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DEAD  作者: 鼻セレブ
11/17

11.過去3

 あの出来事から数ヶ月が過ぎ一樹の退院が決まり岡村家では家族みんなで一樹の帰りを待っていた。

「ねぇ時間もうとっくに過ぎてるよ、やっぱ迎えに行った方がよかったんじゃないの?」

 一樹の妹の和美が心配そうに何度も時計を見ながら言った。

「一樹が恥ずかしいから来ないでいいって言うからさぁ。」

「もぉガキじゃないんだし心配する必要なんてねぇって、それよりなんで俺まであいつ待ってなくちゃなんねぇんだよ?夜仕事あるから少しでも寝たいんだけど。」

 一樹の母も心配なのかテーブルの上に用意された料理を見て溜息をつきながら言う母に対して眠そうな目をこすりながら不満もかねて啓は言った。

「入院が長引いたのだって啓、あんたにも責任があるんだから文句言わないの!」

「へいへい、俺が全て悪いんだよっと。」

 啓はそういうと席を立った。

「啓何処行くの?」

「ターバーコー。」

 啓は空になったタバコの袋を握り潰すのを見せると玄関に向かっていった。すると玄関先でなにやら話し声が聞こえ啓はおもむろに玄関を開けた。

 そこには一樹が立っていて塀の影に隠れていて見えないがその人物ともめているようだった。

「おぅ帰ったか遅かったな、みんな待ってんぞ早く入れよ。」

「ただいま、いやぁこいつがどうしてもヤダって聞かないからさぁどうにかここまで連れて来るのにも苦労したんだって。」

 啓は首を傾げて塀を覗き込むとそこには隆が気まずそうに隠れていて啓に気づくと苦笑いをし会釈した。

「お前かぁ、退院一緒だったのか?ってかこんなとこもなんだから上がって行けよ。お〜いおふくろ〜一樹帰ってきたぞぉ!」

「やっぱ俺帰る。」

「何言ってんだよここまで来たんだから上がったって一緒だって。兄貴さぁこいつ一人で入院してるのがヤダからって無理やり退院してきたんだぜ、看護師さん軽く切れてたな。」

 一樹の怪我の治りが早かったとゆうか隆の怪我が思ってた以上に酷かったのか動くときに足を少し引きずっているようだ。 

 その時玄関には一樹の母が来ていた。

「一樹随分遅かったじゃないお父さんも待ってるから早く入りなさい。...あらその子一緒に入院してた子じゃないの。」

「まぁなんてゆうかとりあえず当分こいつ家に泊めてもいいかな?」

「だからいいっていってんだろ!」

 一樹が母に言うと隆は迷惑そうに声を荒げて言った。

「別に構わないわよ。そんな事よりお腹空いたんじゃない?みんなでご飯食べましょ。ほら入って入って。」

 隆はまさかそんな返事が返ってくるとは思ってもいなかったので立ったまま固まっていると一樹が肩を叩き顎先で合図をすると一樹は玄関に入っていく、その後をキョロキョロ目配りしながら隆も入っていった。

