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DEAD  作者: 鼻セレブ
10/17

10.過去2

まだもう少しだけ過去になるのですがもう少しだけお付き合いをお願いいたします。

 それから三日後…

「.....ん..ここは...?」

 隆は目が覚めると目の前には記憶にない天井が広がった...辺りを見回すと、自分が寝ているベッドの他に幾つかベッドが並んでいてそこには何人かが横になっていた。

隆はベッドから起き上がろうとすると体中に痛みが走り顔を歪ませた。よく見ると体中包帯だらけで顔の半分以上がガーゼで見えなくなっていた。

「だぁめだってまだ寝てねぇと、肋骨が何本か折れてるし他にもひびとか打撲で最低でも治るのに三ヶ月はかかるって言ってたぞ。」

 隣のカーテンが開きそこには隆と大して変わらない姿の一樹がベッドの上から喋りかけていた。

「ここは?あの後どぉなったんだ?」

「お前三日も寝てたんだぞ、まぁ実は俺も昨日の夜目が覚めたばっかで詳しくは聞いてないんだけどあの時誰かが通報したらしくて警察が来たんだってよ、それでそのまま病院送りみたいな感じかな。でもよく俺等生きてたな、さすがに死んだかなぁって思ったよ。」

 一樹は説明すると枕元にあったナースコールを押した。

「三日も経ったのか...」

 隆は悲鳴を上げる体に鞭を打ち横に置かれていた学生服に袖を通し始めた。

「ちょっお前何やってんだよ?」

「決まってるだろ、四中に行ってお礼しに行くんだよ。」

「バカ!そんな怪我で何が出来んだよ!行ってもやられるだけだぞ!」

 一樹も包帯だらけの体を起こし隆を止めた。

「俺は負けちゃいけねぇんだよ!じゃねぇと俺は俺じゃなくなっちまうんだよ!」

 隆は一樹の腕を振り払いながら言うと病室を出ようとした。だが入り口から入ってきた男に軽くぶつかっただけだが怪我をしていることもあって簡単に倒れてしまった。

「悪いな、大丈夫か?」

 男は隆に手を差し出して謝罪をするが隆はその手を払って痛みを我慢して一人で立ち上がった。

「なんだよ、謝ってんのにかわいくねぇ兄ちゃんだな、おっ!一樹起きてたか、おふくろに頼まれてた着替え持ってきてやったぞ。ありがたく思えよ。クソガキ。」

 男は一樹に荷物を放りながら言った。

「サンキュー、病院の服ってどぉも着心地悪くてさぁ。」

「喧嘩に負けた奴が生意気言ってんじゃねぇよ!バァカ!」

「ちょっと待てよ隆。これ俺の兄貴なんだ。」

 一樹は隆を呼び止めて親指を立てそれを一樹の兄に指しながら言った。

「これってなんだお兄様だろ!」

 一樹の兄は軽く一樹の腹に拳を当てると言葉なく一樹はしゃがみこんでしまった。

「どぉも...」

 隆は一樹の兄貴に軽く会釈をするとそのまま去ろうとした。

「あぁ君かぁ、俺は一樹の兄貴で岡村 おかむらけいだ。おふくろから聞いたよなんだっけ?イナガキ君だっけ?喧嘩強くて番長なんだろ?ってか急いで何処行くんだ?このバカとあんま怪我か変わんないんだろ?」 

「板垣ッス!...今からお礼参りに行くんすよ!」

 隆は眼光鋭くし啓を睨みながら問いに答えた。

「だから無理だからやめとけって!行くならせめて怪我が治ってからにしろよ。」

 啓に叩かれた腹が痛むのか手で押さえながら隆に歩み寄った

「だからお前には関係ねぇだろ!」

「一樹、なんで止めんだ?行かせてやれよ!男が一度決めたことにいちいち講釈たれてんじゃねぇよ!」

 啓は二人の後ろから腕組をしながら一樹に怒鳴った!

