あ、たぶんこれ、暗躍再開してる……
1:スレ主
あのあの!!
ここに凄腕の聖女が出入りしてるって聞いたんですけど!!
助けてください!!
2:名無しの異種族
おや?
このパターンはもしや、【男の聖女】にお仕事依頼か??
3:スレ主
え?!
ここに出入りしてるの、あの【男の聖女】さんなんですか!?
と、とにかく、お願いします
助けてください
もういろんなところタライ回しにされて
どうしていいか(´;ω;`)
4:スレ主
王宮にいる聖女紋持ちの人も頼ったんです
でも、どうにもできなくて
浄化のポーションは少しだけ効いたんです
でも、またすぐにもとに戻っちゃって
5:名無しの異種族
よしよし
スレ主、とりあえず落ち着こうか
6:名無しの異種族
聖女を頼るってことは
大きな怪我をした、とかか??
ポーションも使ってるし
7:名無しの異種族
とにかく経緯を説明してくれ
なにがどうしてどうなって、スレ立てするにいたったんだ??
8:名無しの異種族
俺、考察厨に連絡入れてくる
9:スレ主
え、考察厨??
あの私が必要としてるのは呪いを解くことができる人で!
10:名無しの異種族
>>9
うん、ちょっと落ち着こうか
その辺も含めて説明するから
11:名無しの異種族
あのな、誰も彼もが男の聖女に依頼すると
こう、仕事が混乱する可能性があるだろ?
だから、基本的に考察厨から連絡とってもらうことになってんだ
考察厨なら、直通で男の聖女ことリンに連絡できるから
12:名無しの異種族
あと、特定班からも直通で連絡できる
だからどっちかから連絡してもらう形になってるんだ
13:名無しの異種族
んで、考察厨達と連絡とってる間に
経緯を書き込んでくれれば、リンが来た時に説明の手間が省けるってわけ
14:スレ主
なるほど
わかりました
15:スレ主
それでは、経緯を書き込みます
16:スレ主
私の家族が少し前から体調を崩しまして
最初は風邪とか、そういうので寝てればそのうち良くなるかなって様子見してたんですけど
だんだん悪化していって
17:スレ主
最初はお医者さんに掛かって、お薬を処方してもらいました
でも、あまり効果は無くて
かかりつけ医に相談して、聖女紋持ちの方を紹介してもらいました
知らないうちに呪物に触れた可能性がある、との事だったので
それでその聖女紋持ちの人に浄化してもらったんです
でも、効果は無くて
18:スレ主
その後、セカンドオピニオン、サードオピニオンと繰り返しました
でも、誰も家族を癒せる人はいなかったんです
もうどうしていいかわからなくて
そんな時、古い知り合いから掲示板で聖女活動をしている聖女紋持ちがいると聞いて
まさに藁にもすがるおもいで、スレ立てしたんです
19:名無しの異種族
なるほどなるほど
20:名無しの異種族
……王女様の時と似てるな
21:名無しの異種族
>>20
(*´・ω・)(・ω・`*)ナ-
22:リン
きたー
23:名無しの異種族
お、早いな
24:名無しの異種族
思ったより早いな
25:リン
スレ主は王都住み?
それとも、それ以外?
とにかく、これから向かうから住所教えてほしい
つ【リンのSNSのアカウント】
ここからDMしてくれ
26:スレ主
わ、わかりました!
――――――――
――――
――……
117:スレ主
うう(´;ω;`)
ありがとうございます
本当にありがとうございました!!
家族、治癒してもらえました!
118:スレ主
体調悪くする前より元気になってる
本当に本当に、ありがとうございました!
リンさんと皆さんのお陰です!!
119:名無しの異種族
お、元気になったか
よかったな
120:名無しの異種族
よかったよかった
121:リン
スレ主の許可もらったから
情報共有と注意喚起も兼ねて書いとく
実は、スレ主の住むところだと他にも似た症状で寝込んでる人がいてな
全員が全員、呪いが原因だった
122:名無しの異種族
マジか
123:リン
ただ、倒れ方はそれぞれ別で
王女様みたいにいきなり、バタッと倒れた人もいれば
スレ主の家族のように少しずつ体調が悪化していった人もいる
妙な病気が流行り始めてるってことで、診療にあたった医者や聖女、治癒士達が国へ報告はしてたらしいんだ
124:名無しの異種族
リンのところまではその報告は行ってなかったの?
