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第二章 接触 2

只今、トイレの個室。内部に誰もいないことを確認して個室に入る。

ズボンを下げない時点でう○こをしないのは明確だ。ここ重要。

洋式トイレを堂々占拠して突っ立っているのは、しぶしぶ和式で用を足す人にとってはギロチンものだろう。だが今男子トイレには洋式トイレで宮沢賢治のデクノボーと化しているのは言うまでもなく、「闇」組織に属する拓海君だ。

しかし、今、彼の目は真剣な色を含んで便座を見つめている。

このアイボリー色がいい。とは思ってない。

これ、質屋に売ったらいくらだろう。とは思ってない。売れるわけない。

喉乾いたな。とも思ってない。飲んだ瞬間人間失格だ。

今彼がしているのは独り言、もとい、通信士とのプチ会議だ。


『予想外な出来事ね』 

「はい」

『でも、彼が「裏」をやめるのは難しいと思うよ』

「゛エッ!」

『・・・誰かに首でも絞められてるのか?とにかく、彼が「裏」を抜けられる可能性はほとんどないだろう。なぜなら、彼はもう十分の機密事項に触れている』

「で、でも、まだサブリミナルの存在を知っているだけじゃないですか。具体的な行動はまだ何も・・・」

『はぁ、考えてもみろ。いいか、サブリミナルは今後起こるかもしれない「闇」と「裏」の戦争の火種だ。もともと仲のあまりよろしくないこっちの世界と向こうの世界が戦争を起こすんだ。サブリミナルの存在を知っているだけで十分「機密事項」なんだよ』

「けど、サブリミナルを知らない人なんていないでしょう。うちの組織に」

『なんで、そんな事が断定できる。お前は他の同僚を見たことすらないんだろう。』

「昨日の事聞こえてたんですか。」

『そう、私も何回か一仕事をおえた後に下っ端と顔を合わせた事はあるけど、支部長よりも偉い人にはあった事がない。でも、下っ端の奴らはサブリミナルなんてもの知ってる雰囲気じゃなかったわ』

「そう、ですか」

『「裏」の連中も同じと考えた方がいいわね。サブリミナルを知っている者は下っ端ではないという事。サブリミナルは重大な秘密であるという事』

「・・・・・」

『まぁ、明日の村瀬啓太の反応を見てから対応を考えましょう』

「はい」


そこで、繋がっていた会話の線は途切れた。

あ、おなか痛い。


拓海がようやく男子トイレから出てきたのは会話の終わった五分後であった。








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