「だけど兄貴こいつ本当に死んじまうぞ!」

「岡村...ありがとな、でも俺こうしなくちゃ俺じゃなくなっちまうからさぁ。」

 隆は一樹に言うと啓に一礼した。

「隆...」

 一樹は振り返り足取り重く去っていこうとする隆に何も言えずにいた。

「よし!じゃぁそぉと決まれば行くか!」

「えっ!?」

「えっ!?じゃねぇよお前そんなフラフラ歩いてたら着くの何日かかるんだよ、そこまで俺が車で送ってってやるよ。」

 急に啓が言ったこともあり隆は目を丸くして驚いた。

「いやそこまではちょっと...」

「なんだよ実はそのまま逃げようとしてたんじゃねぇだろぉな?」

 少し呆れた態度で隆に言った。

「んな訳ないっすよ、俺行きますよ!」

 啓に言われ頭に血が上ったのか啓に近づきそぉ言い放った。

「だったら問題ないな、んじゃ行くぞ。」

 隆はなんか腑に落ちない気持ちだったが先に歩いて行ってしまった啓の後を着いて行った。

「えっ?何?なんなんだ?」

 一番良く分からない顔をしていたのはその場に取り残された一樹だった。

「どこまで行けばいいんだ?」

 駐車場に着いた二人は啓の車に乗り込み啓が隆に聞いた。

「四中なんすけど、分かりますか?」

「あぁあそこか、分かるよ。」

「ってか普通置いていかないだろ!?」

 後から来た一樹も車に乗り込んで二人に言った。

「あれ?お前も行くの?」

「隆が行くんだからしょうがねぇだろ!」

「だから言ってんだろ岡村には関係ねぇって!」

「うるせぇ!行くって言ったら行くんだよ!あと一樹だ!」

 一樹は後ろから隆に怒鳴ると胸が痛むのか胸を押さえながら苦しそうな顔で言った。

「わかったよ、一樹。」

「熱血は終わったか?僕達?」

「すいません、お願いします。」

 三人を乗せた車は目的地に向かって走り出した。

「着いたぞ。」

 数十分走ると三人の乗った車は一つの学校の正門に着き三人は車から降りた。下校時間なのか校舎から生徒が出てきていた。

「なぁ申し訳ないんだがここの番長?頭?の人呼んで来てくれないかな?こいつが話しがあるんだって。」

 啓は一人の真面目そうな生徒に隆を指差しながら言った。

「多分その人でしたらもう少しで来ると思いますよ、さっき玄関にいましたから。」

「わかったよ、サンキュー。」

 真面目な生徒は軽く頭を下げると帰って行った。

「隆だっけか?そろそろ来るってよ。」

 啓が隆に聞くと隆は校舎から出てくる奴等を睨んでいた。

「隆あいつ等...」

「わかってる。」

 一樹が隆に言うと隆は音が聞こえるぐらいに拳を握り締めていた。

「ん?あそこにいるの...誰だ?」

 下校してくる生徒が隆に気づくとさっきまでふらついていたのが嘘のように隆は走り出した。

「あっ!板垣だ!!」

 それに気づいた時にはもう目の前まで隆は近づいていて先頭にいた奴の顔面を殴りつけ近くにいる奴も同様に殴り続けた。

「おいみんな呼んで来い!板垣が乗り込んできやがった!」

 そう言ってる間にもそこにいた奴を倒すが体が言う事を聞かず殴りつけられ隆は倒れこんでしまった。

「おい今だやっちまうぞ!」

 隆は怪我のせいか体が思うように動かずひたすらに蹴り続けられていたが、そこに一樹が走り込んできて隆の周りにいる奴等を殴りつけ隆を起き上がらせた。

「今度は逆の立場になったな、ってかちょっとは考えて行動しろっての!」

「お前にだけは考えて行動しろって言われたくねぇっての。」

「そりゃそぉだな。」

 一樹は隆に言われ少し考えると微笑しながら答えた。