125:リン
来てたら聖女活動ってことで派遣されてたはず
126:リン
まぁ、流行り始めだったっぽいから
もしかしたら、これから国としても動いて、俺らのとこにも話が降りてくるのかもしれないけど
127:名無しの異種族
なるほどー
128:リン
とりあえず、自治会長さんに話を通して
スレ主の家族と同じ症状の人達で、軽症で動ける人を集めてもらって、処置してく
それからは動けない人達の家へ向かって処置する
129:名無しの異種族
そんなにいるんか……
130:名無しの異種族
あ、あの!!
すみません、お時間できたら家にも来てもらっていいですか??
同居してる祖父の体調が、そのおかしくて
131:名無しの異種族
すみません、その、家の子を診てもらうことは可能でしょうか??
132:エルフ
うちの村にもきてもらえたらありがたいんですけど
133:名無しの異種族
は?
はぇ?!!
134:名無しの異種族
待て待て待て!
そんなに流行ってるの??
135:130
流行ってる、のかはわかりません
ただ、色々検索していたらここにたどり着いて
症状も、王女様が倒れた時のものと似てるんです
136:131
うちの娘もです
137:エルフ
こっちは村に住む老若男女、種族関係なく
妙な病気が流行ってて
診療所の先生でもお手上げ状態なんです
138:名無しの異種族
めちゃくちゃ流行ってんじゃん
139:リン
わかりました
順番に伺いますので
つ【リンのSNSのアカウント】
こちらから住所を記載したDMをおねがいします
140:名無しの異種族
しかし、なんかおかしくね?
141:名無しの異種族
おかしいな
142:特定班
調べるか……
王都だと、あの症状の患者は少なくなってたはずなんだが
143:名無しの異種族
アレってたしか魔族の暗躍だったんだよな
144:特定班
王女様の件はな
ただ、一般人にも同じ呪いが流行ってたことの繋がりを詳しく調べる前に魔族は逃亡した
145:名無しの異種族
なるほど
146:名無しの異種族
なんで一般人まで呪われてたのかはわからないのか
147:名無しの異種族
呪う理由もよくわかんないよな
148:名無しの異種族
たしかに
王女様みたく、王族ってわけじゃないし
紋章持ちとかも関係ないだろうし
関係なかったよな?
149:特定班
あの時調べた感じだと
無差別っぽかったんだけど
なんで、そんなことをしていたのか?
って疑問が残るっちゃ、残る
150:考察厨
俺は特定班から報告受けて感じたのは
実験っぽいなって思った
あと、様子見
151:名無しの異種族
実験?
152:名無しの異種族
なんの実験?
153:考察厨
呪いの実験
様子見は、その呪いでいつ国が動くかってことを観察してたんじゃないかな、と
この考えが、飛躍しすぎてる自覚はある
154:考察厨
あくまでそういう印象を受けたってだけの話だ
155:名無しの異種族
でも実験なら、最初から人目につかないところでやらない?
バレたら元も子もないわけで
156:考察厨
>>155
まぁ、そうなんだよなぁ
――――――――
――――
――……
911:薔薇ジャム
ここですね
912:薔薇ジャム
リンさんに代わって、報告にきました
913:名無しの異種族
おや?
914:名無しの異種族
あ、薔薇ジャムさんだ
915:名無しの異種族
リンに報告頼まれた感じ?
916:薔薇ジャム
>>915
そんな感じですね
スレッドの残りが心もとないないので
新しい板を立てます
皆様、興味がおありならそちらに移動をお願いします
917:名無しの異種族
了解
918:名無しの異種族
りょ(*`・ω・)ゞ
919:名無しの異種族
了解しました!(^o^)/
920:薔薇ジャム
【報告】どうやら魔族が暗躍してるっぽい【スレ】
↑
新しい板はこちらになります
このまま飛べますのでよろしくお願いします
921:名無しの異種族
おkおk
922:名無しの異種族
しかし、薔薇ジャムさんに報告代行頼むとは
リン、めっちゃ忙しい感じ??