「ただいまぁ。やっぱ家が一番だよなぁ。ほら隆も来いって。」

「あ...あぁ、おじゃまします。」

 隆はなんとか聞き取れるくらいの小さな声で言うと一樹の母が近寄ってきた。

「板垣君だったよね、帰ってきたらただいま、おかえりでしょ!」

「いやでも...」

 隆は俯きながら声を濁しながら言った。

「板垣君、ウチに当分いるって事は最低限ウチの決まりごとは守ってもらうからね。わかった?」

「は...はい。」

「よし決まり、今日からみんな家族だから気兼ねしないで普通でいいからね。あと板垣君じゃ呼びづらいわね、名前何て言うの?」

「隆です。」

「じゃぁ隆、そのボロボロの学生服着替えてきちゃいなさい、その間にご飯用意しておくから。」

「あ、あの...着替え持ってないから...」

「だったら一樹の勝手に着ればいいじゃない文句言うようならあいつの服全部燃やしちゃうから。」

 一樹の母は隆の肩をバシバシと何度も叩き笑いながら言った。

「お〜い聞こえてるんですけどぉ〜。」

「あら?いたの?」

「燃やされちゃたまったもんじゃないんで隆さん部屋まで来てもらってもいいッスかねぇ?」

 一樹は母親を笑いながら睨むと隆にも皮肉を入り混ぜて言った。

「ほらさっさと着替えてきな。」

 一樹の母は隆の背中を平手で叩くと一樹と隆は部屋へと向かった。

 部屋に着くと一樹は隆に合う洋服を探し始めていた。

「適当に座っててよ。」

「あ..あぁ。」

 隆は部屋を見渡すとそこにはベッドの他にはパソコン、ギター、スノーボード、等最近の学生の部屋とゆう雰囲気だった。隆はギターの弦を指で軽く弾くと綺麗な音が響いた。

「それさ兄貴から貰って最初はやる気あったんだけど中々上手くならないから止めたんだ。何?興味あんの?」

 一樹は隆に着替えを渡すとギターを手に取りパソコンの前にある椅子に腰掛けギターを弾き始めた。

 上手いとは言えないが静かな音色が広がり一樹がそれに合わせて歌い始めた...

 ギターの音色と歌声が終わると一樹は元の場所にギターを戻しながら言った。

「人前でやんの恥ずかしいな、なっ下手だろ?」

 一樹は苦笑いをしながら言うとタバコを咥えて火をつけた。

「まぁギターはな、でも歌は結構いいと思う。」

「そっそぉか?いやぁカラオケ以外で人前で歌うの初めてだからそぉ言われると余計に恥ずかしいな。」

 椅子に座りながらクルクルと回ると頭を無造作に掻き毟り照れていた。

「それより本当にいいのか俺なんかが転がりこんじまっても?別に帰る所がないわけじゃないから別にいいんだぞ。」

 隆は置かれたギターを見つめていたが急に真剣な眼差しで照れていた一樹に言った。

「いいじゃんおふくろもいいって言ってたし兄貴だってお前の事気に入ってくれたみたいだしな。でも和美には手出すなよ!兄貴異常な程和美には過保護だからな。」

 椅子の上に座りながら胡坐をかきながら話していたがいきなり隆に指差して言った

「出さねぇよ!ってか何でお前は俺にそこまでしてくれるんだよ、喧嘩もそぉだし何でだよ?」

 隆はずっと疑問に考え思っていたことを言うと一樹は少し考えて話し始めた。

「俺さガキの頃病弱ってか生まれた時にはなんか思い病気にかかってたみたいで長く生きられないって言われてたんだよ、今までに世界でも数人しかなった事がないらしくてな。

 正直まだガキだったから一つも覚えてないんだけど頭の奥底には記憶があるみたいで今でも時々夢見るんだよ。」

 一樹は机から一枚の写真を出して隆に渡すとベッドに腰掛けた。

「もしかして一樹...か?」

 写真にはベッドの上には点滴等で管だらけのガリガリに痩せた子供が写っていた。その回りには小さな男の子と若い頃の一樹の母とその腕に抱かれた赤ん坊とその横には男性が写っていた。

「そったしか四歳って言ってたかな、その時はもう何をしてもダメらしくて最後に家族で写真を撮ったんだってさ。」

「ダメってどぉゆう事だよ?今お前ここにいるじゃねぇかよ。」

「大丈夫だよ幽霊でもなんでもねぇから。実はなその後なんか製薬会社がその病気に効く可能性がある薬品と治療法方があるってゆう申し出があってさ、助かる可能性があるならって訳でお願いしたんだよ。

 製薬会社もそれで治ったら富と名声が手に入るわけだから医療費はあっちで負担するって言ってくれたんだ。でも代わりに見通しがつくまでは機密漏れの恐れがあるから面会は出来ないって事だったけど治るならそんな事ぐらい構わないって事で了承したんだよ。」