「やべぇ、かなり集まってきたぞ。ちなみに俺来たはいいけど正直動けないんだよね...」

「心配するなよ俺も一緒だ。ただここの頭だけでいいからぶっ飛ばさないと気がすまないんだよ。」

 そぉ言ってる間に回りにはかなりの数が集まっていて逃げ場もなくなっていた。奥から一人の男が一樹と隆の前に現れた。

「よぉ板垣、元気そぉだな?死んでくれたと思ってたのに残念だよ。あとお前の所の奴等ちょっといじめてやったら二度と逆らわないから許してくれって泣いて頼んできたぞ。」

 四中の頭は隆を馬鹿にした言い方で薄ら笑いをしながら話すと隆がそいつに向かっていき殴りつけると回りにいた奴等に取り押さえられてしまった。

「てめぇ殺してやる!」

「おぉ怖いもぉお前邪魔だから消えてくれよ。もぉ二度と歯向かえないようにしとけ。」

 取り囲む奴等に言うと後ろに下がって行った。

「てめぇ逃げんじゃねぇ!」

 隆の叫びも空しく掴まれていた奴等に取り囲む中心に投げ飛ばされてしまった。頭の合図で取り囲む奴等は襲い掛かり二人は身構えるが怪我のせいもあり大した抵抗も出来ず殴られ続けてしまい二人とも倒れこむと奴等も殴るのを止めた。

「一樹...悪いな巻き込んじまって..」

「本当だよ..って言いたいがしょぉがねぇだろダチなんだからよ。」

「バカこんな時に笑わせんじゃねぇよ...」

 二人の所に頭が来てしゃがむと倒れている隆の髪を掴んで持ち上げた。

「板垣、泣いて謝るんならこのぐらいで許してやるよ。」

「てめぇが泣いてどぉしても謝ってくださいって言うなら考えてやるよ。」

 頭はそう言った隆を殴りつけると立ち上がった。

「おいこいつらもぉいらねぇ痛めつけてどっか捨てて来い!」

 取り囲む奴等は二人を立たせ押さえると殴り始めようとした時どこからか手を叩く音が聞こえ一同がそこを見ると啓が手を叩きながら歩み寄ってきた。

「最近の中学生は映画の見すぎなんだねぇ、そこの番長かな?いい台詞だねぇ役者めざしたら?」

 笑いながら集団に近づくと一人の生徒が掴みかかってきた。

「こらおっさん!てめぇがくるような所じゃねぇんだよ消えてろ!」

 啓はムッとした顔をすると生徒の顔に左手を置くと瞬時に右手で左手の中指を摘んで弾くと生徒は額を押さえてうずくまってしまった。

「おっさんって誰に言ってんだよ!まだ俺は18才だ!」

 それを呆然として見ていた奴等も我に返ると三人が飛び出した。

「バカ!やめとけっ!」

 一樹が言うのを聞く訳もなく三人は啓に殴りかかった、だが啓は殴りつけてきた拳をかわし懐に入ると額に頭突きをした!もう一人の頭を掴むとそのまま額に頭突きを入れた瞬間後ろから不意に一人が殴りつけてきたがそれを片腕で止めるとそのまま握り潰そうとするとそのまま生徒は座り込んでしまった。

「人の忠告は聞いとくもんだぞ、少年達。」

 啓は掴んでいた手を離すと二人は起き上がってこなく一人は手を押さえたまま動かなかった。

「てめぇ誰だこの野郎!」

 一人が啓に問いただした。

「俺?そこに倒れてる奴のお兄ちゃん。別に加勢しにきたわけじゃないから勝手にやってていいぞ。」

「まさか...おい!お前の名前なんて言うんだ?まさか岡村じゃないよな?」

 頭は震えだすと一樹に聞いた。

「何で知ってんだよ?お前に自己紹介した事ねぇぞ!」

 それを聞くと頭は集団を掻き分け啓の前まで行くと深く頭を下げた。

「失礼しました!二人が岡村さんのお知り合いとは知らず大変失礼しました!二人はこのまま帰っていただき今後も手出しを致しませんのでどうか許していただけないでしょうか!?」