923:薔薇ジャム
リンさんの今日の聖女活動が、クチコミで広まったらしくて
ものすごく忙しいですね
現状、いま広まってる呪い案件はリンさんしか対処出来ないので
924:名無しの異種族
薔薇ジャムさんでも浄化できなかったんだ??
925:薔薇ジャム
そうですね
事が事なので、陛下……王様や大神官様、そして大聖女様にまで報告がいって
いま王城内はてんやわんやです
926:名無しの異種族
まぁ、だろうな
927:薔薇ジャム
考察厨さん、特定班さん、あとスネークさん
この書き込みを見たら
新しい板へ来ていただけたら幸いです
928:薔薇ジャム
では、詳しいことは先程貼り付けたリンク先のスレッドにて……
※※※
【報告】どうやら魔族が暗躍してるっぽい【スレ】
1:薔薇ジャム
とりあえず、何が起きているかを書き込みます
と、その前に
気になる症状等が出ている場合は、速やかにかかりつけ医、最寄りの病院、王城の担当部署、
聖女活動を取りまとめてる部署へご連絡ください
2:薔薇ジャム
たぶん、ただの風邪
ちょっとダルいから、そんな大袈裟な
とは考えなくていいです
空振りなら空振りで構いません
怒ったり嘲ったりしませんから、とにかく聖女紋持ちへ繋がるようになってます
3:名無しの異種族
かなりの緊急事態と見える
4:名無しの異種族
でも、対処できるのは【男の聖女】のリンだけなのでは??
5:薔薇ジャム
この短時間で、いろいろわかったことがあるのです
まず、呪いにかかっている方々には特殊な術式が仕込まれていて
その存在そのものが、一種の魔法となっていることがわかりました
魔族の仕業であることがこれで確定しました
少なくとも人間やほかの種族では、こんなこと出来ませんから
6:名無しの異種族
は?
7:名無しの異種族
はい??
8:名無しの異種族
え、人間が魔法になってた??
9:名無しの異種族
どゆこと?どゆこと??
10:鑑定士
つ、つかれたヾ(:3ヾ∠)_
11:名無しの異種族
おや?鑑定士??
12:薔薇ジャム
リンさんのツテを最大限使って
この大陸最高の魔眼保持者を紹介してもらったんです
13:名無しの異種族
ちょっと待て
とにかく、順番に説明してくれないか??
薔薇ジャムさん?
14:薔薇ジャム
えぇ、もちろんです
15:薔薇ジャム
まず、リンさんから今回の呪いの件、その報告が王子へと伝えられました
二人はそれなりに交流していたようで、お互いの連絡先を交換していたようです
そのため、王子、殿下は早く動くことができたとか
16:薔薇ジャム
殿下はリンさんから緊急事態であることの報告を受け取ると
すぐにあちこちへ人を派遣して、体調不良者の洗い出しをはじめました
リンさんは同時に、先程書き込みをした鑑定士の方に連絡をとってくれて
城に派遣させてくれたんです
17:鑑定士
聖女紋持ちでも見えないものでも
神眼保持者なら見えるからさ
それで、今回の騒動……王女様の時と同じ厄介な呪いかどうかを見極めるために手伝いしてたってわけ
18:名無しの異種族
>>17
それはいいけど
王女様のやつ、お前鑑定したっけ??
19:鑑定士
してない
でも、リンから呪いがどういうふうに見えるのか、は書き込みもあったし知ってた
同じかどうかはわからなくても、少し妙な呪いなら全部鑑定してわかるからさ
病気なら病気って鑑定結果が出るし
呪いなら呪いって鑑定結果が出る
今回は、特殊な術式に様々な種族が変換されている、って結果が出たんだ
20:名無しの異種族
なるほど
21:名無しの異種族
ふむふむ
22:鑑定士
で、俺と同じ
他のフリーランスの鑑定士に声掛けしまくって
協力してもらってる
俺たちも情報交換とか兼ねてお互い繋がってるんだわ
23:名無しの異種族
なるほどなるほど
24:名無しの異種族
じゃあ、鑑定士1人だけで事にあたってるわけじゃないのか
25:鑑定士
異国の言葉で、三人寄れば文殊の知恵とかいうのがあるだろ?
