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ダンジョンに置き去りにされた話

【聖女】ダンジョンへ派遣された【活動】


1:スレ主

某ダンジョンでスタンピードが起きて

死傷者続出でヤバいことになってるから、と派遣された件


2:スレ主

あ、ポーションの売れ行き好調だ

ありがとな!

( *˙ω˙*)و グッ!


3:名無しの異種族

おや、もしや

男の聖女のスレ主か?


4:スレ主

d(*´Д`*)ゞソゥソゥ♪


5:スレ主

あ、スタンピードは冒険者の人らの活躍でなんとかなったらしい

でも、犠牲者が相当な数出たんだって

今、ほかの聖女紋持ち何人かと、王宮が用意した大型バスでポーションも乗っけて向かってる途中


6:スレ主

空気が重くて泣きそう(´;ω;`)


7:名無しの異種族

もう泣いてんじゃん


8:スレ主

アウェー感半端ない


9:スレ主

守護騎士達には睨まれるし

ほかの聖女紋持ちの子達からは、刺すぞゴルァ!!っていう殺気を向けられるし

なに、俺、なんかした??

(´;ω;`)


10:名無しの異種族

王女様助けたろ


11:名無しの異種族

質のいいポーション売りまくってるだろ


12:名無しの異種族

加えて大人気配信者から紹介されてバズっただろ

そんでもって売れっ子ポーション作成者扱いだろ


13:名無しの異種族

なにもしていないわけもなく……


14:名無しの異種族

あと、ぶっちゃけリリス嬢より評判上だし


15:名無しの異種族

学院での評判は元からあんま良くなかったけどな、黒バラ令嬢


16:名無しの異種族

そうなの??


17:名無しの異種族

なになに?

イジメの主犯格とか??


18:15

違う違う(ヾノ・∀・` )

そういう分かりやすいのじゃなくて

あれよ、表の顔と裏の顔が違いすぎる的なそんな感じ


19:特定班

リリス嬢のはイジメの主犯格じゃなくて

どっちかというと、黒幕

自分の手は汚さずに

周囲をそれとなく操って、相手を追い詰める系のそれ


20:名無しの異種族

うわぁ、タチの悪いクラスのリーダー格だァ(. ´□`)


21:名無しの異種族

操られた周囲の人間が主犯格にされて

トカゲの尻尾切りされるやつ


22:特定班

>>21

ガチでそれなんだよ


23:名無しの異種族

とりあえず、100人全員でお仕事ってこと?


24:スレ主

いや、俺含めて六人

全員、庶民出身だと思う


25:名無しの異種族

>>24

なんで出身がわかるんだ??


26:スレ主

守護騎士の人数が五人だから

俺は元々いないし


27:スレ主

ん?

なんだろ?


28:名無しの異種族

どした?


29:スレ主

いや、聖女の一人に話しかけられた


30:名無しの異種族

なんだなんだ、イチャモンか??


31:スレ主

いや、お礼言われた


32:名無しの異種族

お礼?


33:名無しの異種族

なんかしたの?

スレ主??


34:スレ主

あ、あー、はいはい

別に気にしなくていいのに

……この人の守護騎士、見たことない人だ


35:スレ主

ほら、ポーションの在庫抱えた時に材料譲ったじゃん?


36:名無しの異種族

あー、あったな


37:名無しの異種族

譲ったというか

奪いにきたところ、渡りに船とばかりに押し付けたってのが近くないか


38:スレ主

あの時、ポーション作りに失敗してて

材料もなくて困ってたから、俺の材料譲ってもらって助かったって言われた

ほかの聖女からも、譲って貰えなくて困り果ててたんだってさ


39:名無しの異種族

あ、ほんとに困ってた人いたんだ


40:名無しの異種族

その聖女ちゃんはいい子だな


41:名無しの異種族

守護騎士も、スレ主のこと取り囲んだ守護騎士ではなかったっぽいしな


42:スレ主

どっかで、俺の好みがバレてるな

クッキーとチョコもらった

お礼だって


43:名無しの異種族

王女様じゃね?


44:名無しの異種族

王女様周辺からバレてそう


45:名無しの異種族

しかし、なんで貴族の令嬢は混じってないんだ??


46:考察厨

>>45

現場が現場だからだろ

死傷者多数なとこに、蝶よ花よと育てられた貴族の令嬢を行かせるわけねーじゃん

多分、派遣されたのはせいぜい裕福な家庭育ちの娘だと思う


47:名無しの異種族

なんで裕福ってわかるんだ??


