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第二章 接触 3

翌日、屋上、天気・・晴れ。


「今日、校長に接触する」


へ?アんだって?


「だから、「裏」をやめるならサブリミナル技術手に入れてからやめろって言われたんだよっ!」

「・・・・」


村瀬に呼び出された。そして、当たっちゃった。つまり、今日、村瀬は、「裏」を、やめる、ために、校長室に、乗り込む、だそうだ。

昨日、自宅に帰ってから三者面談よろしくリーダーとあさみさんと自分とで村瀬の事とかサブリミナルの事とかを会議した時に、リーダーの出した最悪のシナリオなるものに話が進んでしまった様だ。つまり、村瀬が計画もくそもなしに早急に話を進めようとしている事だ。昨日のリーダーの言葉を頭の中で転がしながらしながら、ようやく頭の中でまとめる事が出来た。

神風特攻隊?

山田のアホ症候群が移ったようだ。


「なんで。校長がそう簡単にサブリミナル技術についてベラベラしゃべるとでも思ってるのか?俺なんて初対面だぞ」

「俺も初対面だ。」

「なら、なんで!」

「・・・・兄さんを、父さんと母さんに会わせてあげたいから、だよ」


急に静かになる村瀬。話が長くなりそうだ。今が昼休みでよかった。


「・・・俺と兄さん、「裏」属しているだろ?最初は、普通に中学生やってて兄さんも高校生やってた。普通に幸せに過ごしてたんだよ。でも、ある日全てが変わった。夜寝ている時に火事で家が全焼。一階に寝てた俺と兄さんは何とか生き残ったんだけど、二階に寝ていた父さんと母さんは駄目だった。託児園に預けられた俺たちは、園長さんのご厚意で一つの小さな墓を園内に建ててもらえたんだ。▽▽園っていうんだけどさ。半年の間そこで暮らしてたんだ。だけど、いきなり、黒ずくめの男たちがやってきて、俺達を引き取っていたんだよ。やっとなじんできたと思った矢先だった。そして、連れ入られたのが、「裏」の組織。」


そこで村瀬陽の光がまぶしく感じられたように目を細める。


「そこからは毎日訓練訓練訓練。兄さんは一人前になっても俺はずっと訓練していた。つい最近、やっと俺はこの高校にスパイとして入学した。初めての任務で、兄さんに褒められたのを今でも覚えてる。でも、その直後に兄さんは殺された。自殺ってことになってるけど、殺されたんだよ。兄さんは毎日俺に言ってきた。「こういう仕事をしているときはいつ死ぬか分からない。もし俺が死んだ時は父さんと母さんの墓に入れてくれ」って。」

「・・・・・」

「兄さんの形見を下っ端が運よく見つけたのはいいものの、「裏」の自分が勝手に行動できない以上、遠く離れた託児園に行く事なんてできないんだ。だから、できるだけ早く兄さんを・・・」


そこで村瀬は言葉を区切ると、百円玉を見つけ屈んだ。いや違う、腰を大きく曲げ俺に頭を下げてきた。いわゆる、礼。ボケーとしていると、


「頼む!だから、俺に協力してくれっ」


へ?


「頼む!」


え、だからって、文脈おかしくないか?だからの前何言っってたっけ。


「一人じゃ自信がないんだ。頼むっ」

「ちょ、ちょっと。そんなん俺の独断で決められるわけ・・・」

「なんなら今相談してくれたって構わない。その無線機で」

「ってばれてたのかよっ。この無線機」

『いいだろう』

「いやだからお前が決めるな・・・」


パニクっていた拓海に冷静な声が聞こえる。村瀬からではなく、耳たぶから。


『罠って事でもなさそうだし、いいだろう。承諾してやれ。なにしろ、お前の任務はサブリミナル技術を奪取することだものな』


こうして、史上初めて「裏」と「闇」の協定が結ばれた。


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