6/6
終章 夢の果て
世界は無慈悲な程白かった。
「終わっちゃった」
「クゥン」
“蒼の幻望”が収まって皆の夢が覚め、私とコリー以外影さえ無い世界。
「まだ橇できるよね?雪解けてたら嫌だな」
屈んでふさふさの首に両腕を回した。温かかった。
「私あんまり見た夢覚えてないタイプだけど、この夢は起きても覚えてるといいな」
「クゥン」
コリーの口がもぐもぐ。
「少なくとも私には最高の夢だったよ」先手を打って囁く。「楽しかった」一欠片も怖いなんて思わなかった。元々感じないけど。
「キュウン……」
コリーの毛並みがキラキラ輝き始める。
「そろそろ魔法が解ける時間かな」
「クゥン」
撫でる私の手も星のように瞬いている。目がチカチカして落ち着かない。
顔の下半分の筋肉を動かし、さっきより上手く笑おうとした。
「やっぱり変な顔だ」
見せるのが恥ずかしくて再び首根っこを抱き締めた。
「―――Have a Good Nice Real、My Dear Guardian」