48:考察厨

貴族の次に出やすいから

要は、貴族のお手つきになった家系の可能性が高い

現代でもお遊びする貴族はいるから

多少、養育費をもらってるとしたら

まぁ裕福にもなるだろ


49:名無しの異種族

あー、そういうことね


50:名無しの異種族

聖女紋持ち全員に嫌われてなくて良かったな、スレ主


51:スレ主

それは、まぁ、うん

あ、着いた


52:スレ主

ありゃまー


53:名無しの異種族

どした?


54:スレ主

俺と、さっきお礼してくれた聖女……聖女Aでいっかな?

聖女A以外、凄惨な光景を見て気絶した


55:名無しの異種族

まじかー

活きがよかったのは、殺気だけだったか

これだから温室育ちは┐(´-д-`)┌


56:名無しの異種族

見慣れててもキツイものあるから

気持ちはわかる


57:スレ主

血の匂いで吐く人は吐くだろうな、この光景


58:スレ主

じゃ、ちゃっちゃと片付けますか


59:スレ主

はい、終わり


60:名無しの異種族

え、なにしたの?


61:名無しの異種族

なにしたんだ?スレ主??


62:スレ主

死者蘇生と回復をまとめてやった


63:名無しの異種族

もう驚かないぞ!

慣れたからな!


64:スレ主

手足もげてたり、胴から真っ二つになってたり

首が無い人とかいたから

だから死者蘇生でいっきに再生&生き返らせた

んで、同時に重軽傷者をいっきにエリアヒールで治して

はい、おわり


65:名無しの異種族

お、おわり??


66:スレ主

念の為、ポーションも配るっぽい

聖女Aがなんか目丸くして俺の事見てる

治った冒険者の人らもめっちゃ驚いてる


67:名無しの異種族

そりゃそうなるだろ


68:名無しの異種族

これで驚かない人、いるのか??


69:スレ主

俺の住んでた村の人は、驚いてなかったけど


70:名無しの異種族

実家にいた時からか!!

コレやってたの!!


71:名無しの異種族

よく村の人達、スレ主のこと手放したな


72:名無しの異種族

>>71

王宮からの指示だと逆らえないだろ


73:名無しの異種族

>>72

ま、そりゃそうか


74:名無しの異種族

でも、スレ主がいなくなったら

今まで怪我してた人達、困らないか?


75:スレ主

大丈夫大丈夫


76:名無しの異種族

なんで大丈夫って断言できるの??


77:スレ主

それは、っと

ダンジョンのなかを調査中の人らが帰ってきてないらしい

見に行くから着いてきて欲しいって言われた


78:名無しの異種族

回復役はたしかに必要だよな


79:スレ主

まだ、ダンジョン外で怪我した人達も運ばれて来てるし

現場は混乱状態だから

聖女Aと手分けすることになった

聖女Aが、ダンジョン外で治癒、回復

俺は戦闘も出来るからダンジョン内について行く


80:名無しの異種族

スレ主、戦闘もできるの?


81:スレ主

実家にいた頃は、畑を荒らすドラゴン殴り飛ばしてた


82:名無しの異種族

うん、戦力としては充分だな


83:スレ主

お、マジか


84:名無しの異種族

どした??


85:スレ主

倒れた聖女たちの守護騎士のひとりが、護衛に名乗り出てくれた


86:名無しの異種族

おや


87:名無しの異種族

さすがに考え変わったのかね


88:スレ主

一緒に行く冒険者の人達の許可も得たから

じゃ、ちょっくら行ってくる

またなんかあったら書き込みくる


89:名無しの異種族

おう


90:名無しの異種族

いてら!


91:名無しの異種族

てらー


92:名無しの異種族

待ってる(・ω・)ノシ


――――――――




――――




――……


307:スレ主

迷子になった(´;ω;`)


308:名無しの異種族

はい?


309:名無しの異種族

え、ダンジョン内で迷ったの??


310:名無しの異種族

一緒にいた人達は??


311:スレ主

いない(´;ω;`)


312:考察厨

トラップでも発動したか??


313:名無しの異種族

あー、ダンジョン内に仕掛けられた罠で

別のとこに飛ぶってのは、よくある話だからな


314:スレ主

いや、えーと、正確にはモンスターに襲撃されて

守護騎士が、俺を庇おうとしたのか戦闘態勢に入ろうとしたのか、こう押されて、転んだ先に大穴があってさ

真っ逆さまに落ちた


315:名無しの異種族

……はい?


316:スレ主

突然の事でなんもできなくて、そのまま穴に落ちちゃってさー


317:考察厨

ふむ

まぁ、怪しいな


318:名無しの異種族

故意なんじゃね、それ??


