたが一樹のペースと一樹の家の明るさで隆も少しずつ打ち解けていき高校も初めは行く気などなく働くと決めていたが一樹の親に進められるのもあって一樹と同じ高校を受けることになり猛勉強の末見事合格となり、そこで直美や信と知り合うことになる。



現在


一同が隆の話に聞き入りながら食事を終えた。

「だから俺の家族は一樹の家族以外に考えられないんだ。あの日食べた飯は今でも鮮明に覚えてるよ。生まれて初めて母親の料理を食べたって気持ちで一杯だったよ。」

 話が終わるころにはみんな食事も終わり隆はズボンからタバコを取り出すとそれを口に咥え火をつけた。

「そぉだったの...」

 正志の母は話を聞き終わると物悲しい目で隆を見つめた。

「なんか空気悪くなるような話してすいません。でもお袋さんの料理も本当においしかったです。ご馳走様でした。」

「こんなものでよければいつでも食べに来てくれていいのよ。」

「是非。」

 正志の母は空いた皿を片付け始めると梨乃と莉奈も食器を下げテーブルを拭き隆と正志にお茶入れると莉奈が言った。

「おじさん昔不良だったんだぁ〜なんか笑える。やっぱ髪型とか制服って漫画に出るみたいなやつ?」

「だからおじさんじゃないっての!」

「じゃぁおじちゃん?それでどぉだったの?」

 隆はため息をつくとタバコを灰皿に押しつけ火を消しお茶を啜った。

「まぁ髪型と服装はそぉだったけど一樹と知り合って中学卒業と同時にやめたよ。なぁ一樹?...あれ一樹は?」

 隆は辺りを見回すがそこに一樹の姿はなかった。

「そぉいえば隆が話してる途中になんか出て行ったわよ。」

 梨乃が洗われた食器を拭きながら言うと隆が不安気味に聞いた。

「どこに?」

「一樹さんなら恥ずかしいから出てるって言ってたよ、あとついでに敷地内が安全かどうか調べてくるってぇ」

「ったくあいつは勝手な行動しやがって。でもまぁ一樹なら心配ないだろ。」

 そのころリビングに集まる一同を余所目に一樹は家の外にいて警戒しながら進むと裏口につくと塀に寄りかかり持っていたコルト・ガバメントとニューナンブに装填を済まし一呼吸していたら何かが一樹に近寄ってきた。

「誰だ!?」

 一樹はそれに対してニューナンブを構え引き金に指をかけた。

「待ってくれ私だよ。」

 暗闇から現れたのは正志の父だった。

「親父さんどぉしててここに?」

 一樹は構えていたニューナンブを下ろすと驚いていた。

「なにか裏口から物音がするんで窓から外を覗いたら君が外に出て行くのが見えたんでね。」

「でも絶対安全じゃないのに危険ですよ、早く戻ってください。」

「わかったよじゃぁ戻るとするかな、あぁそうだ君はどぉするんだい?一人で行くのかね?」

 正志の父は一樹に言われ戻り始めるとすぐに振り返り一樹に言った。

「えっ、いや、あのぉ〜...」

「いいんだ正志の事なら、初めて君に会った時から目を見てわかったよ。あの友達隆君にも言わなくていいのかね?」

 正志の父の問いに一樹は少し黙り話し始めた。

「俺のわがままでみんなを危険な目に合わせれないし時間もないんですよ。」

「時間?何かあるのかね?」

「実は初めはメールが返ってきてたんですけど数時間前から連絡がこないんです、無事でもそぉじゃなくても行かなくちゃならないんです!」

「こんな暗闇の中出ていったら目的の場所に着く前にあいつらの餌食になり得ない、だったら明日明るくなってからでも遅くないんじゃないか?」

 一樹はまた少し黙ると左腕の袖を捲ると傷口を正志の父に見せた。

「何て事だ...」

「だから今行かないと時間がないんです、俺がここに居ても後々みんなに迷惑をかける事になるし、もしあいつが生きているなら最後までにあいつに会いたいんです。」

 正志の父は一樹を見つめると裏口に歩み寄った。

「行くんだろ?出来るならその人を連れて戻って来てくれることを祈ってるよ。」

「親父さん...」

「他に私に出来ることは?」

「大丈夫です、ただみんなには傷の事言わないでおいてください。」

「...わかったみんなには私から上手く言っておくよ。」

「ありがとうございます。...じゃぁお願いします。」

 正志の父は閂に手をかけると一樹はコルト・ガバメントを扉に構えると扉から閂は外されゆっくりと少しだけ扉が開き一樹は外を覗いた。

「大丈夫みたいです、じゃぁ行ってきます。みんなに元気でと伝えてください。」

「わかった、気をつけるんだぞ。」

 一樹は正志の父を見て頷くとゆっくりと外に出て塀を背にしながら車に近寄っていくと裏口はゴトゴトと音を立て閉まった。

「この世に神がいるのならあの子をどうか護ってやってください。」

 一樹は車まで近寄ると音を立てずに車に乗り込みエンジンをかけると走り始めた。


 正志の家を出てから少し走り始めると少数だがゾンビがいるのが見えたが一樹はお構いなしに突っ込んでいくと鈍い音が静寂な夜の帳へと消えていく。

 大通りに出るとゾンビ共はこれといった活動はしていなくただその場所に佇んでいるだけであったが一樹の乗る車の音に気づくとゆっくりと歩み寄ってくるが車のスピードには追いつけなく走りすぎていく車をゆっくりとついて行くだけだった。