まぁ、そんな感じで神眼持ち連中で本気出して、この呪いの鑑定にあたってる
とりあえず、対症療法と言えばいいのか
緩和治癒と言えばいいのか
すこし症状を和らげる方法がわかってきて
って、え?!
マジか、それ?!
26:鑑定士
リンには伝えとく!
27:名無しの異種族
どしたどした??
28:鑑定士
例の呪いの鑑定、つーより解析が終わった!
リンじゃなくても解呪できる
現段階だとリンと、俺たちフリーランスの鑑定士だったらなんとか解呪できる
29:薔薇ジャム
ほんとですか、それ?!
30:名無しの異種族
お、よかったよかった
31:名無しの異種族
とりあえず、知り合いには伝えとくか
そっちの方が、役所からの通達より早いはず
※※※
急遽借りたコワーキングスペース。
掲示板の動向を眺めつつ、考察厨は口を開いた。
「さて、どうするかね?」
それに応えたのは、スネークである。
「わかったことだけ報告すれば?」
二人の間には、テーブルがあり地図が置いてある。
大陸全土の地図である。
このデジタルが主流の世の中でも需要がある、紙の地図だ。
地図のところどころには、赤丸が記されている。
その赤丸は、王女と同じ呪いにかかったものが出た国である。
それらを繋げるとひとつの形となる。
「まぁ、それしか無いよな。
でも、とりあえず特定班からの連絡を待ってからにしよう」
考察厨は、その形を見つめる。
それは、星の形をしていた。
五芒星である。
ある角度から見れば、それは女神のシンボルでもある正五芒星だ。
しかし、またある角度から見ればその逆の形に見える。
見えてしまう。
逆、逆さま。
つまり、魔王を示す逆五芒星である。
逆五芒星を見つめながら、考察厨の頭の中に様々な考えと、妄想と、推測がうずまく。
そしてそれらがひとつの纏まりとなる。
「……偶然か??」
やがて、考察厨の口からそんな言葉が小さく漏れ出た。
魔族の暗躍がいつから起きていたのかはわからない。
しかし、表沙汰になったのはリンの登場が大きい。
神託でリンの存在が明るみにでなければ、なによりも名指しされて王都に召喚されなければ、この暗躍はきっと誰も知らぬまま進んでいたに違いない。
少なくともこの世界を管理しているとされている女神は、こうなるとわかっていてわざわざ神託までして、リンを王都に呼び寄せた。
けれど、謎もある。
女神はなぜわざわざ、神託のみで呼び寄せようとしたのか?
神託だけではなく、リンに直接言えば良かったのだ。
王都に行け、と。
リンは綺麗なお姉さんが、女神が見えるのだから。
リンは、これまでの人生で綺麗なお姉さんの言葉通りに動いてきたと語っている。
それなら、ちゃんとリンにも話を通しておけば、最初のスレであんな嫌そうな書き込みをすることも無かったはずである。
そこまで考えて、考察厨は気づいた。
そもそも、リンにだけ見える【綺麗なお姉さん】は本当に女神なのだろうか?
綺麗なお姉さんが、女神だとスレ民たちが思い込んだのはリンによる書き込みと、彼の特殊性からだった。
本当に【綺麗なお姉さん】が【女神】なのかは、実の所誰にもわからないのだ。
今までリンを導き、助けてきたのだから悪い存在では無いのだろう。
結果的に魔族の企みも、潰している。
しかし、【女神】である、という証拠はどこにもない。
見えているのは、リンにだけ。
その存在を認知できるのは、リンだけ。
すべては、全知全能の女神の采配。
そう考えることもできる。
けれど、それならやはり疑問が残る。
なぜ、【綺麗なお姉さん】は、最初にリンへすべてをつたえなかったのか??
そこが引っかかる。
もしかして、女神と綺麗なお姉さんは、全く別の存在なのではないか?
そこまで考えた時だった。
特定班から音声通話のみの連絡が入った。
「は?ちょ、待て待て待て?!
それどういうことだ!?」
その内容は、今回の件を調べている途中、経過報告も兼ねてリンの元へ行ったのだが、彼が忽然とその姿を消したという報告だった。