第二章 接触 4
「そうと決まればまず作戦会議だ。幸い昼休みはあと十分くらいあるし、綿密に練って放課後、校長室に特攻しよう。まず俺の意見」
村瀬は司会進行を勝手にやりつつ、右手を二人しかいないのに惜しげもなく天へと伸ばす。こちらがハイ、村瀬君と言う前意見を言う。
「何かいい事をして、校長室に招待されるってのはどうでしょう?」
フン、といかにもしてやったりな顔で意見を述べてくれたところ申し訳ないが、突っ込むとことは突っ込ませていただく。それも異種の優しさってもんだ。
「ばーか、いい事ってのは時間もかかるぞ。賞状もらって表彰してもらって終わりだろ。おまけに具体的に何やるんだ?」
「そ、それは、ボランティアをしたり、花に水やりしたり、トイレ掃除頑張ったり・・・」
「そんなことで賞状貰えたならだれも苦労しねーよ。ボランティア?プライベートの事までかまってられるか。花に水やり?園芸部に任せとけ。トイレ掃除?俺達のクラスにトイレの割り当てはねぇ」
「なら、拓海はどうするべきだと思うんだよ。どこかの部活に入って賞状貰うのとかは駄目だからな。」
「そのアイデアは今までのお前の意見の中では一番マシだよ。たしかに、特殊な訓練を受けてる俺らならやれるだろうさ。だけど、時間がかかりすぎる。今日中に、校長室に行きたいんだろ、お前は。なら簡単だよ。砲丸投げてガラスを割ればいい。」
「つまり悪いことするってのか。」
「そうそう、キャッチボールしてて取り損ねました~。アハハ。でいけば間違いなく校長室行きだ。」
「・・・でも生活指導の教師もつくんじゃねえの。一緒に」
「・・・・・だね」
あーだこーだ、そーだちがーう、ギャーウー、ボコボコ。
十分あった時間が残り少なくなる。そこへ光を差し込ませたのは意外な人物。
『普通に失礼しまーすで入ればいいんじゃないのか』
通信士の声がこのときだけうそくさいほどの大音量で聞こえた。