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断罪されたのは自分です  作者: ぽよん
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振り返るとフェリシアが立っていた。



「転生者…ですか?」


「とぼけないでよ!じゃなきゃなんで悪役令嬢であるエミリアが大切にされてるのよ!!」



悪役令嬢……!



エミリアはこの言葉は聞いたことがある。

幼い頃……アレンと初めて会ったときだ。





「なぁ、本当に王宮にいくのか?」


「お兄様、いつまで同じ事を言うのかしら。もちろん行くに決まってるでしょ!」



眉間に皺を寄せている少年は、エミリアの兄であるアルベルトだ。アルベルトはエミリアより一つ年上で、父によく似た銀髪に翡翠色の瞳をもった美少年だ。エミリアは母似である。

ちなみにカスターニャ公爵家は代々火の魔法を得意とし、父は王宮騎士団団長を勤めている。


本日は王宮からの招待を受けていた。アレン殿下の婚約者選びを兼ね、エミリアは殿下とお茶会をすることになっていたのだ。兄はそれが心配でたまらない。



「でもお前……その性格じゃ無理だろ」


「なによっ!私の性格のどこが無理なのよ!」


「え……全部??」


「きーー!」



カスターニャ公爵夫妻は娘を溺愛している、という噂は事実で、娘のエミリアはそれはそれはとても大切にされ甘やかされまくった。わがままを言っても両親はすぐに叶え、癇癪をおこせば物や使用人にすらあたっていた。



「アレンに会わせたくねーなー」



ちなみにアルベルトはアレンの友達でもある。



「お前みたいなやつを傲慢っていうらしいぞ」


「なによそれ!」


「自分の行いを考えてみろ。たく、カリーナ嬢を少しは見習えよ」


「はんっ、自分の婚約者に対してつまらない女って言ってるくせに」


「うっ!」



カリーナ・クロッカス伯爵令嬢は最近アルベルトの婚約者になった令嬢だ。内気な性格で、負けん気が強いアルベルトには少しもの足りなかった。



「カリーナ嬢とエミリアが半分なら丁度いいのにな」


「私は今のままで完璧よ!もう王宮に行く準備をするからお兄様はでていってちょうだい!」


「………絶対大人しくしてろよ」



兄は懇願するように部屋をでた。



「さあ!気合いをいれて支度してちょうだい!」


「「はいっ!!」」




支度が整い、馬車に乗り込む。しばらく馬車を走らせると王宮が見えてきた。

王宮に到着すると広い庭園へと案内された。アレンは少し遅れてくるそうだ。



「はぁ……この私を待たせるなんて」


「すまない!遅れてしまった!」



急いできてくれたのか、荒い息遣いが聞こえる。きっとアレン殿下だろうと思い、立ちあがり挨拶をした。



「この国の第一王子、アレン殿下にご挨拶申し上げます。カスターニャ公爵家より参りました、エミリア・カスターニャでございます。本日はご招待いただきありがとうございます」


「……」


「……」



なんで黙ってるのかしら!?


両親からも講師からも、あのお兄様でさえも認めてくれた挨拶なのに……!



「…あっいや、すまない、面をあげてくれ」


「はい……………!」



金髪に碧眼………これほどの美少年がいるのか……!

という驚きと同時に頭の中に何かが流れてきた。





(ねーねー!一緒に乙女ゲームやろうよ~)


(いや、興味ないし)


(そんなこと言わずにさ!ほら!王子イケメンでしょ!!)


(金髪に碧眼ねー、ザ・王子ってかんじ)


(もー!見た目もだけど中身も王子様だから!悪役令嬢から身を挺して守ってくれるんだよ!あれに惚れないわけがない)


(悪役令嬢?)


(知らないの?大体は傲慢で高飛車かな?ヒロインとの恋路を邪魔する嫌な役!下手すりゃ殺されかけるし)


(なにそれ、こわっ)


(それを守ってくれるが王子様!断罪シーンにどれだけスッキリしたことか……)







……な、なに、この記憶は?!



エミリアはどうやら前世の記憶を思い出したようだ。といっても本人は何のことだかわからず混乱していた。



悪役令嬢??傲慢??傲慢ってどこかで……


(お前みたいなやつを傲慢っていうらしいぞ)


今日お兄様からきいたやつーーー!

え、断罪されるの?悪役令嬢?私?……断罪???



エミリアはすーと目の前が真っ暗になった気がした。



「………公爵令嬢?カスターニャ公爵令嬢!」


「はっ!」


「大丈夫か?顔色が悪いようだが」


「……かっこいい………」


「……」


「……」


「「!!?」」



エミリアは顔を真っ赤にさせた。ついポロっと本音がでてしまったようだ。



「あ、ありがとう…」



一方、アレンは口元を隠し、プイッと顔を背けたが耳まで真っ赤であった。


二人の間に気まずい雰囲気はあったが、時間と共に解消された。その後無事二人の婚約は成立し、晴れて婚約者となったのだ。


悪役令嬢にならない!と意気込み今までアレンと良好な関係を築いてきたが……






「ちょっと聞いてるの!?」


「……え?」



思い出を振り返っていたため、エミリアはフェリシアの話を全く聞いていなかった。



「人を馬鹿にするのもいい加減にして!!」


「いえ、そのようなつもりは…」


「はっ、そんな余裕でいられるのも今日までよ」


「はい?」



フェリシアのつけている指輪が黒い靄を発している。


あれはなに?


と思うと同時にフェリシアがこちらに駆け出し、思いっきりぶつかってきた。



「きゃあっ!!!」




婚約成立後、呼び出されるアルベルト。


「君の妹は天使だな……」


「は?頭大丈夫か?確かに最近はまともになってきたが」


「エミリア嬢の好きな男性はどんな感じだ?」


「……大人っぽくて守ってくれる人?だったか?」


「なるほど……」


アレンのことだろうなーと思っているアルベルトと、騎士団長みたいな人かと思っているアレン。



アレンの奮闘期をいつかかけたらなと…!

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