「視界は悪いがなんとか行けそうだな。」

 一樹は避けれるゾンビは避けていきダメな場合は跳ね飛ばしながら漆黒の闇の中を走り去って行った。

 暗闇の中民家やマンションから漏れる明かりが見えるとまだ生存者はいるんだなと思いながら走っていると遠くでかなりの数のゾンビが集まっているのが見えスピードを緩めた。

「あそこに何があるんだ?」

 一樹はそれを避けて通ろうとするがバリケードがあるのを一瞬早く分かり急ハンドルを切り車は横に振れるとそのまま横に進むが間一髪バリケードと車の隙間は何十センチも開かずに止まった。

「くそ!危ねぇ、何でこんな所にこんなもんが...?」

 よく見るとそれは車を横にしてあったりテーブルやタンス等で作られているのを見る限り人為的で一人や二人じゃ出来ないことを物語っていた。

 そこに集まっていたゾンビが一樹の車に近づいてくるが一樹はすぐに車を走り出すと横の道へと抜けていった。

「なんであんな所にバリケードなんか出来てんだ?横道から入られたら意味ねぇだろ。」

 一樹は独り言でぼやき測道を走っているとまたしてもバリケードが目の前に現れ急ブレーキで停まった。

「まぁなんとなくそぉじゃねぇかとは思ってたけどやべぇな。」

 近くにゾンビはいないもののこれだけ暗いとどこに潜んでるか分からないし病院までまだ距離があるためどうしても車が必要なので少し考えると車を降りてバリケードを退かせれるか考えていたが一人ではどうしようもなかった。

「しょうがねぇダメ元で突っ込んでみるか。」

 一樹は車に乗り込みギアをRに入れバックして距離を取ろうとした時運転席側の窓がコツコツと鳴りそっちを振り向くと一樹に銃を構えた男がいた。

「エンジンを止めて早く降りろ!早くしろ!」

 男は一樹に言うが一樹は男を横目で見たままホルダーに手をかけコルト・ガバメントを取り出そうとしたが男に抑制された。

「妙な事をすれば即座に発砲するぞ早く降りろ!」

 一樹は致し方なく車から降りると男に銃をつきつけられた。よくみると周りには他にも何人かが潜んでいるのが見えたが銃を持っているのはこの男だけみたいだ。

「一人か?こんな所で何をしている?」 

 一樹はその男を睨みながら言った。

「人を助けに行く途中で大通りにバリケードがあったからこっちに抜けてきたんだ、そしたらここでもこれってな訳だ。」

 男は他の仲間に目で合図をすると一樹の近くに鉄パイプや包丁等を持った三人が寄ってきた。

「ここは危険だから着いてきてもらおうか。」

 男が言うと他の者が一樹の後ろに立ち背中に包丁を押しつけられ横のビルへと入れられると奥へと進みまた外へと出されると路地に出た。

「どこ行くんだ?」

「うるさい黙って着いてこい!」

「へいへい。」

 一樹は馬鹿にした返事をすると後ろを歩いていた男が気に入らなかったのか銃を持つ男に言った。

「誠さんこいつやっちゃいましょうよ!ゾンビ共に噛まれてるかもしれないし。」

 一樹は背中に押しつけられていた包丁が離れるのが分かると四人の他に誰もいないのを確認すると後ろの包丁を持った男に振り返り包丁を持つ手を左手刀で払うと腹に右肘鉄を入れ顎先に左拳を打ち上げると左にいた奴を後ろ蹴りをして吹き飛ばした。

 銃を持った男が一樹に銃を向けた瞬間そこに一樹の姿はなく瞬間銃を持つ男の後ろに回っていた一樹は膝の裏を踏みつけ男が膝をつくと横面を右拳で打ち抜くと男は崩れ落ちた。

 それを見ると他の二人が襲いかかってくるが一樹は落ちていた銃を拾うと二人に向けた。

「そこまでだ、武器捨ててもらおうか。」

 二人は一樹の指示に従い持っていた武器を捨てた。

「じゃぁいくつか聞きたい事があるんだが、お前等何なんだ?」

「俺たちは選ばれた者なんだ、だからこの国は俺等で変えていくんだ。」

「あっそぉ...んじゃぁ俺には関係ないからどうでもいいんだけどこの先にある第一総合病院に行きたいんだけど他に道は?」

「あのビルを中心に半径2〜300メートルぐらいはバリケードが作ってあるだからそれを迂回していけば行けるはずだと。」

 男が指さす方を見ると20階建て以上のビルがありそれから2〜300メートルぐらいなら大した迂回にはならないなと考えていた。

「わかった、んじゃぁもぉ邪魔するなよ。」

 一樹は来た道を戻ろうとすると後ろから二人が襲いかかってきたが一樹はスッと横に避けると一人の顔面に飛び膝を入れ倒れた所で顔面を踏みつけるともう一人の男がまた襲いかかってくるが振り下ろされる鉄パイプを受け流すとその腕を掴み後ろに回すと取り押さえた。

「お前等やられキャラの定番すぎだろ、まぁいいけどなっ!」

 一樹は男の頭を掴むとビルの壁にぶつけ気絶させた。

「無駄な時間を過ごしちまったな。ちっこんな時間か急がねぇと。」

 携帯を見ると19:50になっていた。一樹は来た道を戻り車にたどり着くがそこにはゾンビが数体群がっていたがホルダーからコルト・ガバメントを取り出し全弾使い殲滅させると車に乗り込みコルト・ガバメントに装填を済ませ車をバックさせ大通りに出ると道を迂回させ第一総合病院へと向かうがそれを遠目に見る者がいたが今の一樹に知るよしもなかった。


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