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第八十二話『原始的で致命的な一手』

「後ろにも扉が……!?」


嫌な予感に釣られるようにして後ろを見れば、その壁の一部がぽっかりと開いている。俯瞰してみれば、俺たちを魔導人形が大きく挟んでいるような形だ。俺たちの立ち回りを支えていたミズネの援護は、しばらくないと思った方が良さそうだった。


「えげつないことしてくれるわね……!!」


ネリンは歯噛みしながら、飛びかかってきた魔導人形を剣で打ち落とす。俺も何とか人形の一撃をかわすものの、俺たちふたりだけでは耐えることだけが精一杯だ。当然、数は減らない。……つまり、この先も増え続ける魔導人形を止めることはできない。


「……ヤバいな、これ」


俺たちのパーティの欠陥が致命的な形で露わにされている。当然ミズネは大丈夫だろうが、ミズネがこっちを見れるようになるまで俺たちが無事な保証はどこにもない。……早い話が大ピンチだ。


「こっちは早急に片付ける!ヒロト、ネリン、何とか耐えていてくれ!」


ミズネも同じ結論に達したのか、人形の方に向き直りながら俺たちに向かって叫ぶ。それが現状取れる最善手であるのは、客観的に見ても疑いようのない事実らしかった。


「それしてもキツイのが見えてんだから、今がどれだけヤバいか分かるってもんだよな……!」


飛び込んできた一体をどうにか跳ね返しながら、俺はジリ貧確定の現状に唇を噛む。まさか挟み撃ちされるだけでここまで弱みを晒す羽目になるとは全くの予想外……というか、ここまで俺たちが情けないとは思ってなかった。


「もう少し成長したと思ってたんだけど、ね!」


渾身の一撃でどうにかネリンが一体の魔導人形を撃破することに成功したが、その後ろには数十体の魔導人形がワラワラと迫ってきている。今のところ一体ずつの突撃になっているからどうにか対処はできているが、それがもたなくなるのも時間の問題だ。


「間違いなく史上最大のピンチだな……!」


まさかこんなところでそんな事を口走ることになるとは微塵も思っていなかったが、それにしたって一番のピンチだ。まさかここまで追い込まれることになるとは夢にも思っていなかった。


「……少々心苦しさもありますが、あなた方の課題を見つけるためなら致し方ないというもの。……さぁ、この状況をどう打開なさいますか!?」


そんな俺たちの窮地を見つめて、クレンさんは興味深そうにそう叫ぶ。その顔は、ギルド代表ではなく冒険者時代を思わせるような獰猛な表情だった。


「こっちの窮地も知らないでノリノリね……!!」


その態度に1番歯噛みしているのはネリンだ。……まぁ、身内と言ってもいい人に煽られてるんだからそうもなるか。


「でもどうする?このままだとジリ貧……要はグレンさんの思惑通りだぞ」


「そう言われると一気にストレスが増すわね……。ヒロト、何か策はないの!?」


「俺はそんな万能軍師じゃねぇよ……」


確かに今まではたまたま打開策があったが、今回のピンチは単純に俺たちの弱点が突かれた形だ。それをどうこうしようたって、そんな簡単な話じゃ……


「……ねぇヒロト、今あたしたちが追い込まれてるのって挟み撃ちのせいよね」


「……まぁ、そうだな」


必死に逃げながら思案していると、ネリンが唐突に声をかけてくる。それに何とか頷きを返すと、ネリンが隣で何かを確信したかのように笑った。


「……あたし、この状況を返す策思いついたかも」

今回短めになってしまってごめんなさい!戦闘は区切りつけるのが大変で少し苦労してしまいますね……次回はまたいつも通りの長さになると思うのでご安心ください!

ーーでは、また明日の午後六時にお会いしましょう!

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