319:スレ主

いや、モンスター出たのは本当だから


320:名無しの異種族

じゃあ、偶然か?


321:考察厨

そんなことより、穴登れそうか??


322:スレ主

登れそうではあるけど、結構な高さから落ちたからなぁ

登って戻るより、歩いて出口探したほうが体力の消耗は少ないかな?

すくなくとも、そっちなら座って休めるし

登ってる途中でモンスターに襲われたら、さすがに身動き取れなくて詰みそうだし


323:名無しの異種族

このやってやれないことはないという、自信よ


324:スレ主

せめて姉ちゃんがいればなぁ

登れたんだけど


325:名無しの異種族

姉ちゃん?


326:名無しの異種族

スレ主の双子の姉ちゃん??


327:スレ主

d(*´Д`*)ゞソゥソゥ♪

姉ちゃん、魔法得意でさ

身体強化も使えたし、攻撃魔法も得意だった

それこそ俺と同じで回復魔法や蘇生魔法も使えた


328:名無しの異種族

あ、だから、村は大丈夫ってスレ主書き込んでたのか


329:名無しの異種族

姉ちゃんもめっちゃ優秀だったんだな


330:スレ主

さて、それよりどうするか

ダンジョンなんて実家にいた頃は、話に聞いただけで

入ることなんて無かったし


331:名無しの異種族

そういえば、スレ主がいる所って、どんなダンジョンなんだ??


332:スレ主

土中に埋もれた、遺跡?

出入口は洞窟っぽかったけど、中は城の中っぽい


333:名無しの異種族

ふむふむ


334:配信者

あ、ここかー

やっと見つけた!


335:配信者

って、スレ主ピンチっぽい??


336:名無しの異種族

ん?


337:名無しの異種族

どなた??


338:配信者

あ、俺、こういう者です

つ【スレ主のポーションがバズるキッカケになった動画】


339:名無しの異種族

有名配信者じゃねーか!!


340:配信者

知り合いにスレ主の立てた掲示板のこと教えて貰って

さっそく書き込みに来たんだけど

あのスタンピードの後始末に駆り出されてたのか

で、トラブル中ってわけか


341:スレ主

まぁ、うん


342:配信者

じゃ、これから迎えにいってやるよ

スレ主のいるダンジョンがどこかってのも、見当がつくし

というか、聖女紋持ちが駆り出されてるってことで

話題になりつつある

ちょっと待っててくれ


343:スレ主

やった!

ありがとう!!


344:名無しの異種族

よかったなー


345:名無しの異種族

(*´・ω・)(・ω・`*)ナ-


346:名無しの異種族

しかし、守護騎士の行動が気になってくるな

絶対怪しいって


347:名無しの異種族

>>346

それな( ´-ω-)σ


348:名無しの異種族

>>347

わかる、それな( ´-ω-)σ


349:特定班

ちっと調べてみた

黒バラ令嬢の守護騎士が、本来の守護騎士の代理で派遣されてるみたいだ


350:配信者

え、えええ?!

なんだよ、それ、どういうことだ??


351:名無しの異種族

どしたどした??


352:配信者

いま、スレ主が迷子になってるダンジョンに向かってる途中なんだけど

被害者たちの蘇生と回復が終わったから、引き上げてきてるみたいだ


353:名無しの異種族

は、はい??


354:名無しの異種族

え、だって、スレ主はまだダンジョンにいるんじゃ??


355:スレ主

もしかしなくても、俺、置き去りにされた??


356:配信者

とにかく、俺はスレ主のこと助けに行くから

何がどうなってるか、特定班調べてもらっていいか?

なにかの手違いで引き上げが開始されたのかも


357:特定班

了解(`・ω・)ゞ


――――――――




――――




――……


515:特定班

わかったぞー


516:スレ主

待ってた!!

俺が置き去りにされた理由わかったのか??


517:特定班

わかったぞ

とりあえず、お前はいつの間にか消えてた事になってる


518:スレ主

はい??


519:名無しの異種族

どゆことだ、特定班?


520:特定班

俺が調べた限りだと

まず、ダンジョン内にいた冒険者たちを回収して守護騎士たちが戻ってきた

それを聖女Aちゃんや、意識を取り戻した聖女たちが介抱、ポーションやスキルで回復させた

頃合を見計らって、どうやらスレ主についてた守護騎士が、その場の責任者だったどっかの冒険者へ

こう言ったらしいんだ


「全員、無事のようなので帰還しましょう」


ってな

そんで、バタバタしつつ冒険者全員が到着したバスに乗りこんで帰ってきた

帰りのバスの中で、聖女Aちゃんがお前の不在に気づいたみたいでな

大慌てで、運転手に一人足りないって言ったらしいんだけど

聖女Aちゃんとその守護騎士以外、スレ主なんていなかったって意見で一致したんだ


521:名無しの異種族

いなかったって

だって現に、スレ主はけが人や死者を治して蘇生したじゃん

冒険者たちが証人だろ


522:スレ主

あ、あー、( ̄▽ ̄;)

実は、面倒くさくてバス降りる前にそれやったんだよなぁ


523:名無しの異種族

え、つまり?