 頭は啓の前で頭を下げたまま震えながら言った。

「俺は何も関係ねぇよ、そこのバカ共が勝手にやった事だから気にしなくていいし好きにやってくれ。一般市民として見学に来ただけだしな。」

「はい、ありがとうございます。おい!お前等二人を離してやれ!これで終わりだ。」

 頭はそれを言うと取り囲む奴等は二人を離した。隆は自由になると啓に掴みかかった。

「あんたがどんだけ偉いか知らねぇけどこれは俺の問題なんだよ!部外者は下がっててくれよ!」

 啓は襟首を掴んでいる隆の腕を外すと言った。

「なぁお前が今のここの頭か?」

「はいそうです!」

「なんだこの有様は?怪我人二人に寄って集って袋にして頭は何もしねぇで、俺等ん時の四中とは偉い違いだな。」

「いや...あの..」

 啓に言われ頭は震えだし下を向いたまま黙ってしまった。

「特に何も言うつもりはなかったがこれじゃ四中の恥になんぞ。頭としてどお責任取るんだ?」

 頭は震えたまま何も言えなかった。

「じゃぁこうしろこのバカとタイマンはれ!そぉしたらこのバカも気が済むだろうしお前もこんな怪我人相手じゃ負けねぇだろ?そぉしたら恥かかねぇで済むだろ?」

 頭は隆を見るとそこには立っているだけでも辛そうな姿があった。頭は啓の顔を見ると頷いた。

「じゃぁ決まりだ頭同士のタイマンだな、勝っても負けても恨みっこナシ!二人ともいつでも初めていいぞ。」

 啓はそう言うと一樹の所まで行くとタバコを咥えて火を付けた。

「板垣てめぇは殺す!」

「さっきまでビビッてた奴が言っても怖くねぇぞ!」

 頭が先に殴りつけるとかわす体力がないのかモロに顔面に食らってしまいよろめきながらも殴り返すがすんなりとかわされてしまった。

「兄貴、なんでこんな風にしちまったんだよ?隆はもぉ立ってるだけでも辛いんだぞ!」

「だからお前はバカだって言ってんだよ、まぁ黙って見てろよ。」

 一樹は啓の言う事がわからなかったが黙って隆を見ていた。

 隆は何発も殴られ倒れずにいるのが精一杯のようで殴る事さえも出来なくなっていた。

「もぉ負けでいいから止めてくれよ!兄貴!」

 一樹は啓の肩を掴みながら言うと啓が言った。

「見てろよもぉ決まるから。」

 啓が言うと一樹は二人を見た。だが状況は変わらず隆が一方的にやられているだけだったが次第に頭の息が切れてきて一気に勝負をつけようと大きく振りかぶった。

「これで決まりだ!死ねぇ!」

 振りかぶった拳は隆に勢い良く襲い掛かった!拳は隆の頬に当たるが首を曲げて逸らすと、下から思い切り突き上げた拳がカウンターで頭の顎に直撃し体が少し浮きそのまま力なく崩れ落ち動かなくなってた。

「これで勝負ついたな。今回はこれで終わりだ!両方ともわかったな!?あと今後は俺は関係ないから好きにやってくれ、ただ恥じになるような事はするなよ!」

 啓が言うと取り囲んでいた奴等は混乱しているのか誰一人として動かなかった。

「結局兄貴がおいしい所全部持っていっちまいやがったよ、俺なんて今日殴られに来ただけだぜ。なぁ隆。」

 一樹が隆に近寄ると丁度倒れそうになった所を一樹が支え肩を貸した。

「お前等よく聞けよ!俺は逃げも隠れもしねぇ!だからいつでもかかってこいや!うちの中学の奴等なんて関係ねぇ俺と一樹が相手してやるからよ!そいつにも起きたら言っとけ!」

「俺もぉ!?」

 隆は取り囲む奴等に言うと一樹に肩を借りて歩き出すが二人ともふらふらで真っ直ぐに歩けなかったが車までなんとか辿り着いた。

「隆やったな、お前すげぇよ!」

「一樹がいなかったら無理だったってぇの」

 二人は手を上げて叩き合ったが衝撃でこの間の怪我と今回の怪我の痛みが我慢できずに倒れこんでしまった。

「あらら〜こいつら余程限界だったのかな?こりゃおふくろにキレられるな...」

 啓は二人を車に乗せて病院へと戻り二人が眠りから覚めるのは数日後の事だった。

  



 余談だが病院に着いた後重傷者が二名病院から抜け出した事で大騒ぎになっていてそこには一樹の母もいて啓は母からも病院からも数時間に渡り説教を喰らった挙句飯は抜きだった。

 そんな事など二人は考えもせずただ疲れた体を癒すために眠っていた。

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