序章
今から語るのはあるおとぎ話。
始まりの時、そこには虚無のみが広がっていた。
ある時一柱の神が降り立ち、山を、海を、大地を、そして数多の動物たちをお創りになっさた。
時は流れ、生き物たちは進化し、ついに人間が生まれた。
神は自らに似たその者たちをこよなく愛するようになった。
神は人々の危機となる物を排除し、楽園を築き上げた。
人々は神を崇め信仰するようになった。
しかし、そんな幸せな時は長くは続かない。
神が、その身をお隠しになさったのだ。
統治者を失った人々は、自らの利益ばかり追い求めるようになり、その黒い感情は、いつしか一体の邪悪な存在を作り出してしまった。
そいつは、配下として魔獣や魔人を作り出し、人々からあらゆるものを奪い去った。
人々は希望を失い世界は闇に包まれたのだ。
そのような時が続く事85年、1人の少年が現れた。
その少年はその身に宿す龍の力で魔人や魔物に抗った。初めは人々は遠巻きに見るだけだったが、少年の勇姿に感化され、支配に抗い、果てには、根源たる邪悪な存在をも弑したのである。
世界は解放された。
時は流れ、少年は成長し、その国の王となった。
神話の時代には及ばぬものの、国民は、幸せな生活をおくった。
王は、尊敬の意を込め、こう呼ばれる様になった。
「竜の祈り手」と。