524:スレ主

バタバタしてたから、たぶん、聖女Aのやったことになってるかも

だって、傍目からすると俺、ただの見習い神官にしか見えないからさ


525:特定班

その通り


526:特定班

聖女Aちゃんの手柄になってた

聖女Aちゃんはそれを否定したけど、それは帰りのバスの中のことで

他の冒険者から確認できるわけもなく……


527:名無しの異種族

なるほど


528:名無しの異種族

で、でも、外出許可は出てるんじゃないの??

城から出る時はそれを書くことになってたはずじゃん

その記録からスレ主がたしかに仕事を振られて、現場に向かったって証明できるはず


529:特定班

それなんだけどなー

修正されてた


530:名無しの異種族

はい??


531:特定班

外出届け、修正されてたんだよ

スレ主は外出していないことになってる

修正したのは事務員だろうけど、修正するようお願いしたやつがいるはずだ

でも、それ以上調べるのは、この短時間だとさすがに難しくてできてない


532:名無しの異種族

まじかー


533:名無しの異種族

いやいや、じゅうぶんだろ


534:スレ主

えっと、じゃあ、俺どうなるんだろ??

σ(・ω・。)


535:特定班

無断外出からの行方不明が判明して大騒ぎ

かーらーのー、実家や故郷の村の人たちが風評被害にあう感じだろうなぁ


536:特定班

まぁ、聖女Aちゃんの守護騎士もこれは変だってなって動いてるから

無断外出扱いにはならないとは思う

でも、スレ主についてダンジョンに入った守護騎士の行動についてお咎めは難しいだろうな


537:名無しの異種族

えー、なんでなんで??


538:特定班

実証できないから

スレ主がほかの冒険者と一緒にダンジョンに入ったところを、撮影でもできてれば良かったんだけど

人の記憶だけってなると、証明が難しくなるんだ


539:名無しの異種族

魔法でなんとかならないの?

鑑定士とかさ


540:特定班

できなくはないが

守護騎士を調べるってなると、正式に捜査令状が必要になってくる

そうでないと任意ってことになるが

任意で鑑定受けてくれると思うか?


541:名無しの異種族

受けないな


542:名無しの異種族

ないな、それは、無い


543:特定班

だろ??


544:スレ主

とりあえず、配信者が助けにきて来れるの待ってから

あとのことを考えよ


545:配信者

いやいや

ここは炎上させようぜ!

( *˙ω˙*)و グッ!



※※※


「緊急企画~!」


元気よく、冒険者はその姿を動画に映した。

予告もなにもなく突如始まった配信だったが、同接数が一万人となる。


「知り合いが、とあるダンジョンで迷子になったらしくて、助けに行くぜ!!」


《ゲリラ配信だぁ!!》

《やったぜ!》

《wktk》

《知り合いってだれ??》

《迷子になるような知り合い??》

《基本、SSSSSランク冒険者の知り合いしかいねーだろ》

《だれだれ?》

《ダンジョンで迷子になるとか、新米冒険者だな》

《すごいマヌケと見た》


「お、皆、俺の知りあい気になるか??」


《気になる~》

《気になる》

《気になるな》

《誰なん??》

《だれ?だれなの?!》


コメントが盛り上がり、弾幕となる。

冒険者は実に楽しそうに、ニマニマ顔で宣った。


「なんとなんとー、今話題の破格ポーション作成者にして、前代未聞の男の聖女としても話題になった、彼を助けに行っちゃいマース」


《はい?》

《は?》

《え、迷子??》

《男の聖女って、一人しかいないよな》

《え、なんであの人、ダンジョンで迷子になってるの??》


盛り上がっていたコメントが、今度は戸惑い一色となる。

撮影用ドローンが、その間にも件のダンジョン、その入口を映し出した。


「ねー、なんでだろう??

