序
ここは何処?
昼飯食って昼寝して目が覚めたら車の中じゃない。
周りには何も無い。厳密に言えば人工物は何も無い。
見える物は岩と荒れ地とかなり遠くに雪を抱いた高い山、反対方向には一面の森。一面の森ってのも変だろって思うだろうが、森より高い所に私は居るのだから仕方ない。
どういうことやねん?
意味わからん。
少し落ち着こう。
つなぎの胸ポケットから煙草を取り出し火を着ける。
煙を深く吐き、取り敢えず腕を抓ってみる。
痛い。
夢ではないみたいだ。
どないせいいうねん。
今、何があるか確認しよう。先程の煙草とライター。反対の胸ポケットにスマホ。
スマホ!!
GPSで現在地を見ればって、圏外やないかい!
あかん、他には········財布に手帳にモバイルバッテリー。
あかん、役に立ちそうな物は何も無い。
どないしたらええねんな?
現場で昼メシの後昼寝してたはずなのに。
いくら考えたところで状況が良くなるわけがないのだから動くしか無い。
取り敢えず下に降りないとどうしょうもないので煙草を消して小高い山を下る。
草木が全く生えていないのが少し不気味に感じながら足元に気をつけながら下って小一時間。
ようやく周りに草が見え始めた。
下まであと少しかな?と思った時、下を見る視界の端に動く物を見つけた。
『なんや?』
見た事もない赤い毛の四つ足の動物。
カバに長い真っ赤な長毛生やしたみたいに見える。
少なくとも俺の記憶に無い生き物。
最初に見た風景で日本ではないみたいな気はしていたが、まさか地球ですらないのか?
赤い獣は俺より荒地側に移動しているからすぐにエンカウントする事はないだろうが、今からそんな獣が居る森に入らなければならない事に少しビビる。
日が沈む前に移動し安全を確保しないとやばい。
少なくとも武器になりそうな物を手に入れないとと足元に有った拳骨大の黒い石と細かい砂を作業服のポケットにいくつか詰め、両手で持てるくらいの子供の頭大の石も拾い歩き出す。
今は暑くも寒くもないが夜になれば冷えるかもしれない。
良くない事ばかり頭に浮かぶ。
水は見つけられるのか?食物は有るのか?人を襲う獣や虫が居るかもしれない。
キャンプは好きだが道具が全く無い状態からのサバイバルなんてゴメンだ!!
なんて事言っても強制サバイバル確定なんだよなぁ。
今から森を抜けて行かないといけない。
上から見えた風景は見渡す限りの平坦な森。
地上目線で地平線まで5kmくらいだったか?
最初の高いところからの見渡す限りって何kmあるんだ?
目標物の見えない森の中真っ直ぐ進めるとは思えない。
下手すりゃ遭難、ってもう遭難してるか。
行くしか無いんだから行きますか。取り敢えずまともな武器を作らないと。後、早急に水を。
やっと森に到着した。
取り敢えず暗くなる前に火を起こす準備とまともな武器の調達を。
人の手が全く入って居ない森だから火を起こす準備はすぐに終わった。
枯れ枝や倒木のかけらで出来た腰高の山が3つ出来た。
水は多分見つからないからそこいらにある蔓を石で叩き切って水分を吸うしかない。
貯める器も無いから仕方ない。
後は武器を作れる様な木を探す。
良さげな太さ、長さの丈夫な気が見つからないから、、50CMくらいの硬い木で妥協し、蔓もごっそり集める。
日は落ちかけ、慌てて石を組んで簡易な竈を組む。
月が明るくてそこそこ視界は効くが森の中は闇しか見えない。
『腹減ったなぁ』
取り敢えず煙草吸って目を閉じた。