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『フォロワー0の僕が、学園一の配信者とバズった日』  作者: 優貴(Yukky)


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第1章 「バズの始まり ― 再生数0からの革命」 第1話『フォロワー0の教室』



四月。

柔らかな春の風が校庭を吹き抜け、満開の桜が花びらを空へと舞わせていた。

薄いピンクの花びらは、青い空の中をゆっくりと漂いながら、校舎の窓やグラウンド、そして通学する生徒たちの肩へと静かに落ちていく。

新学期の朝。

校門前は制服姿の生徒たちで賑わっていた。

笑い声。

部活の勧誘。

スマホで写真を撮る女子たち。

青春の空気が、そこには溢れていた。

そんな賑やかな景色の中を、一人の男子生徒が静かに歩いていた。

春宮ユウト。

黒髪で少し前髪が長い、ごく普通の高校二年生。

彼は歩きながらスマホを見て、小さくため息をついた。

「……やっぱりか」

画面には動画アプリの投稿ページ。

再生数。

3回。

ユウトは苦笑する。

「まあ……そんなもんだよな」

自分で2回見たから、実質1回。

誰が見たのかも分からない。

それでも彼は動画投稿を続けていた。

理由は単純。

動画編集が好きだから。

カット編集。

音楽のタイミング。

テロップ。

すべてを組み合わせて一つの作品を作る。

それが楽しかった。

「いつか……バズったりして」

ユウトは小さく笑いながら校舎へ入った。

廊下には朝の光が差し込み、床がきらきらと輝いている。

新しい教科書の匂い。

遠くから聞こえる運動部の掛け声。

青春の空気だった。

そして教室の扉を開けた瞬間――

「ミアちゃん来た!!」

「配信してる!?」

「ちょっと映してよ!」

教室はまるでライブ会場のような騒ぎだった。

ユウトは驚いて立ち止まる。

教室の中心。

そこには一人の少女がいた。

長い銀色の髪。

大きな瞳。

透き通るような肌。

そしてスマホを片手に笑顔を向けている。

白崎ミア。

この高校で知らない人はいない。

学園一のインフルエンサー。

フォロワー数――

50万人。

ミアはスマホを掲げて言った。

「みんなー!おはよー!」

すると画面のコメントが次々と流れていく。

『かわいい!』

『ミアちゃん今日も神!』

『学校配信!?』

クラスメイトがわざと映り込む。

「俺も映して!」

「ミアちゃん今日の配信何するの?」

ミアは笑いながら答える。

「今日はねー、学校の日常Vlog!」

「リアル高校生活ってやつ!」

「わー!」

クラスがさらに盛り上がる。

ユウトはその様子を後ろの席から静かに見ていた。

(すごいな……)

同じ高校。

同じ教室。

なのに世界が違う。

ミアのスマホ画面をチラッと見ると

同時視聴者数。

2万3000人。

ユウトの動画再生数。

3回。

「はは……」

思わず笑ってしまう。

そのとき。

ミアの目が一瞬だけユウトと合った。

しかしすぐに配信へ戻る。

「じゃあ授業始まるから配信終わるねー!」

「また夜ね!」

配信終了。

クラスはしばらく興奮していた。

「ミアちゃんすげー!」

「芸能人レベルだよな!」

「いつも撮影どうしてるの?」

ミアは笑う。

「うーん、適当!」

「センスかな?」

「かっこいい!」

そんな会話を聞きながら、ユウトは静かに席についた。

(センス、か……)

その言葉が胸に残った。

そして放課後。

校庭は夕焼けに染まっていた。

オレンジ色の光がグラウンドを照らし、野球部の掛け声が遠くから聞こえてくる。

風に揺れる桜の木。

春の夕方の空気は少し冷たかった。

ユウトは校舎の奥にある

図書室へ向かった。

ここは静かで、誰も来ない。

動画編集をするには最高の場所だった。

窓際の席に座り、ノートパソコンを開く。

夕日の光が机をオレンジ色に染めている。

「よし……」

動画素材を並べる。

カット。

BGM。

テロップ。

画面に映る映像がどんどん形になっていく。

「ここで音楽上げて……」

「このタイミングでカット」

独り言をつぶやきながら作業を続ける。

そのとき。

ガラッ。

図書室の扉が開いた。

ユウトは振り返る。

「……え?」

そこに立っていたのは――

白崎ミア。

ユウトの心臓が跳ねた。

「し、白崎さん!?」

ミアは周りを見回す。

「……よかった」

「誰もいない」

そう言って中へ入ってくる。

ユウトは慌ててパソコンを閉じた。

「すみません!」

ミアは首をかしげた。

「なんで謝るの?」

「え、いや……」

「別に怒ってないよ?」

ミアは笑う。

そしてユウトのノートパソコンを見た。

「もしかして」

「動画編集してた?」

ユウトは驚いた。

「え?」

「分かるよ」

「私も動画やってるし」

ミアは椅子に座った。

そして小さくため息をつく。

「はぁ……」

「実はさ」

ユウトを見る。

「私、編集苦手なんだよね」

「え?」

「撮影は好きなんだけど」

「編集めんどくさい」

あっけらかんと言う。

そしてスマホを取り出す。

「ねえ」

ユウトに画面を見せた。

そこには大量の動画素材。

「これ」

「編集できる?」

ユウトは目を見開く。

「え……」

ミアは笑った。

「大丈夫」

「タダでとは言わない」

そして言った。

「一緒にチャンネルやろうよ」

「え?」

「秘密の共同制作」

ユウトの頭が追いつかない。

ミアは続ける。

「私が撮影」

「君が編集」

「そしたら――」

ニヤッと笑う。

「絶対バズる。」

ユウトの心臓が強く鳴る。

「でも……」

「なんで僕?」

ミアは少し考えた。

そして言った。

「さっき見えたんだ」

「君の編集画面」

「カットのタイミング」

「めちゃくちゃ上手かった」

ユウトは固まる。

「……え」

ミアは笑った。

「だからさ」

指を口に当てる。

「秘密のパートナー」

「やらない?」

窓の外では夕焼けが広がっていた。

桜の花びらが風に舞う。

静かな図書室。

その中で

ユウトの人生を変える言葉が落ちた。

「……やります」

ユウトは言った。

ミアは満足そうに笑う。

「決まり!」

そして言った。

「じゃあ目標ね」

ユウトを見る。

「100万フォロワー。」

その言葉が

春の夕焼けの中に響いた。

こうして始まった。

フォロワー0の男子高校生と

学園トップ配信者の

秘密のバズチャンネル。

しかし――

このときまだ

ユウトは知らなかった。

ミアの動画に隠された

とんでもない秘密を。

そしてそれが

学園中を巻き込む

大事件になることを――

(第2話へ続く)

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