なんかさー、事前に今回のことチラッと本人に聞いてたんだけどー。

ほら直近で起きたスタンピード、そのスタート地点がこのダンジョンだったらしいんだよ。

それで聖女活動の一環として、彼も駆り出されたって、メッセージのやりとりで教えてもらってて。

でさ、その聖女活動がとりあえず終わったみたいで、城に聖女専用のバスが入ってくの、たまたま見かけたんだよねぇ。

ちょうどいいから、面会してまたポーション売ってもらおうとしたの。

面会申請と同時に、メッセージも送ったの」


9割がた嘘である。

しかし、そんなこと視聴者にとってはどうでもいいことなので、わざわざ本当のことは言わないのだ。


《ふむふむ》

《それでそれで??》


冒険者の嘘は続く。


「そしたらさー、あれれー?おかしいなー??

的なことがわかったのね。

なんと!彼、お城を出てなかったみたいなの」


《???》

《え、どゆこと??》

《意味がわからん》


「ちゃんと外出許可ももらって、他の聖女と一緒に聖女活動に出かけて、蘇生や回復魔法を使って活動したのにも関わらず、彼は出かけていないことになってた。

まあ、事務員のミスだろうね。

ヒューマンエラーってやつ。

とにかく、俺は受付の人に確認したんだ。

彼は本当に城から出ていないって、受付の人は自信たっぷりに言いきった。

でも、彼のメッセージにはちゃんとダンジョンへ行くことが書かれていた。

おかしいなー?変だなー??

って考えてたら、彼から返信がきた。

それで、迷子になってることが判明したってわけ。

受付の人に、このこと言っても信じて貰えるかもわからないから、とにかく迷子を回収するのが先かなって思ってね。

こうやってゲリラ配信することにしたってわけ。

ついでに動画でこうして記録しておけば、すくなくともダンジョンで迷子になったって証拠にはなるからさ」


《なるほどー》

《でも、珍しいなそんなヒューマンエラーなんてあるんだ》

《だな、聖女紋持ちで黒バラ令嬢より力が上のやつもっと大切にすべきだろうに》

《まぁミスはどうしたって起こるからなぁ》

《わかる、気をつけててもミスる時はミスるから》


「あぁ、そうだ。

彼のメッセージで書かれてたんだ。

あのさ、迷子になる直前、誰かに突き飛ばされたんだってさ」


《え?》

《突き飛ばされた??》

《まってまって?護衛の人はなにしてたの??》

《そういえば、広場でポーション売ってる時も、基本一人だったような……》

《←いやいや、目立たないようにしてただけだろ?》

《護衛って??》

《←聖女紋持ちには守護騎士っていう護衛が着くことになってる》

《でも、彼にはそれがいなかったっぽい》


「いやいや、いなかったんじゃなくて。

これまた手違いで派遣が遅れてるとか言ってたなー」


《え?》

《そんなことある??》

《50年前のいまの大聖女選定の時のこと覚えてるけど、そんな事無かったぞ》

《なら、今回はヒューマンエラーがおこりまくりってこと?》


「そうなんだよ。

そもそもポーションのことだっておかしいんだよ。

いや、これは他ならない彼に聞いたんだけど」


《ポーション?》

《破格ポーションのこと??》

《破格ポーションがどうしたって??》


「あのさ、正直なところ彼のポーションがあの品質であの値段っておかしいと思わなかったか?」


《おもった》

《飲んだ瞬間、高品質より薬物混入疑うくらいにはおかしいとは思った》

《安すぎるから混ぜ物でもしてあるのかと》

《正直、粗悪品覚悟してた》

《案件でヤラセだと思ってた》

《でも違ったんだよなぁ》

《王宮側もよくあんな低価格での販売ゆるしたよな》


「そうだろう、そうだろう。

あのな?

