暇を持て余したヒロインが、その先に何があるのかと会話率100%に挑戦してみたら、こんな風になっちゃいました↑↓↑↓
「シグー、何か面白い話し、してー」
「なんだよ突然」
「暇なんだよー、それより面白い話、あるの? ないの?」
「そうだ、ちょうど面白い事があったんだ。この間町をブラブラしてた時の事なんだが、つぶらな瞳のパッカラさんがいてな、こうなんて言うのかな、ジッと見つめられて、可笑しかったんだ」
「なにそれ?もういいよ」
「えっ、駄目でした?」
「ダメもダメ、大ダメよ。逆に問うけど今のを本当に面白いと思っているの?」
「後からグッとくる感じで……」
「ダメシグだよ、あんたはダメシグだよ」
「なんか最初からコテンパンなんですけど」
「じゃ、挽回の機会をあげるよ。もう面白くなくてもいいから、こうなんというか、引き込まれるような話をお願い」
「引き込まれる? 難しいな、系統だけでも指定してくれないか?」
「じゃ、少しだけエロいやつ」
「えっ、エロですか!?」
「女の子に何度もその単語を言わせないで貰えるかな?」
「いや、その女の子から、スルリとその単語が出てきたんですけど」
「普通こんな会話、女の子とは出来ないもんですよ」
「確かに、しかし急に言われても何を話せばいいのやら」
「普段考えていることをそのまま口に出せば、いいと思うよ」
「人を色情魔みたく言うな!」
「んじゃ、体験談とかは?」
「……妄想ぐらいしかないよ」
「かわいそう」
「おっ、お前はあるのかよ?」
「信じられない、普通そんな事女の子に聞く?」
「いや、流れに身を任せただけだったのだが。……すまない」
「もういいよ。ところでさ、シグの見た目ってどんななの?」
「えっ、それは眼帯してて、背が高くて、あとはイケメンで……」
「えっ、本編のどこにイケメンなんて描写あった?」
「なかったっけ?」
「ないよそんなの、髪の毛の色さえわからないよ」
「言われれば……俺ってどんな姿しているんだ?」
「いい機会だし、私が見繕ってあげようか?」
「おう、よろしく頼む」
「ちなみにリクエストは?」
「取り敢えず、独眼であることは人に知られたくないから、前髪長めかな」
「うん、それでいーんじゃない?」
「えっ、なんかいま俺、自分で決めちゃいましたよね?」
「だって、少し考えてみたら、意外と面倒臭そうだったんだもん」
「そこは元気出して頑張って!」
「わかった、頑張ってみる!」
「よし、仕切り直しだ!」
「それじゃー取り敢えず、髪の色から行きましょうか」
「よろしく頼む」
「……タラララララララ、ラッ! 黒だね」
「ビジュアル的に一番大切な箇所を、ルーレットで決めちゃった!?」
「丁度良いじゃない、シグに絡む人達の髪の色は、私の金、緑、白、茶、赤でしょ? そしたらあとは黒かなと」
「ん? 赤はユアンとして、茶って誰?」
「カザンのおっちゃん」
「なるほど、たしかにウェーブの掛かった長髪っていったら茶髪だよな」
「でしょ、そしたら残りは黒な訳で」
「そうなるのか、しかし主人公である俺の髪色が、まさか消去法で決まるとは」
「まーなんだ、世の中そんなもんだよ」
「そうなのかぁ? 」
「そうだよ、気にしない気にしない。それより黒髪に決定した事をお祝いしないと、おめでとー」
「……あぁ、ありがとさん。よし、そしたら次はーー」
「ちょっと待った!」
「急に叫んで、どしたの?」
「シグ、この話してても全然面白くないよ」
「えっ、俺の新たな設定が明らかにーー」
「いやいや、読者さんはそんな事求めてないよ」
「じゃ、何を求めているんだよ?」
「それを私の口から言わせるの?」
「もしかして、またエロいの? この作品はどちらかと言えばその要素よりギャグよりだと思うんだが」
「たしかにギャグを望んでいる人もいるかもしれないけど、それ以上に皆エロも求めているんだよ」
「でもそれじゃ男性読者しか喜ばないんじゃないのか?」
「シグがクロと絡めばオールオッケー」
「そちら向け!?」
「おっちゃん達のがいい?」
「さらにハードになった!?」
「でも女性の読者を取り込むにはシグが身体を許すしか……」
「シャ、シャルル」
「なにー、顔を真っ赤にして?」
「女性でも普通に純愛とか好きな人もいると思うぞ」
「ちょっ待って、強く掴まないで」
「えっ?」
「わたし、魔力が満ちていないから……優しくしてくれないと、壊れちゃう」
「いや、何も触れていないんですけど」
「何だね君は? ここは会話しか許されないフィールドなんだよ。黙って身を任せていれば、今頃良い思いが出来たというのに」
「しまった! 出来る事なら時間を巻き戻したい」
「シグは馬鹿だなー。ただ単に時間を巻き戻しても、同じ過ちに行き着くだけだよ」
「知識チートが必要だった」
「そゆこと、まぁーそんな悲しいお頭のシグを貶してばかりじゃ可哀想だから、たまーにはいい思いをさせてあげようかな?」
「どうせ、大したことじゃないんだろ?」
「そう邪険にするでない、なんでも良いから一つだけ質問に答えてあげるぞよ、どうじゃ?」
「別にいいよ」
「今度はアダルティーな奴でも可なのに?」
「価値が一気に跳ね上がった! ……しかし身を削るな」
「べ、別に『お気に入り』が欲しくてやってるわけじゃないんだからね!」
「本当に?」
「ただお金は欲しい、かな?」
「可愛くいってるけど、黒い部分が全然誤魔化せてない!」
「あぁ、あぁ、シグの顔見てたら、目の前が真っ赤に染まっていく」
「ぼっ、暴力はいけない事だと思います!」
「うん? 睡眠時間削って、ずっと藁人形作ってたんだけど途中で飽きて、でもここまで起きてたんだから、何処まで行けるのか挑戦したくなって、で布団の中でゴロゴロし出してちょうど今日で徹夜3日目なだけなんですけど、何か?」
「狂気、堕落、ここに極まれりだな」
「布団の中で横になっての徹夜、これは中々耐えられるものではないん、だぞ!」
「そうなのか?」
「そう、現世と夢の世界の狭間を行くが如しだ」
「なんか格好良く言うな」
「そう?」
「なんて言うか、そう言うののセンスはあるよな」
「おっ、煽てても何も出ないぞ」
「いや、何もいらないよ」
「遠慮するでない。ほれっ、これを受け取れぃ」
「結局くれるのかよ。どれどれ……藁人形、いらねー!」
「因みにガラス細工だったりする」
「使いたくないけど、使えねー!」
「と言うか、もう限界。おやすみ」
「睡魔来た!? どおりで何時にも増して、可笑しなテンションだったんだな。てゆーか、もう寝てるし。…………ふー、たくこんなとこで寝たら風邪ひくぞ」
結果、眠たくなった。
因みにこのお話し、本編では三章と四章の間ぐらいに位置します ♪