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決意

洞窟に潜るとすぐに階段があり、中は薄暗いが何故か見える不思議な空間だった。

そこを急いで降りていくと広場に出た。

中にはゴブリンが数十体はいて、その奥に良く見えないが妹らしき人影が見えた。

それを見て走って向かうとゴブリン達が襲いかかってきた。


「そこをどけー!」


僕は2本の小太刀を抜き斬りつけにいく。

ゴブリンは緑色の肌で子供ぐらいの身長に醜悪な顔をしたモンスターで、腕には棍棒を持っている。

強さで言えば一般でも倒せるが、決して弱いわけでは無い。

ゴブリン1体の腕力は一般人より強く、正面から打ち合えば押し負けるが、知能が低く簡単なフェイントでも引っかかり、冷静に戦えば勝てるモンスターだ。

しかし僕の場合は一般人よりも劣る、足も遅く攻撃力も低い、唯一勝てるのは知能と今までの経験や訓練による技術のみで、一撃を受けるだけでも危ない。


「だがそんなのは関係ねえ!妹を絶対に助ける」


正面から来たゴブリンを横に避け、通り抜けながら首を切り落とす。

僕の能力では普通は不可能だが、父さんの武器の切れ味と攻撃力があれば可能だ。

一撃で1体目を倒すと、すぐに3体が現れる。

ゴブリンはほとんど上段の振り落とししかしなので、バックステップで避け、棍棒が地面にあたったタイミングで、真ん中の1体を蹴り飛ばし、2体の首を切り裂いた。

蹴り飛ばされた1体は後ろにいた2体をぶつかり倒れたが、その左右からに合計3体来ており、少ない方に行き小太刀を一つ投げた。

それは頭に当たり、怯んだ隙に棍棒を奪い取り、反対側のゴブリンに投げつけ、刺さった小太刀を抜き目の前のゴブリンを倒し、反対側に行き投げつけてない方のゴブリンの手を斬りつけて棍棒を落とさせ、それを先程倒れた3体のゴブリンの方に蹴り飛ばし、時間稼ぎつつ目の前のゴブリンを倒し、もう1体も倒して3体のゴブリンを倒しに向かう。

3体だったゴブリンは6体に増えており、2体は少し負傷しているので、左周りで走り端の1体を倒し続けざまにもう一体倒したが、さらにゴブリンの増援が3体来て7体に増えて囲まれたが、負傷しているゴブリンをすぐさま倒しに向かうが、他のゴブリンを素通りする時に一撃が掠ってしまったが、負傷しているゴブリンを2体倒した後、ゴブリンが横薙ぎしそれを小太刀でガードしたが、吹き飛ばされて壁にぶつかる。


「がはっ」


ゴブリン達がチャンスと思い走って来ているので、起き上がりすぐさま攻撃を仕掛ける。

しかし負傷した状態では先程まで動きは出来ず、攻撃は直撃こそしないが受けており、どんどん負傷していく。

何体倒したかわからなくなるほど倒している時、ゴブリンの攻撃を腕に受けてしまい、短刀を片方落としてしまう。

すぐに拾う暇なく、ゴブリンを倒した時に落ちる棍棒を狙ってゴブリンを無理矢理攻撃したが、そのせいで避けられない攻撃を、武器を持っていない手で受けてしまった。

その手は折れておりゴブリンのドロップで棍棒が出ても振り回せる状態では無かった。

しかし投げる事はできると判断し、先程倒したゴブリンを見るとアイテムドロップ時に発生する光を見て、走りアイテムを取る。(魔物コアの時は光は出ない)

するとそれは棍棒では無かった、腰布がでてしまったかと思ったが、それでも無かった。

手にはゴブリンの絵が描かれたカードだった。

色々なカードをスキルの影響で試したことがあり、一度も成功せずもはやトラウマ的な物だった。


「なんなんだよ!こんな時にカードなんかドロップするんだよ!」


そう言いカードを地面に投げつけた。

この時僕は気づいていなかったが、ゴブリンドロップにカードなどないのだ。

周りにはゴブリンが10体ほど囲んでおり、僕は片手に小太刀に反対の腕は折れたおり、体はぼろぼろで体力もほとんど残っていない、しかもゴブリンはまだ半分も減っていない、絶対絶命の状況だったが。


