リンとアーサーと報連相
「とまぁ、そんなわけで。
情報が集まり次第殴り込みに行くので、俺の姿が見えなくても気にしないでください。
殿下のことは、誘えたら誘います」
アーサーの執務室にて、リンは簡単に知り得た情報を彼へ話した。
あまりにも軽く説明されてしまった。
リンから報告を受けたアーサーは、頭痛が痛いという顔をする。
「君ねぇ」
「だって、殿下は忙しいじゃないですか。
自由に動けないでしょ」
それは花嫁候補であるリンもなのだが、彼の場合動けてしまうのだから始末が悪い。
「わかった、とりあえずこちらに話を通してくれるならそれでいい」
枷を無理やり嵌めて、手綱を握ろうとしたところでどうせ黙って動いてしまうのなら、好き勝手やらせた方がいいとアーサーは判断した。
「わかりました」
「それと、次の人気投票についてだ。
結果予想として、また君が一位になるのは確実だ」
「はぁ??」
それがどうしたというのだろう、とリンは考えた。
「あ、儀礼服をクリーニングに出しておけとかそういう話ですか??」
アーサーはニコニコしながら、返す。
「いいや。
新衣装のための採寸だ」
「え?」
リンの顔が引き攣る。
「いや、今日から聖女活動を再開するってことで、仕事を貰いに来ただけで」
そんなリンの肩が、ガシッと掴まれる。
「投票ごとにドレスを用意する決まりなんですよ~」
いつの間にいたのか、耳元でリリス嬢の声が囁いた。
「着回してもいいんですけど、リンさんは性別はともかく、位置的には正妻兼大聖女最有力候補なんですから。
相応のものを用意しなくてはいけないんです」
「い、いや、俺はこの前の儀礼服だけで充分」
「妙なトラブルが相次いでたので、押せ押せになってたんですよ!!
それに予算が割り振られてるんです!!
この際なので、残りの人気投票発表時の衣装もつくりますから!!
生地やデザインは私が助言しますので、安心してください」
「き、きいてない」
と、アーサーを見れば実に悪い笑顔をして、
「話を通さず、あとから色々知る人間の気分が少しはわかってもらえたかな??」
つまりは、これはちょっとしたアーサーからの意趣返しらしい。
「あ、あんた、いい性格してんな!!」
「おや?
今更だろう?」
リリスが可笑しそうに、言う。
「こう見えて私よりいい性格してますから、殿下は」
そうして、リンはリリスによって採寸のために連行されていった。
その直後、魔族や無能組織が開発した魔法無効化の解析をしている部署から連絡がきた。
解析した上で、簡単に再現した術式の実験の結果を聞くためだ。
そう、リリスの気配をリンが察知できなかったのはこのためだ。
採寸のときに、リリスからネタばらしすることになっている。
結果を伝え、さらに解析と研究を続けるように指示を出す。
こちらとしても、負け続けるわけにはいかないのだ。