俺も最初は、彼の正体知らなくて神官見習いだとばっかり思ってた。

初めてポーション買った時は、発注ミスって大量にあるから値下げして売ってるんだと本人も言ってたしな。

けど、彼が話題の【男の聖女】だって知ったあと、もう一度同じ質問をしたら、教えてくれたんだ」


《え、これ、聞いてて大丈夫なんだろうか》

《いんぼーだーってならない??》


「男の聖女が作ったポーションは、気持ち悪いってクレームが販売前から来てたらしい」


《え》

《え》

《ええ?》

《うわ》

《まじかー》


「それで、納品したはいいが、まるまる返品されたんだと、800個」


《えー( ̄▽ ̄;)》

《そんなことある?》

《(ヾノ・∀・`)ナイナイw》

《だって、聖女云々はさておいて、作成者の性別なんていちいち気にしないしさ、作ったポーション気持ち悪いとか思わないって》

《だよなぁ、品質とか効果の差はさておいて、いま店に並んで販売されてるポーションなんて作成者が男だろうが女だろうが気にしたことないもん》

《(*´・ω・)(・ω・`*)ナ-》

《だって、怪我とか治るまさに魔法の薬だぞ?》

《だから安くても買い手はつくわけで》

《それな》


「その在庫処理で、彼はたたき売りしてたわけ」


《なるほどなー》

《こっちとしては安く手に入ってラッキーだったけど》

《定価でもだいぶ安いけどな》

《わかる》

《あの効果でこのお値段、ってなったもん》


この動画は、炎上させる上ではとても効果的だった。

動画の同接数は軽々と500万を超えており、世界中が注目し始めている。

同時に、王宮事務所にはこの動画を見たもの達からの問い合わせが殺到しつつあった。

早い者だとこの炎上に乗っかって、黒バラ令嬢含む、元から黒い噂のあった貴族出身の聖女紋持ちたちの記事や動画を作成する者までいた。

時代が時代なら、こう言った者たちも処罰されていたことだろう。

しかし、現代では軽々とそんなことはできなかった。

これで処罰がくだるなら、過去のゴシップ記事はどうなるんだ、という話になってしまうからだ。

黒い噂の個人制作の記事や動画は、どうしたってゴシップの域を出ないものばかりだった。

とはいえ、箱入りで蝶よ花よと育てられてきた聖女紋持ちたちはそんなことになっているなど知らなかった。

王宮の事務所や、聖女紋持ちたちを管理するための部署が大騒ぎになりつつあっても、彼女たちにそれが伝えられることはなかったのである。

そんな暇さえ無かった。

だから、いまこの瞬間にも、嘘くさい笑顔を貼り付け、本音と建前をつかいわけて過ごしているのだった。


「さて、そんな彼が今回迷子になったのは偶然か?

外出届けを出したのに、勝手に修正されていたことといい、なーんか引っかからないか??」


冒険者はニコニコと楽しそうに、ダンジョンに入っていく。


《引っかかる》

《絶対あやしい》

《ライバル蹴落とそうとしたんかな》

《噂だと、王女様の呪い解いたってきいたぞ》

《やっかみひがみ?》

《ポーションの質も、黒バラ令嬢のなんて足元に及ばないほどいいしなぁ》


「なー、引っかかるよなぁ?

だから迷子の彼を助けたら、お礼としてその辺のこと聞いてみようかなって思ってさ」


《お、いいねー》

《実際のところなにが起きて迷子になったのかは、気になる》

《スタンピードの処理に行ってた人が知り合いにいるから、帰ってきたみたいだしなにがあったのか聞いてみようかな》

《俺も、知り合いが今回のスタンピードの対処に参加してたから話聞いてみよ》


配信は進み、やがて冒険者はとある大穴の前にやってきた。


《うわ、広っ》

《でけぇ、穴だなぁ》


「あのさ、実はメッセージでこう書いてあったんだよ。

穴に落ちたって。

いや、はっきり書く。

その時の状況を、俺は彼に詳しく書くよう頼んだんだ。

彼は、モンスターが現れて、たまたま着いてきていた他の聖女紋持ちの守護騎士が戦闘態勢に入ろうとしたところ、ぶつかって押される形になった。

そして、おそらくこの穴から真っ逆さまに落ちたってことだった」


《あ、そうか、彼には守護騎士がいないんだった》

《でも、ダンジョンに入る時にさすがに誰か着いて行かなきゃいけないから、それで一緒にダンジョンに入った守護騎士がいたのか》

《不幸な事故、に見えるけど》

《ヒューマンエラーっちゃ、ヒューマンエラーだ》

《でも、怪しいなぁ》

《彼にだけヒューマンエラーが頻発してるし》

《クレームだって、本当にそんなクレームが来てたか怪しいもんな》

《え、でも、だとしたらなんで、その守護騎士は【男の聖女】のこと助けにいってないの??》

《ほかの聖女の担当守護騎士だったとしても、守護騎士は【聖女紋持ち】を守ることが仕事だから、担当外の【聖女紋持ち】を守ることも当然、職務内容に含まれてるはず》

《男で聖女紋持ちっていうのは、たしかにイレギュラーだけど、それでも聖女紋持ちなのは変わらないから、一緒にいた守護騎士は職務放棄したってことにからないか?》


コメントが盛り上がった。


※※※


一方その頃。

こうしてダンジョンに来ている冒険者にはあずかり知らぬことだったが、【男の聖女】が守護騎士に害された可能性が提示されたことで、さらに王宮は大変なことになりつつあったりする。

