第一章 ②
そこは、王都サンバンクサルの眺めを一望することが出来た
御者の人が気を利かせて小高い丘の上で停車してくれたのだろう。ありがたいことだ
「すげえ壮観だな」
「ああ」
独り言のつもりでつぶやいたのだが、いつの間にか隣にはガランが立っていた
その目はいつものように鋭く見据えられていたが、喜色が浮かんでいるように見える
やっぱりガランもこの日を楽しみにしていたのだろう
俺たち5人がここに来た理由は、端的に言ってしまえば、夢をかなえるためだ
この国の定める法律において、15歳は成人である
そのため、俺が住んでいた村でも成人式が執り行われた。と言っても俺たちを含めたった20人ほどしかいなかったが。そしてその時村を出て働くか、親の職業などを継ぎ、村に残るかを尋ねられた。うちの村は鍛冶師などの職人の家系が多かったので、ほとんどは、親の職業を継いだ。そして、この5人が、村を出た。
王都までくる人の目的は、大別して2つだ。1つ目は、冒険者ギルドに入るために来た腕自慢のひとだ。ここには、目的は地味に違うものの、俺とガランもここに含まれる。これは、世界各地に支部を持っており、そしてその本部がここにあるのだ。何故ここ、王都にあるのかには、理由がある
王都から、東に続く道を5キロほど進むと、世界最大の森林であるユーグラス大森林が存在する。森の木々から放出されるマナにより、魔物が発生してしまうのだ。それを食い止めるために、ルグスターブルク王国が冒険者ギルドを作り、そしていつしか世界に広がっていったという歴史があるそうだ
もう一つは、ここにある、魔術学園に入学する人だ。これには、ミンディア,ユーラ、ロイの3人が含まれる。ここにある魔術学院、通称、王立ラムルヘイド魔術学園は、神話の神龍の名を冠すように、三大魔術学園の一つと呼ばれている。そこに入るためには、類い稀なる魔術の才能が必要になる。そんなところに三人も入っているとなると、相当だと改めて思う。
え、俺?
俺はそういうの興味ないし。ガランなら普通に入れただろうけど、彼がそれでいいのだから、俺が口出しする必要はないのだ