「僕は絶対に諦めない!大切な人を守ると決めたんだ!」


と叫んだとき、地面が光輝き始めた。

下を見ると投げつけたカードの周りに光る魔法陣ができていた。


「なんだこれ」


魔法陣から突然ゴブリンが浮き出るように現れた。

僕はまだゴブリンが増えるのかと思ったが、そのゴブリンは他のゴブリンを棍棒で殴りつけた。

何がなんだかわからないがチャンスだと思い、服の裾を破いて折れた腕を固定する。

あのゴブリンが暴れており、他のゴブリンは混乱している隙に、落とした小太刀を拾い構える。

あのゴブリンは他のゴブリンより強く、正面からゴブリンの棍棒を打ち勝ち、知能も高いようでフェイントも使っている。

あのゴブリンのおかげで空いたスペースを使いゴブリンを減らしていった。




その後数十分でゴブリンが殲滅できた。

俺はあのゴブリンが気になっていたが、まず妹の方に駆け寄った。


「百合!なんでこんな危ないことした!」


「ごめんなさい、お兄ちゃんが才能あるって証明したくて」


「今のでわかっただろ、俺には才能が無い」


「そんなことないよ!お兄ちゃんのステータスなら1体も倒せないはずなのに、全部倒したんだから」


「それはあのゴブリンがいたからだ、俺1人なら全滅させるのは無理だったと思う」


「あのゴブリンはお兄ちゃんのスキルで出て来たんだよ」


「えっ、どういうことだ?」


「私は見たことのあるスキルの詳細がわかる、【視認鑑定】ってスキル持ってるから」


「そうだったのか」


妹のスキルは何を持っているかは知らなかった。

通常スキル判定は中学3年の受験シーズンの前の時期に、国から派遣された鑑定士に見てもらう。

小さい頃からスキルの内容を知っていると事件を起こす危険があるため、ある程度成長してから判定する。

妹は中2でまだ鑑定前のはずだからだが、視認鑑定のスキルなら自身を見れば自分を鑑定できる。

視認鑑定は自分のことなら完全に鑑定できるが、他の場合鑑定する内容を見ないといけない。

例えば俺の持つカード召喚も、スキル判定の時に一緒に居たので名前だけがわかるが、スキルの詳細はわからない。

その人がスキルを使っているとこを見て初めて詳細なスキルの内容がわかる。

何も知らない状態で人を見ると、ステータス値がある程度大まかにわかり、スキルをいくつ持っているかがわかるだけ。


「それでも俺のスキルが使え無かったから危なかっただろ!」


「でもこのダンジョンは攻撃の意思が無かったら、ある一定のダメージを受けたら攻撃してこないよ」


「まじ」


「まじ」


そこで俺は、はぁーと座り込んだ。

すると妹が近づいて来て。


「でも心配かけてごめんなさい、こんな怪我もさせて」


「いいよ、俺の事を思ってやったんだろ、こんな怪我も回復薬を飲んだら直ぐ治る」


と言い妹の頭を撫でた。


「お兄ちゃん、僕っ言うの辞めたの」


「うん?ああそう言えばいつまか俺って言ってるな、一皮剥けたってことかな」


「僕ってなんか弱々しかったもんね」


「なんだとこのやろう」


「あはは、やめてよお兄ちゃん」


と妹を持ち上げてくるくると回った。

すると忘れていたあのゴブリンが目に入った。


「そういばこのゴブリンって大丈夫なんだよな」


「うん、私の見たところお兄ちゃんのスキルは結構特殊なんだよな」


と言いカード召喚のわかった詳細を教えてくれた。


「まずカード召喚使用には特殊なカードが必要なの」


「ゴブリンからドロップしたように、ドロップっで出てくるカードが必要って事か?」


「うん、モンスターからドロップするカードが必要」


「でもゴブリンのドロップにカードなんか無かった筈だよな」


「それもカード召喚のスキルの効果の一つで、アイテムドロップにカードが追加されるの」


モンスターのドロップは大まかにコアとアイテムに分かれるが、アイテムのドロップ率は10%ぐらいで、他はコアがドロップする。(一部の特殊スキルを持つ事でアイテムドロップにレアアイテムが追加される場合があり、ゴブリンの場合は小鬼の宝珠という、一定時間自身の筋力を強化するアイテムを落とすようになる)


「ドロップ率はアイテムドロップの確率の1割ほどだけど、モンスターのランクが上がるとその確率も下がるから、上位ランクのモンスターが落ちる確率はほぼゼロだね」


「結局雑魚モンスターを召喚できるだけか」


少し俺はガッカリしていると、素早くそれを否定された。


「そんな事ないよ!、召喚されたモンスターは1.1倍強化されて召喚されるよ、しかも他にモンスターを強化する方法もあるよ」


「強化しても雑魚モンスターはワンランク上の魔物も厳しいだろ」


「チッチッチッ、そんな弱い強化じゃないよ、アイテムをカードに合成することで、そのアイテムを装備したモンスターに強化され、しかも同種のカード10枚合成で進化するよ」