王宮の公式SNSアカウントのDMは、動画を見た者たちからのクレームと質問が殺到していた。

王宮の事務所ですら、電話が鳴りっぱなしになっている。

その様子を、とある守護騎士が冷ややかに見つめていた。

【男の聖女】に礼をした、聖女紋持ちの少女A、その守護騎士である。

彼は落ち着き払ったまま、ダンジョンで【男の聖女】の護衛を申し出た同僚へ話を聞くために歩きだした。


※※※


「んじゃ、行くか」


宣言して、冒険者は穴に飛び込んだ。


《ヒェッ》

《すご》

《股間がヒュンッてなった》


というコメントがたくさん流れていく。

やがて、地面に着地した。

ドローンが、その人物をとらえれる。


《あ!》

《いた!!》

《いたー!!!!》


【男の聖女】として話題になっていた彼の、ボーッと座って頬杖をついている姿が映し出されるや否や、画面が弾幕で埋まるのだった。


こうして、彼はダンジョンから助け出された。

しかし、この動画の放火によって大炎上してしまった現実は、鎮火までかなり時間がかかることが決定してしまっていた。


※※※


【数日後】

とある、雑談スレに新しいスレがたった。



1:スレ主

雑談だけど

報告スレだ

で、鍵付きにしたのは、【男の聖女】関連だから


2:スレ主

つーか、俺が本人だからだ

まずは、ポーションの件についてお礼をいっとく

ありがとう


3:スレ主

あ、あとこれも礼を言っとく

ダンジョンから無事出れた

ありがとう


4:名無しの異種族

男の聖女、ご本人!?


5:名無しの異種族

え、ガチ??


6:スレ主

なりすましって言われても仕方ないから

とりあえず、信じてくれ、としか言えないな

証明できなくもないけど、ようやっとこうしてスレ立て出来たから

このスレのことバレるのもちと厄介なことになりかねないから、とりあえずこっちから証明できるものは提示できないんだ


7:名無しの異種族

わかった


8:名無しの異種族

もろもろ察した


9:名無しの異種族

それで、なんでスレ立て?


10:スレ主

いや、あの大炎上後のこと、なにも説明できなかったから

報告しようかと思って


11:スレ主

本当は正式にそういう場を王宮側がセッティングしてくれるってことだったんだけど

時間かかりそうだし

さすがにこのまま有耶無耶にされてもなぁって思って

だから、王都に来た時からなんやかんや利用して世話になってるスレ民には先に話しておきたかったんだ


12:名無しの異種族

なるほど


13:考察厨

気にしなくていいのに


14:特定班

(*´・ω・)(・ω・`*)ナ-


15:冒険者

俺としては、余計なことしたかなとは思ってた

とりあえず、スレ主は大丈夫そうで安心した


16:スレ主

まぁ、おかげで俺はダンジョンから出られたし

あのさ、俺、しばらく、王子様預かりになってたんだ

非公式だけど、謝罪もされた


17:名無しの異種族

あ、そうなの?


18:スレ主

守護騎士のこととか、ポーションのこととか

把握できてなくて、こんなことになったことの謝罪

そのうち公式でも謝罪の場をセッティングするとは言われた


19:名無しの異種族

まぁ、そうしないとこの騒ぎはおさまらないだろう


20:スレ主

王子様の許可を取った上で、俺を押した守護騎士のことを書き込む


21:名無しの異種族

王子様の許可とれたんだ


22:スレ主

すくなくとも、俺の状況を知って

奔走してくれた人達には説明したいって説得したら許可もらえた


23:名無しの異種族

なるほど


24:スレ主

まず、これは今日の昼のニュースで流れるんだけど

俺を穴に押して落とした守護騎士は、逮捕された

これから詳しいことを取り調べるらしい

あと、スタンピードの後処理でこの守護騎士が担当してた聖女紋持ちも、犯行に協力したってことで逮捕された

実家は手広くやってる商屋らしいけど、さっき家宅捜索に入られたらしい

この後、裁判やって時間こそかかるけど二人とも二十年は世間に出てこれなくなる可能性があるってさ


25:名無しの異種族

二十年……


26:スレ主

俺が死んでたら、追放島行きだったみたい

ちなみに、ポーションのクレームもでっち上げだったことが判明した

聖女紋持ちの管理を担当してる、あの管理役の人はこれから解雇される、その上で王宮が訴えるらしい

けど、このことが家族にも知られて縁を切られ、さらに婚約中だったらしいけど、その婚約も破棄されたとか


27:名無しの異種族

死刑がないからな、この国

追放島行きは、まんま、島流しの刑で

脱獄不可能の離島の監獄で一生過ごすことになる

あと管理役もバカこいたなー

真面目に仕事してたらこんなことにはならんかっただろうに


28:名無しの異種族

スレ主が死ななかったから、二十年か

いいのか悪いのか


29:名無しの異種族

でも、人生詰んだな

その聖女紋持ちも、守護騎士も

二十年は長いぞ


30:考察厨

でも、守護騎士の本来の担当は黒バラ令嬢だったろ?

