リコと考察厨
リコは、考察厨へ全てを話した。
これまでの事と、そして今日あったことを話した。
考察厨はなにやら考える素振りをしつつ、その話に耳を傾ける。
やがて、リコが話終わる。
「どう、思いますか?」
『……んー、なんていうか、変だなって』
やっぱり信じないか、とリコが落胆する。
しかし、考察厨はそれを読み取って、言葉を続けた。
『整理すると、だ。
これは、変だって話とは別の話なんだが。
まず、リコの本来の能力は、タイムリープなわけだ。
過去や未来に直接行ける能力。
そして、世界の書き換えが出来るわけだ。
とんでもないレアチート能力なわけだ。
でも、今回のやつは映像が頭の中に流れる、いわゆる未来視とか未来予知だろ?
能力的には全然違うだろ』
「あ、たしかに」
『リコも変なとこ、リンにそっくりだよなぁ。
まぁ、それだけ混乱したんだろうけど。
今回のは【未来予知】、もしくは【未来視】の可能性が高い訳だが。
リコはこの2つの能力の違いを説明できるか??』
「基本的に同じものだと言われてるけど、違うんですか??」
『違うな。
わかりやすく説明するとだ。
【未来予知】は、いわば天気予報。
【未来視】は目視での天気の確認だ。
予報は外れることもあるだろ。
目視での天気の確認は、その場で見てるんだから、雨が降ってきたら、確実に自分が濡れるってわかるだろ。
そういう違いがある』
「なるほど。
それで、私が見た光景は【未来予知】?
それとも、【未来視】??
どっちかわかりますか??」
『んー、まぁ、十中八九、【未来予知】だろうな』
「理由は?」
『だって、どっちかがどっちかを殺すんだろ??
つーことは、正解は未定なわけだ。
天気予報の方だろ、どう考えても。
雨が降る可能性自体はある。
けど、実際降るかは不明。
また、どこで降るかも不明。
だから、【未来予知】の可能性が高い。
心配なら、鑑定でもしてもらえばいいだろ』
「……」
『しかし、謎だなぁ。
なんでまたそんなことになるんだか。
しかも、タイムリープ能力が使えなくなってとか。
能力が退化した??
いや、大きく歴史が変わったから本来の能力が使えなくなってるとかかね??
タイムリープしようにも、未来が定まっていないわけだから出来ない状態なわけだ。
でも、能力者本人は未来をみたがってるから【未来予知】をしてるとかかね』
「私は、弟を殺したくない」
『……ま、そうだろうな』
「私は、どうすればいい??」
『えー、それ俺に聞くの??
俺じゃなくてもいいんじゃ、って、王子様たちは信じなかったのか。
まぁ、わからなくはないけどさ。
いや、説明してないってことは王子様達も気付いてない、のか??
まぁ、いいや。
とにかく、イレギュラーな存在である俺に相談してきたんだったな』
「……」
『逆に聞くが、どうすればそんな未来になるとおもう??』
「わからない」
『本当に??
姉弟喧嘩の果てに殺し合う可能性もあるだろ』
「私はそんなことしない!!」
『んー、なら、その【未来予知】の映像自体を疑って掛かるのもありだろうな。
そういや聞いてなかったけど、どうやって殺す、もしくは殺されるんだ??』
「どう、やって??」
『ほら、殴って殴り所が悪かったとか、首を絞めたとか、刺したとか、二時間サスペンスドラマよろしく崖から突き落としたとかそういう方法。
滅多刺しなら、そうとう恨みがあるはずだし』
「方法??」
こてん、とリコが首を傾げる。
自分のみた、未来を思い出そうとする。
すぐにその光景を思い出すことができた。
「私は、弟に馬乗りになって、死んでる弟を見下ろしてる。
手が、弟の首を締め付け、あれ??
締め付けて、ない??」
力が入っていなかったことに気づく。
首に指の痕すらなかった気がする。
逆に、リンがリコを殺すときはどうだっただろう??
赤、血だ。
そう、血が、リコの返り血がリンに掛かっていた、
リンの手には血まみれのナイフがあって、リコの腹からは大量に出血していた。
しかし、リコは腹を抑えていなかった。
まるで、血しぶきの光景を見せつけるような、そんな感じだった気がする。
それらを考察厨に説明する。
『なぁ、それさもしかして、なんかの狂言なんじゃねーか??
あと、さっき、俺が変だって言っただろ?』
リコは頷いた。
『そもそも、仮にそんな未来が来たとしても、決められた運命の死じゃないなら、どっちが死んだとしても魔法で蘇生出来んだろ』
「……あ」
なんか、妙な気まずさが出てくる。
「えーと、じゃあ私の見た光景って??」
『今わかってる情報を合わせるなら。
お前ら二人、どっかでどっちかがどっちかを殺す演技をするってことじゃないのか??
ほら、お母さんからも王子様達に迷惑かけるかもみたいなこと言われたんだろ。
まぁ、さすがに王子様達もここまで話を繋げて考えてはいないみたいだから、やっぱり信じてはいなかったんだろうが』
「あ、あー」
『でも、こうして俺に話したってことは。
また少し、未来が変わったかもな。
知らんけど』
「あの、今、ちょっと未来をみるので。
通話を切らずにそのまま待って貰ってていいですか?
助言を貰いたいので」
『おう、どうせ暇だからな。
付き合うぞー』
言葉に甘えて、リコは未来を見ようとする。
と、その前に聞いてみた。
「なんで貴方は、私の言葉を信じたの??」
『え、だって真剣だったじゃん。
それを二度も否定されるの嫌だろ。
だから、信じた。
それだけだよ』
そんな返答だった。
ほどなくして、未来が見えてきた。