 一樹はタバコを咥えて火をつけると隆から写真を受け取りそれを見て少し黙っていた。

「それでもぉ治ったのか?もしかして長くないとかか?」

 隆は悲痛な目で一樹を見ながら言った。

「そんな顔すんなよ、もぉ大丈夫完治したよ今はもう大丈夫だよ。まぁまだ数ヶ月に一回検査しに行ってるけどな。...ただ正直覚えてはないんだけどその時はいい思い出?ってのはなかったなぁ、真っ白い部屋にいて何人かが俺に注射かわかんねぇけど薬打ったりされてさ親父とおふくろが面会に来るまで誰とも話してなかった記憶はあるよ。どのくらい月日がたったのかわかんないけど一年ちょっとで退院してさそれからはガリガリだった体も肉がついてきて運動も出来るようになってきてさ、嬉しかったなぁ親父とおふくろのあの喜んだ顔。」

「治った事が嬉しかったんじゃないのか?」

「それもあったけどガキながらも思ったんだ俺には家族がいるって...だからこれからもずっと大事にしていこぉってさ。あと今までこの話し誰にもした事ないから内緒な。」

「家族か...」

「俺はなんかどっかを隆と似てるなって思って放っておけなかったんだ。もしここにいるのが嫌で出て行きたかったらもぉ止めないよ、ただもしそぉなっても俺等ダチだよな。」

 一樹はタバコの箱を持ち蓋を開けて隆に差し出すと隆は一本取り出し口に咥えると一樹がそれに火をつけた。

「あ〜ぁ面倒くせぇ奴と知り合っちまったなぁ、回りにいたダチはお前がみんなぶっ飛ばしちまったからもぉ誰も寄り付かねぇしこの際贅沢いってらんねぇか。」

「あれがダチ?手下ってか子分みたいだったぞ!」

 一樹は驚いた顔で隆を茶化した。

「うっせ!俺といると面倒に巻き込まれるぞ?それでもいいのか?」

「嫌だったらもぉ今一緒にいねぇよ。」

「じゃぁしょぉがねぇからダチにしてやるよ。」

「一樹さん僕友達いないから友達になってくださいだろ。」

 二人は少しずつ笑い始めると声をあげて笑っていたが一樹が時計を見ると我に返った。

「やっべ早く着替えて行かねぇとおふくろにぶっ飛ばされるぞ。」

 一樹が焦りながら言うと隆は少し考えて立ち上がりながら言った。

「一樹、俺今日帰るよ、やっぱり親父さんもおふくろさんも兄貴さんも妹さんもお前が大事だと思う...だから今日みたいな日は俺みたいな奴はいない方がいい...」

「俺みたいな奴って何だよ!」

 隆が言い終わるのを待たずに一樹は言い放った。

「ほら俺施設出だろ、だから...」

「だからなんだ?何がダメなんだ?お前が言ってる事になんかまずい事でもあんのかよ?」

 隆の肩を掴み一樹は切ない目で何度も言った。

「いやだから普通の家庭と違うからやっぱり...」

「普通の家庭ってどんなんだよ?お前とウチの誰かは何かが違うのか?俺にはわかんねぇよ。」

 掴んでいた手を話すと椅子に腰掛けた。

「一樹...」

「とりあえず飯食ってけよ、着替えていかねぇとおふくろキレるぞ。怒らせると後が怖ぇぞ。」

 一樹は隆が着替えるのを待ってると部屋のドアが開きそこには啓がいた。

「おふくろが早くしろだってよ。」

「あぁごめん今行くよ。」

 二人は急いで部屋を出て啓の後を着いていった。

「一樹...今度昔の話し聞いてくれるか?」

「お前が話したい時いつでも聞くよ。」

 三人はリビングに着くとそこにはみんな集まっていた。

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