彼女はどうなったんだ?

関与疑われたりしたんじゃないか?


31:スレ主

関与を疑われて、軽く事情聴取されたっぽい

捜査は続いてるけど、彼女はなにも知らないってさ

今までのことも、今回のことも知らないって


32:名無しの異種族

それほんとかぁ??


33:考察厨

まぁ、だろうな

関与こそ疑われても、証拠がないんじゃどうしようない


34:スレ主

黒バラ令嬢の言い分は、協力した聖女紋持ちの守護騎士が体調不良で休んだことを知って

自分担当の守護騎士を貸しただけってことらしい


35:スレ主

おおまかな流れとしては、主犯の守護騎士が今回のことを計画

協力者の担当だった守護騎士に下剤を飲ませて腹痛にさせ、自分が代役をつとめる

スタンピードが起きた時点で、聖女紋持ちが駆り出されるのは予想できたし

現場の凄惨さも予想できたことから、俺と協力者が派遣されることも予想できたらしい

だから、スタンピードが発生してその情報が届くと行動を開始したとか


あとは知っての通りだ


36:名無しの異種族

うまくいっちゃったパターンかぁ


37:名無しの異種族

でも、そんな殺そうとしなくても良かったんじゃね?

だって、スレ主はどうしたって大聖女にも花嫁にもなれないじゃん


38:名無しの異種族

そうなんだよなぁ

大聖女=王子の花嫁

なわけだし


39:名無しの異種族

なんで守護騎士が殺害しようとしたのか

どうせ1年でいなくなる存在だろうに


40:名無しの異種族

とにかく気に食わなかった、とか?


41:スレ主

聖女紋持ちの中に男がいること自体が嫌だったのはたしからしい

管理役も守護騎士も、協力者の聖女紋持ちも

これだけが共通点っていえば、共通点

協力者が協力したのは、そういうこと


42:名無しの異種族

ただ珍しいってだけで、殺されかけるとか

嫌だなぁ


43:名無しの異種族

スレ主、住む所は物置部屋だし

扱いだって一部の人にだけ冷遇されてた

これで溜飲下げとけば良かったのに


44:スレ主

あ、そうだ

住むところが別の場所になった


45:名無しの異種族

お、そうなの??


46:スレ主

今回のことで、住んでる場所のことも判明しちゃったから問題になって

なぜかめっちゃ広い屋敷用意されて、そこに住むことになった

警備が万全だから、らしい


47:名無しの異種族

……やっぱり、外堀、埋めにきてる??


48:名無しの異種族

すくなくとも、王宮側が今回のことを問題視してとか、ただ責任を感じて、とかそういうレベルでは無いと思う


49:スレ主

俺には広すぎるんだけど

それに、外に出る時はまだしも王宮内で襲撃されたこと無いし


50:名無しの異種族

いや、ポーションの材料の件があるだろ


51:スレ主

材料の件は、俺から渡したって側面もあるから

襲撃でもなければ、強奪されたわけでもないし

それは俺から説明したよ


52:特定班

なるほど

だから、スレ主からポーションの材料をもらった奴らはお咎め無しだったのか


53:スレ主

せいぜい、厳重注意だった

これは俺も注意された

トラブルのもとになるから、今後はちゃんと報告してくれって


54:名無しの異種族

その報告が機能してなかったんだよなぁ


55:スレ主

とりあえず、管理部署は人事異動があって人が変わったらしいから

今後は大丈夫だと思う


56:スレ主

と、まぁ、今回はこんなとこかな?

また、なんかあったらスレ立てするわ

じゃ(・ω・)ノ



【追記】

そういえば、いろいろ改正されて、懲役刑と禁錮刑が合体して拘禁刑になったらしいですね。


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炎上には実況なのは昔から変わらぬ…そして特定班と考察班なにものなんだ笑 そして聖女紋のいた村なんなんだ…畑にドラゴン出ていいのか笑
⇩これで何故姉ちゃんではなく男のスレ主が聖女候補として王都に連れて行かれたんだ・・・ 327:スレ主 d(*´Д`*)ゞソゥソゥ♪ 姉ちゃん、魔法得意でさ 身体強化も使えたし、攻撃魔法も得意だった …
一波乱ないと凝り固まった状況は変化しないからね スレ主が生きててよかった
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