「そういうことは、ゴブリンがホブゴブリンに、スライムならビッグスライムになると言うことだな!」


ホブゴブリンは戦闘力は星2の上位、しかも武器を持たせれば星3の魔物でも互角以上に戦える。


「しかも魔法書を合成すれぼ魔法を使えるようになるよ」


魔法書は魔法を使うモンスターのレアドロップだが、通常魔法書は1万円ほどで売っており簡単に買える。(レアな魔法書なら数十万から数千万までする物もある)


「それじゃ魔法剣士のゴブリンを作れるってことか」


「うん、でも召喚数は10レベルに1体だから、今のところは1体しか召喚できないよ」


そりゃそうか、無限に召喚できたらモンスター軍団を作ったりできるかなと思ったけど、制限があるみたいだな。


「他にも召喚したモンスターの1割の能力を自身に反映するや、モンスターカードの授与なんかもできるみたい」


さっきの戦闘ではあまりわからなかったけど、これが召喚モンスターが強化されたり増えれば、馬鹿にできないほど強化されるはずだ。


「モンスターカードの授与は1人に1枚だけみたい」


人に授与できるなら商売もできる可能性がある。

戦闘ができない人なら代わりに戦ってくれる、死んでも大丈夫な護衛というのは需要がある。

ふと召喚したゴブリンが死んだらどうなるのだろう。


「そういえばあのゴブリンが死んだらどうなるんだ」


「カードに戻るみたい、カードが破られたり粉々にならない限り、死んでも1日で復活するみたい」


「便利だな、召喚や戻す時はどうすればいいんだ」


「出す意思を持ってばカードから出る見たい、でも地面に置いても大丈夫、戻す時は戻す意思持てばいいけど、戻れと言っても大丈夫みたい」


「なら、戻れ!」


するずっと立っていたゴブリンの下に魔法陣が現れ沈んでいきゴブリンが消え、後にはカードが残っていた。


「おっ、本当に戻ったな」


「信じて無かったの」


「いや、信じていたけど、ちょっとありえない事だったから驚いただけ」


少し怒った様子の妹を宥めて、ドロップを拾ってダンジョンを出ることにした。

ドロップはコアが多数にカード3枚、棍棒4個、腰布6枚だった。

アイテムドロップとしては多い方だった。


「結構アイテム落ちたね、やっぱりその小太刀のおかげだね」


「なんでだ?」


「知らないのその小太刀の能力」


妹が言うにはこの小太刀は特殊な能力があるらしい。

天佑神助は、アイテムドロップ率などの確率で発生する事象を上昇させる効果があり。

武運長久は、戦闘時に幸運が発生する能力があるらしい。

この効果なら戦闘時に致命傷の確率が減りアイテムドロップが良くなるレアなアイテムのようだ。

アイテムランクは星6のようだ。

僕は父さんの凄さを実感しながらダンジョンを出た。


ダンジョンを出るとダンジョン協会の調査員に怒られたが両親には、よくやった、と褒められたが、妹は両親からも調査員からもお叱りを受けた。

僕は回復薬を飲み、直ぐ横のベットに倒れて眠りについた。











妹side


結構なお叱りを受けている時、お兄ちゃんが倒れたのでみんなで近寄ったら、満足そうに眠る顔に安堵した。


「お兄ちゃんなら最強の探索者になるよ」


と私は小声で言った。

そのためなら私の持つ能力を全て使いサポートすると誓った。












ステータスは一般的に

腕力:武器の重量支えるのに必要な数値、攻撃力や武器攻撃速度にも関わる。(武器の重量で関わる数値は変わる、重ければ攻撃力、軽ければ攻撃速度に関わる)


脚力:移動速度に関わる数値、蹴りの攻撃力や反射神経にも関わる。(武器の重量で低下する)


器用:アイテム作成に関わる数値、知能や戦闘技術にも関わる。


耐性:物理防御力に関わる数値、ある程度の状態異常耐性や回復力にも関わる。


魔力:魔法の威力や使用回数に関わる数値、魔法防御力や索敵能力にも関わる。


隠してステータスも存在すると言われており。

運もステータスにあるのではと言われている。




※追記

魔法書について

魔法書はスキルとして魔法を覚える物ではなく、魔法の技を一つ習得する物である。

例:火の10級魔法書だと着火の魔法を使えるようになり、スキルとして[着火]と表示される。この魔法を使い続けることによって火魔術を習得することが可能。

魔術は自身の魔力量によって使用可能な物とできないものがある。

10級魔法書は通常魔法は1万円ほどで取引されるが、特殊な魔法の魔法書では値段が跳ね上がる。(空間魔法の魔法書など)


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