第6話『三大配信者バトル開幕』
春の空は雲ひとつない青空だった。
校庭では体育の授業が行われていて、生徒たちの声が遠くから聞こえてくる。桜の花びらがゆっくりと風に乗り、校舎の窓や廊下へ舞い込んでいた。
そんな穏やかな昼休み――
屋上では、少しだけ緊張した空気が流れていた。
フェンスの近くでスマホを見ていたミアが言う。
「……来た」
ユウトが聞く。
「何が?」
ミアは画面を見せた。
そこには動画アプリのランキング。
急上昇1位。
黒瀬カイト
動画タイトル。
『学園配信者へ宣戦布告』
再生数。
23万再生(投稿30分)
ユウトは目を丸くする。
「早すぎない?」
ミアは肩をすくめる。
「カイトも人気配信者だもん」
そのとき――
屋上の扉が開いた。
ガチャ。
「おー」
聞き慣れた声。
黒瀬カイトだった。
カイトは笑いながら歩いてくる。
「見た?」
ミアが言う。
「見た」
カイトはスマホを振る。
「もう30万再生」
ユウトが驚く。
「30万!?」
カイトはニヤッと笑う。
「まあこんなもん」
ミアが腕を組む。
「余裕そうだね」
カイトは言う。
「そっちは?」
ミアは首をかしげる。
「まだ投稿してない」
カイトは驚く。
「マジ?」
ユウトが言う。
「今日撮影する予定」
カイトは楽しそうに笑った。
「いいね」
そしてフェンスにもたれる。
「でもさ」
ミアが聞く。
「何?」
カイトは空を見上げながら言った。
「今回の勝負」
「俺だけじゃない」
ユウトが言う。
「分かってる」
ミアが小さく言う。
「ルナ」
その名前を聞いた瞬間――
屋上の扉がまた開いた。
ガチャ。
三人が振り向く。
そこに立っていたのは――
月城ルナ。
黒髪が風で揺れ、静かな雰囲気をまとっている。
ルナはゆっくり歩いてきた。
カイトが言う。
「お」
「来た」
ミアが言う。
「屋上来るとは思わなかった」
ルナは静かに答える。
「配信者の集まり」
「面白そう」
ユウトが小声で言う。
「三人そろった…」
ルナはスマホを取り出す。
「見た?」
カイトが笑う。
「俺の動画?」
ルナは首を振る。
「ランキング」
画面を見せる。
急上昇ランキング。
1位 黒瀬カイト
2位 月城ルナ
3位 白崎ミア
ユウトが驚く。
「え!?」
ミアが言う。
「ルナも投稿したの?」
ルナはうなずく。
「さっき」
カイトが笑う。
「さすが100万フォロワー」
ミアがスマホを見る。
再生数。
ルナの動画 31万再生
ユウトが言う。
「30分で!?」
ルナは平然としている。
「普通」
カイトが笑う。
「やっぱ強いな」
ミアはニヤッと笑う。
「燃える」
そしてユウトを見る。
「私たちも投稿しよ」
ユウトはうなずいた。
「うん」
カイトが聞く。
「どんな動画?」
ミアは言う。
「秘密」
ルナが静かに言う。
「企画?」
ユウトが答える。
「学園Vlog」
カイトが笑う。
「王道だな」
ミアが言う。
「でも」
「ただのVlogじゃない」
ユウトがパソコンを開く。
「今回」
「仕掛けがある」
カイトが興味深そうに言う。
「ほう」
ミアが笑う。
「見てからのお楽しみ」
ルナが小さく言う。
「いい」
カイトが言う。
「じゃあ」
スマホを掲げる。
「今から勝負」
ミアもスマホを持つ。
「望むところ」
ルナもスマホを出す。
「配信開始」
ユウトが言う。
「投稿するよ」
ミアが頷く。
「お願い」
ユウトは投稿ボタンを押した。
「……投稿」
数秒の沈黙。
スマホの画面に数字が現れる。
再生数。
0
カイトが笑う。
「ここからだな」
10秒後。
再生数。
1200
ユウトが言う。
「早い」
ミアが笑う。
「いい感じ」
30秒後。
8000再生
カイトが目を細める。
「伸びてる」
1分後。
3万再生
ルナが言う。
「編集いい」
ユウトが少し照れる。
「ありがとう」
3分後。
10万再生
ミアが拳を握る。
「よし!」
カイトが笑う。
「面白い」
そしてスマホを見る。
「俺の動画」
45万再生
ルナが言う。
「私」
48万再生
ユウトが驚く。
「もう!?」
ミアは笑う。
「まだまだ」
そして数分後。
ユウトのスマホが震えた。
画面を見る。
再生数。
25万再生
ユウトが言う。
「追いついてきた!」
ミアがニヤッと笑う。
「行くよ」
カイトが言う。
「いい勝負」
ルナが静かに言う。
「まだ序盤」
三人の配信者。
三つの動画。
そして――
三つの再生数が
激しく競い始めていた。
しかしそのとき。
動画のコメント欄に
あるコメントが流れた。
『編集者誰?』
『ミアの動画変わりすぎ』
『裏にプロいる?』
ユウトの心臓がドクンと鳴る。
ミアが小さく言う。
「……来た」
カイトが笑う。
「そろそろ」
ルナが静かに言った。
「秘密」
「バレる」
学園配信バトルは
まだ始まったばかり。
だがこの戦いは
やがて
学校中を巻き込む大事件
へと発展していく――
(第7話へ続く)




